FOMARE『見せたかったところをより見せられた』最新シングル・インタビュー
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人気上昇中の日本語ロック・バンド、FOMAREが約1年半ぶりになる2ndシングル『スノウドロップ』をリリース。今作の制作過程やバンドをやる上での楽しさと苦しさなど、アマダシンスケ(Vo/B)、カマタリョウガ(G/Cho)、キノシタタクヤ(Dr)のメンバー3人に率直に語っていただきました。
この記事をまとめると
- バンドの長所を落とし込めた、ニューシングル
- 曲作りではいろんなパターンを試して、最適なものを選択する
- バンドやライブは生きがい。だからこそ不安が付きまとう
「libido」は冬らしいけど、世界観が温かい曲
―― 今回の2ndシングル『スノウドロップ』は冬をコンセプトにした作品ということですが、皆さんの中にある冬のイメージというと?
アマダ:切ない、失恋とかですかね。
カマタ:鍋・コタツ・みかん・すき焼きとか……すみません、僕は普通の人間なので普通のことしか出てこない(笑)。でも冬は好きですね。なんか人に優しくなれる気がして。
キノシタ:人肌恋しい季節ですね。あとは新生活に向けて、今までいた人と別れたり。そういうイメージがありますね。
―― 作り終えてみて、今作はどんな作品になったと思いますか?
アマダ:FOMAREの見せたかったところをより見せられたと思います。僕自身、バラードに自信があるので、1曲目に入っている「libido」は歌詞や世界観も以前より表現できたし、メロディもグサッと刺さるものを優先的に考えました。間奏のアダルトなギターもいいなと。
カマタ: 最初にメロディを聞いたときにいい曲だなと思ったので、アマダのやりたいことをくみ取りつつ、ギターソロはもっと切なくしてやろうって考えてアレンジしました。自分的には演奏面でもステップアップできたと思います。
キノシタ:バンド的にいいバラードは冬にできがちだったんですけど、「libido」は世界観は温かいけど、冬に聴ける曲になってるなと思います。
アマダ:曲を作ったのは真夏だったもんね(笑)。普通に冬っぽい曲ができて良かったと思います。
メンバー3人のフィルターを通った上でできた曲たち
――曲作り・レコーディングにはどれぐらい時間をかけるんですか?
アマダ:曲によってバラバラなんですけど、僕がメロディを作って、スタジオに持ち込んで3人でセッションしながら同時進行で歌詞を作ることが多いです。普段は大体1カ月に1曲できるペースですね。今回はなかなか納得いくメロディができなくて、レコーディングギリギリに曲ができました。今回レコーディングで4曲録ったんですけど、2週間くらいかかったのでわりと遅い方でした。
あとはライブでもアレンジを変えたりするので、CDとライブでの印象は違うかもしれないですね。最近はよりライブのことを考えるようになりました。ライブでお客さんに楽しんでもらえないと、僕らも楽しめないから。こうしたらテンション上がるんじゃない?とか考えたりしています。
―― 今作の曲作りはいかがでした?
アマダ:今回はライブどうこうはそこまで考えなかったけど、いい作品になったから満足してもらえると思います。バラードのサビって大事じゃないですか。温かみがあって、切なくて、寄り添えて、なんかいいなって。その「なんかいいな」という感覚が大事で。そう思えるものが出てくるまでは時間がかかりましたね。
生きてて良かった感をステージ上で感じる
カマタ:僕らは曲ができるまでひたすら待ってます(笑)。ほんとに何も出てこなければ何もできないので。
アマダ:そうだよね。僕が0を1にして、他のメンバーが1を100にするみたいな。
キノシタ:70まで来たときに、あまり良くない気がすると思って、やめるときもありますからね。そういう意味ではメンバー3人のフィルターを通った上でできた曲ばかり。3人が納得する形で曲を出してます。
―― バンド活動をする上で楽しいと感じるのはどんな瞬間ですか?
アマダ:曲ができあがったときですかね。ライブでは3人の息というか、グルーヴが奇跡的に合った瞬間がうれしかったりします。あと、お客さんが求めてくれる姿を見ると、バンドをやってて良かったなと思いますね。
カマタ:全部同じです(笑)。でもライブが一番楽しいですね。自分の存在意義というか、生きてて良かった感をステージ上で感じるんですよ。なんか、アドレナリンみたいなヘンなものが出てるんでしょうね。ライブはやめられないです。
キノシタ:僕もライブですね。ライブの出来が良くない日があるからこそ、良くできた日が楽しかったりして。
アマダ:めっちゃ分かる!
キノシタ:まあまあの確率で良くないライブをやっちゃうから(笑)。でもお互いに言わなくても今日はやったよね!みたいな手応えを感じられる日があるんですよ。そんなときにバンドの楽しさを感じます。あと自分たちと同じ歳の人で、こんなに全国を駆け巡ってる人はそんなに多くないと思うんですよ。そういう経験も自分は楽しいですね。もし自分がバンドやってなかったら、死んだ方がいいかもと思うくらいで。
アマダ:確かに! 意外とみんな思ってることが同じなんだね。
――逆にバンドで一番大変なことは?
アマダ:一番大変なのは曲作りですね。自分が思ってる言葉やメロディを形にするまでに時間がかかるから。その課程がつらいですね。メロディは想像とセンスと感覚とタイミングだと思うから。それを自分から掴みに行っても上手くいかなかったりするので、難しいですね。
カマタ:僕は常に不安なことですね。将来が見えているわけじゃないから。みんなそうかもしれないけど、先の道がないので開拓しなきゃいけない。それが面白さでもあるんですけど、不安はつきものだなと。
キノシタ:メンタルの維持ですかね。僕は弱いんですよ、すぐにヘコんだり、テンションが上がったり……感情の起伏が激しくて。
アマダ:僕は病んでも隠す方なんですけど、(キノシタ)タクヤはいい意味で僕らにも言ってくれますからね。こないだのツアーでも5回ぐらいありました。
キノシタ:打ち上げで先輩にどんどん話しかけなきゃと思うんだけど、できなかったりして病むんですよ(笑)。他のメンバー2人は経験値が高いしすごいんですけど、僕は何もできない、ゴミだと思って病んじゃって。
アマダ:そんなことないよ。去年タクヤが加入する前、ドラムがいない時期があったんですけど、急遽タクヤが滋賀から新幹線に乗って、曲も知らないのに当日の楽屋で練習して叩いてくれたことがあったんですよ。
キノシタ:遠距離で半年ぐらいサポートしてました。僕は変に気にしすぎることが悪循環になりがちなので、いいところにメンタルを保ったまま取り組めるようにしてます。日頃走ったりとか。
アマダ:常に走ってるもんね。
カマタ:タクヤはストイックだよね。
――バンドを仕事にしようと思ったのはいつ頃ですか?
アマダ:いまだに仕事とは思ってないですね。バンドは仕事でも部活でも遊びでもないけど、その中間点で好きなようにできるから、楽しいんだと思います。ど真ん中にいれるから。
カマタ:ただ、遊びではないので責任持ってやらなきゃいけないですからね。そう考えると、バンドは特殊ですよね。
キノシタ:初期衝動って大事だなと。バンドは辞めたくなる瞬間がみんな一度は来ると思うんですよ。でもバンドを始めたときの初期衝動は、ただただ楽しかったから。それを覚えていたら、自分を動かすエネルギーになりますからね。
―― バンドをしていてよかったと思いうこと、他に何かありますか?
アマダ:意外とモテます(笑)。高校生ってみんなモテたいと思ってたよね?
カマタ:いや、思ってたでしょ。
キノシタ:モテるのは人による、と書いておいてください(笑)。
アマダ:自分でやりたい曲を作って、自分次第で何でもできますからね。そして、ちょっとモテる(笑)。学祭でFOMAREやったらモテると思いますよ!
一つひとつの質問に対して、飾らない言葉で率直に語ってくれたメンバー3人。時に考え込む場面もありましたが、今はバンドにまつわる作品制作やライブ活動が楽しくて仕方がない!という気持ちがひしひしと伝わってきました。今回のニューシングルの出来も素晴らしいので、気に入った方は是非ライブに足を運んでみてはいかがでしょうか。
【FOMARE】
http://fomare.com/