「高校時代には太宰治に影響を受けた」。原田マハさんが語る、作家の原点とは?

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「高校時代には太宰治に影響を受けた」。原田マハさんが語る、作家の原点とは?

2019.02.07

提供:マイナビ進学編集部

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「高校時代には太宰治に影響を受けた」。原田マハさんが語る、作家の原点とは?

アート小説の第一人者として、数々の作品を世に出してきた作家の原田マハさん。読みやすい文体、アートに造詣が深い原田さんだからこそ書ける物語の数々に共感している人も多いのではないかと思います。

そんな原田マハさんですが、ご自身はどのような本に影響を受けたのでしょうか。高校時代の思い出と合わせて、お話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 兄の本棚にある本を片っ端から読み進めていた
  • 理想のボーイフレンド像を主人公にした物語を作っていた高校時代
  • 『常設展示室』は小説を読む、アートを見る喜びを読者とシェアしたい気持ちから生まれた

高校時代は太宰治に大きな影響を受けた

-- 今まで読んできた本で心に残った本、影響を受けた本を教えてください。

それぞれの年代で読んできたものは違うのですが、雑食型の読書家だったので、漫画・純文学・古典・現代文学いろいろなものを読んできました。兄(原田宗典さん)も作家なのですが、兄の本棚のものを片っ端から引っ張ってきていましたね。特に純文学が好きだったので、中学生の頃から大江健三郎さんの作品を読んでいました。

その頃は、内容がよく分からなくても読み進めていました。分からないものを読むのって格好いいじゃないですか。「私は純文学を読んでいるのよ」と格好つけていました。高校時代に読んで影響を受けたのは太宰治ですね。


-- 太宰治の作品では何が好きでしたか?

『女生徒』という短編です。太宰は女性の文体になると、とてもチャーミングな文章を書くんです。『女生徒』はすごく短いけれど、どうして30代のおじさんがああいう文章が書けるのかなと思うほど、かわいらしくてチャーミングな文体で書かれています。女生徒になりすまして多感な時期の乙女の1日を書いている素晴らしい作品です。なんだか急に読みたくなってきました(笑)。


-- 太宰治が苦手だと思う人でも印象は変わりますか? 

変わると思いますね。『女生徒』は本当に素晴らしいですし、太宰は短編物の名手でしたからいいものがたくさんあります。

太宰はロシア文学の影響をものすごく受けて無頼派としていろいろ書いていたので、ちょっと斜に構えた感じがかっこいいんですよ。『人間失格』や『斜陽』は素晴らしい心理描写をしていると思います。今読んでも新鮮に感じるだろうし、世の中にはまっすぐ生きていくだけではどうにもならないこともあるということを太宰に教えてもらいました。

高校時代に自分の書いた物語を友達に読んでもらっていた

-- 原田さんご自身はどういう高校生でしたか? 

高校生の頃は、父の仕事の関係で岡山に住んでいました。その頃の思い出をベースにして書いた『でーれーガールズ』という小説がありますが、一番楽しい青春時代を岡山で過ごしました。

女子校に通っていたのですが、絵を描いたり文章を書いたりするのがすごく好きで、自分で書いた物語に挿絵を入れてクラスのみんなに読んでもらったりしていました。それに対して友人たちがすごく喜んだり悲しんだりしているのを見て、読者がいることに喜びを感じました。

ただその時に自分がプロの小説家になるとか、プロの漫画家になるとかはあまり考えていなくて、創る喜び、何かをクリエーションしていくことの喜びを純粋に感じていました。自分が書いたものを自分だけで楽しんでいたら独り言になってしまいますが、それをみんなでシェアするということ、そして私が発信したら受けてくれる人がいるという喜びが、その時すでに私の中でありましたね。
今も書いている時は読者のことをすごく考えていて、「これがどう受け止められるかな」ということは、自分にとっては大きな関心事になっています。


-- 当時はどんな物語を書いていましたか?

漫画やアニメの主人公に恋をする人は今もいると思いますが、私も自分で「こんなボーイフレンドがいたらいいな」という憧れのヒーローを作って書いたりしていました。

あくまでも想像上のボーイフレンドだったのですが、友達はそれを信じてしまって「想像だよ」と言えなくなってしまったんです。35年ぶりに開かれた同窓会で高校時代の思い出を『でーれーガールズ』に書くねと約束し、その中でやっと本当のことが言えました。友達は「そうじゃと思っとったわ。でも夢を見させてくれたからええんじゃが」って許してくれましたね。

諦めることは2秒できる。その2秒は今じゃない

-- 新刊『常設展示室』を執筆する際に何かインスピレーションになったものはありますか?

ずっとアートに関する小説を書き続けてきた延長線で、今一番アップデートされた内容を書かせていただきました。私の人生折々にずっとアートがあり自分の小説の中に取り込んできたので、アートにいろいろお世話になったと思っています。自分の小説の中にアートを登場させることで、恩返しをしているような気持ちがいつもあります。

『常設展示室』とタイトルをつけたのは、物語の中に出てくる作品が、美術館の常設展示室へ行けばかなりの確率で見られる作品だからです。この小説を読んで興味を持っていただいたら、ぜひ実際に見に行っていただきたいですね。小説を読む喜び、アートを見る喜びというものを読者の皆さんと分かち合いたいなというつもりで書きました。


-- いろいろなことに挑戦をされてきた原田さんですが、高校生に向けてモチベーションを保つコツを教えていただけますか? 

とにかく「諦めるな」ということですね。私は今でも思っていることですが、諦めることは簡単です。2秒でできます。本当に諦めなければならないものは自然にその時がやってくるので、その時は2秒で諦めればいいです。ただ、その2秒は今じゃないんです。

そして新しいことをする時は、難しいことから始めること。絶対に難しいことをしてください。それがその人を育てることになるし、可能な限り食い下がっていくことは、自分自身を高めていくことにつながると思います。この2つのことは今でも自分自身に言っていることです。



大学を卒業後、さまざまな仕事を経て44歳で作家デビューを果たした原田マハさん。
実際にお会いした原田さんは、一つひとつの質問に丁寧かつ的確に答えてくださり、とりわけ読書の話になると、好きな作家への思いを情熱的に語ってくださいました。原田さんの高校時代を垣間見ることができる『でーれーガールズ』や、アートを見る喜びを知ることのできる『常設展示室』、皆さんもぜひ読んでみてくださいね。


【取材協力】
作家 原田マハ

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