「アート」と「デザイン」の違い、説明できる?

普段生活している中でもよく耳にする「アート」という言葉。アーティスト、アーティスティックなどという言葉もよく使われますが、果たしてアートとはなんでしょうか。そして、アートとデザインは違うものなのでしょうか。芸術や美術を総称するアートについて掘り下げてみましょう。
この記事をまとめると
- アートとは何の制約もない自己中心的表現
- アートとデザインの大きな違いは「表現」と「問題解決」
- 美術を学ぶことで総合的な人間形成につながる
アート=芸術という解釈でいいの?
たとえば子どもが描いたような落書きや、絵具をビシャっと飛ばしたものが高尚なアートとされ、首をかしげたことありますよね。「これなら私にも描けそう」「これってただ絵具飛ばしただけじゃん」のような感想を持つものもあるかもしれません。
では、そもそもアートはどのように定義されているかというと、「芸術・美術など間接的に社会に影響を与え得るもの」です。
写真で例えてみましょう。写真を撮ることは誰でもできますが、それがどうしたら「アート写真」になるのか。アート写真とは、アートを写真で表現したものです。つまり、見るべき部分は写真そのものではなく、写真で表現される前に生み出されたアートの部分ということになります。
もう少し分かりやすく説明すると、アートとは表現と創造です。意識しなければ日々流され忘れられていく感情や体験を、アーティストの表現によって一段階上に高められたものが、アートなのです。そこにはルールや制約は一切必要いので、なにで表現するかも自由。写真でも絵画でも造形でも、「そこにあるもの」を昇華させたものがアートということです。
アートとデザインはどう違うの?
アートもデザインも、表現するということとしては同じイメージですよね。でも、大きな違いは、デザインは「問題解決」の手段であることとされています。先ほども書いたように、アートは何の制約もない「自由な表現」ですが、デザインは「作ろうとするものの形態について、機能や生産工程などを考えて構成すること」と定義されています。つまり、多くの人が快適で便利な生活を送ることができるように問題を解決し、様々な条件をクリアすることが求められるのです。
たとえば、画家とイラストレーターの違いはどうでしょう。画家は自分の内に秘めた何かを、自由に表現しますよね。ピカソを挙げれば分かりやすいでしょうか。一方イラストレーターは、人により分かりやすく伝えるために絵を描きます。「天気のいい南国の海で老夫婦が幸せそうに散歩している」絵を依頼されたなら、そのすべてが伝わるように描かなければいけません。
アートは見た人がそれが何であるかを理解するかを気にしない、自己が中心。デザインは相手(ユーザー)に伝わらなかったり誤解されてしまっては成功したとは言えないので、他者が中心。このようなそれぞれの位置づけを知っておくと理解しやすいかもしれません。
”人間的自由”に達するために美術・デザインを追求する
美術を総合的な人間形成をもって成るものと考える武蔵野美術大学の造形学部では、「真に人間的自由に達する美術教育」という本学の教育理念のもと、美術・デザインの領域において総合的な造形教育を進める10学科を設置しています。
「視覚伝達デザイン学科」ではデザインの原点を実践的に学び、鋭い感性と多岐に渡る媒体を駆使する力を持ったデザイナーを育成。
「工芸工業デザイン学科」では、素材と格闘し、技の大切さ、品質を見分ける眼を養います。
「空間演出デザイン学科」は独自の感性と協調性を伸ばし、情熱を持って空間をつくりあげる人材を育成し、「基礎デザイン学科」では企画・構想力と全方位のデザイン力を学びます。
その他にも、多様な学科を設置し、国内最大規模を誇る美術大学で、これからの社会に強く求められている自主性、人間性、思考力、表現力を手に入れてください。
【広告企画】提供 : 武蔵野美術大学
この記事のテーマ
「芸術・表現・音楽」を解説
絵画や造形、声楽や楽器演奏、演劇や芝居、マンガやアニメーションなど、さまざまな芸術分野で、表現者としての感性や技術を磨きます。近年では、活躍の場を広く海外に求め、高い評価を受けている人たちも多くいるようです。作品の制作や演習などの実技はもちろんのこと、それを裏打ちするために専門分野の歴史や理論の授業も行われます。そのため、アーティストとして作品を発表する以外に、指導者や研究者としての道もあります。
この記事で取り上げた
「美術」
はこんな学問です
芸術の創作者または評論者としての知識と技能を学ぶ。領域としては、平面、立体といった区分けに加えて、現在ではデジタルメディアも含まれる。平面では油彩画、水彩画、日本画、立体では彫刻、彫塑が主なジャンルとして挙げられるが、伝統的な手法によらず、素材を混合した作品や、観客参加型のパフォーマンスを作品とする場合もあり、表現は広範囲に及ぶ。学校では技能だけでなく、画材の専門知識、美術史も学び、理論と実践の両面で専門性を高める。