【シゴトを知ろう】職業訓練指導員(テクノインストラクター) ~番外編~

技術を身に付けて仕事に就きたいと考えている人たちのために、公共職業訓練という制度があります。ポリテクセンター埼玉でテクノインストラクターとして働く細井遼太郎さんは、この制度で技術を身に付けたいと考えている人たちの指導をしています。今回はテクノインストラクターについてさらに詳しいお話をお伺いしました。
この記事をまとめると
- テクノインストラクターになるためには職業訓練指導員免許の取得が必須
- 職場の同僚には、出身校の先輩・後輩が多い
- テクノインストラクターは就職について悩む人たちを助ける仕事
テクノインストラクターになるためには免許が必要
―― テクノインストラクターとして働くには資格は必須ですか?
テクノインストラクターになるためには「職業訓練指導員免許」を取得することが必須です。免許取得の流れは出身大学や実務経験によってさまざまですが、いずれの場合もテクノインストラクターを養成するための大学校で実施している「指導員養成訓練」を受講し、テクノインストラクターに必要な技能等を習得する必要があります。
―― ポリテクセンターの訓練コースはさまざまなものがありますが、テクノインストラクターは何名いらっしゃるのですか?
ポリテクセンター埼玉には28名のテクノインストラクターがいて、私は第4次産業革命に対応したものづくり分野のIT技術を習得するスマート生産サポート科(*)を4名体制で担当しています。一つのテーマを1カ月かけて教えて、次のテーマに切り替わるところで別のテクノインストラクターに交替します。このように、スマート生産サポート科ではテクノインストラクター4名で技術指導から就職支援まで連携して取り組んでいます。
(*)スマート生産サポート科では、第4次産業革命に対応するIT技術を活用した生産設備の開発、運用及び保全に関するものづくり分野の訓練を実施しています。
母校の先輩後輩が職場の同僚となることが多い
―― この仕事ならではの「あるある」なことはありますか?
テクノインストラクターを養成する大学校は国内で一つだけなので、職場の先輩や後輩がほとんど同じ学校卒業です。そのため、「〇〇先生、知ってる?」という会話から盛り上がることがあります。
―― テクノインストラクターだからこそ知ることができたことはありますか?
今まで担当してきた受講者は300人ほどですが、就職支援をする中で300人分の仕事の経験を聞くことができます。いろいろな職種の話を聞くことができるので、この仕事はこんなことをしていたのかということを改めて知ることができます。この仕事に就いていなかったら分からなかった知識だと思います。
仕事について悩んでいる人たちの助けになっていきたい
―― 休日はどんなことをして過ごしていますか?
新しいプログラミングの技術があると聞いたら、本を買って思いのままにプログラムを作ったりしています。ただ単に「試してみたい」「動いたら面白いな」という感覚ですね。テクノインストラクターは学び続けることが必要なので、私の場合、趣味が実益をかねているのかなと思います。
―― 今後の目標を教えてください。
私自身、一般大学の教育学部へ進学しましたが、退学してアルバイト生活を3年間送りました。
遠回りをして今の仕事に就きましたが、「テクノインストラクター」という仕事に出会えたおかげで、今の人生を作ることができたと思っています。
もしかしたら私と同じように、一度どこかの学校へ進学したけれど、うまくいかなくてどうしようと悩んでいる人がいるかもしれません。そうした人たちのため、私自身の経験を生かし、悩んでいる人たちの助けになって、活躍するためのレールにのせるお手伝いができたらいいなと思います。これが今後成し遂げたい目標です。
細井さんはご自身の進路について「遠回りをした」とおっしゃいましたが、3年間のアルバイト生活を経て入学した大学校では同級生にも恵まれ、とても充実した生活を送れたそうです。
ご自身が進路に悩んだ経験があるからこそ、悩んでいる人の助けになりたいという気持ちがあるのですね。「人の助けになりたい」と考えている人は、テクノインストラクターという仕事を一つの選択肢にするのもいいかもしれません。
【profile】独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構埼玉支部
埼玉職業能力開発促進センター(ポリテクセンター埼玉)
電気・電子系 職業訓練指導員(テクノインストラクター) 細井 遼太郎
この記事のテーマ
「教育」を解説
教育機関や子ども向けの施設で、教育指導に関わる仕事を目指します。小・中学校や高等学校の教員を目指す場合、大学や短期大学の教職課程で学ぶ必要がありますが、専門学校の中にも、提携する大学や短期大学の通信教育を受けて、教員免許状を取得できる学校もあります。語学教師や臨床心理士など希望する職種により、必要な資格や免許が異なります。
この記事で取り上げた
「職業訓練指導員」
はこんな仕事です
『技で未来を切り開く』というキャッチコピーのもと、就職や転職を望む人、企業でスキルアップを目指す人を支援するために、必要な知識や技能を指導する職業。国や都道府県などが設置する公共職業能力開発施設、または企業などが運営する認定職業訓練施設に勤務し、訓練生に対してトレーニングを行う。この仕事には、担当する訓練科に応じた職種の職業訓練指導員免許が必須。機械や建設、工芸、繊維、食品加工、サービスなど、幅広い分野で100を超える職種免許がある。業務内容は、指導だけにとどまらず、地域のニーズに基づいた職業訓練計画の策定や、教材などの手配、就職サポートなど、幅広い。