【シゴトを知ろう】アパレルメーカーで働く人(EC担当者) 編
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皆さんは洋服をどこで買っていますか? 店舗へ買いに行く人がいる一方で、最近はインターネットから購入する人も多いのではないでしょうか。かわいい洋服の写真が並んでいると、ついつい買ってしまいますよね。
このように私たちが「この洋服が欲しい!」という気持ちになるようなウエブストア作りをしているのがEC(*)の担当者です。今回は株式会社アダストリアでウエブストア運営を担当している島村優子さんに、仕事の内容ややりがいをお話いただきました。
この記事をまとめると
- ウエブストアで購入するお客様は時間帯によって求めるものが違う
- 高校時代、お小遣いの範囲内でおしゃれをする術を学んだ
- 同世代だけでなく、少し年上の世代の人とも積極的に関わってみてほしい
ウエブストアは時間帯で見え方を変えている
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
担当ブランドの商品をウエブストアで販売しています。私の仕事は大きく分けてウエブストアに掲載するための商品の撮影などお客様から見える表側の仕事と、商品や売上に関するさまざまな数字の管理をする裏側の仕事の2本の柱からなっています。
1日の流れとしては、まず出社したら前日の売り上げの状況把握やどういう商品が売れたのかを確認します。そのあとサイトチェックをし、午前中に公式ウエブストア会員様向けのメールマガジンの作成をします。それが終わったら今日一日の売り上げを伸ばすための戦略を、その日の気温やInstagramを参考にして決めていきます。
午後は毎週1回撮影があり、事前に撮影用のサンプルが届いているかどうか確認します。同時にモデルに着せるためのコーディネートを組みます。
これだけの業務をこなしていると夕方になり、そこからメールマガジンを流します。あわせて、昼と夜では売れる商品が異なるので、商品の配置などウエブストアの見え方を変えます。そしてInstagramを更新し、退社します。
<一日のスケジュール>
10:00 出社 メールチェックと売上げやサイトのチェック
午前中はメールマガジンの作成や売り上げを上げるためのその日や週の戦略を考える。
午後は、週に1度の撮影やその準備。また、数カ月先の施策の企画や打ち合わせなど。
17:30~18:00 メールマガジンの配信・ウエブストアの見え方を変更
19:00 Instagramの更新、退社
※フレックス制度を利用して、月・火は9時から20時勤務、水~金は11時から18時勤務としている。
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
最近、公式ウエブストアはお客様のカタログ代わりになっている傾向があります。実際にウエブストアを見て店舗スタッフに「これありますか?」と問い合わせるお客様も多いです。私が担当している「アパートバイローリーズ」ではそのウエイトが特に高く、ウエブストアでのお買い上げに留まらず、結果としてショップに送客できていることが励みになっています。
店舗スタッフも、来店するお客様がWebで情報を得て購入してくれるので、率先してWebを見てくれています。ブランド全体に影響していることはプレッシャーでもあり、やりがいでもあります。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
大変なのは、2way・3wayなど、いろいろなパターンで着ることができる服の特徴を見落さないよう注意することです。またウエブストアを見るお客様は1枚目の写真で判断をすることが多いので、何通りも着こなすことができる洋服を1枚の写真で表現するのが難しいです。デザイナーと企画チームがたくさんアイデアを出し苦労して作ってくれている分、きちんと表現したいと思っているので、いろいろな通販サイトを見て研究をしたり、スタジオのフォトグラファーに相談をしたりして進めています。
その場にあるアイテムでスタイリングをすることは、高校時代に鍛えられた
Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?
大学を卒業して入社した当時は、ローリーズファームの店舗に配属になりました。2年目にジーナシスの店長、その1年半後にジーナシスのエリアマネジャーになって7年間務め、ローリーズファームとアパートバイローリーズのプレスを2年間やりました。その後配属されたブランドが運営を終了することになりました。ちょうどその時、現在のアパートバイローリーズの部長がEC担当者を探しているのでやらないかと声をかけてくださいました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学は法学部政治学科へ進学しました。高校生の時から社会が好きで、特に歴史上で起こった政治の出来事に興味がありました。学校の先生から政治をやっていた世界の偉人たちの話を聞くことが楽しく、そのイメージで政治学を勉強しようと思いました。
大学時代はマッカーサーの政治学などを研究しました。勉強だけでなく、いろいろなタイプの人に出会うことができたし、洋服などでもさまざまなセンスや価値観を知ることができたので、大学に進学してよかったなと思います。
Q6. 高校生のときの経験が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校時代は『東京ストリートニュース』という雑誌で、身近にいるきれいな女子高生が取り上げられていた時期でした。自分をうまく見せる人たちのパワーにはすごく影響されました。どれだけ制服をかわいらしく着こなすかということに一生懸命でしたね。身に着けるものを選ぶのがとても上手な友達もまわりに多かったです。自分のお小遣いの範囲でうまくおしゃれをする方法は、高校時代に鍛えられました。この時の経験が、その場にあるアイテムでスタイリングを組まなければいけない現在の撮影に役立っていると思います。
高校時代はちょっと年上の人たちと積極的に話してみてほしい
Q7. どういう人がこの仕事に向いていると思いますか?
一度に複数のことを考えることができる人が向いていると思います。ブランドの人、スタジオの人、倉庫の人のように立場が違う人と連携して仕事をすることが多いですし、今と3カ月後など、時間軸が異なる仕事が同時進行していくことが多いからです。
あとは状況が変わることに対して受け止められる人が向いていると思います。Webの世界は動きが早いので、「さっきこうだったのに」と考えてしまうともったいないことになってしまいます。考えることや行動は流れに任せ、変化を面白がれる人がいいと思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
「いいな」とか「好きだな」という感覚には素直に従ったほうがいいと思います。そして、先輩の意見は、後でヒントになることが多いので耳を傾けてみてください。高校時代は同世代とつながりやすいと思いますが、もし学外の活動などができるなら、年代が少し上の人と話ができるチャンスを作ってみるといいと思います。……といいつつも、同世代との交友関係も大事にしてほしいですね。
毎日時間帯によって、ウエブストアの見え方を変えているという話は驚きました。また写真の撮り方を工夫するなど、実物に触れることができないウエブストアならではの奮闘ぶりがよく分かりましたね。
洋服が好きでファッション業界へ進みたいと考えている人は、選択肢の一つとしてEC担当のお仕事について知っておくといいのではないでしょうか。
*EC:自社のサービスや商品をインターネット上で販売するサイトのこと
【profile】株式会社アダストリア アパートバイローリーズ営業部
スペシャリスト EC 島村 優子
この記事のテーマ
「ファッション」を解説
ファッションの専門知識や業界のビジネスノウハウを学び、感性やセンス、基礎技術を磨きます。作品の発表会や学外での職業実習などを通して職業人としての実践力を身につけるほか、資格取得を目指すカリキュラムもあります。仕事としては、素材づくりや縫製など「つくる仕事」と、PRや販売促進などファッションビジネスに関わる仕事に分かれます。
この記事で取り上げた
「アパレルメーカーで働く人」
はこんな仕事です
衣料・服飾品を企画、製造するのがアパレルメーカー。完成した製品はデパート、スーパー、小売店に卸すか、自社の直営ショップで販売する。流行変化や需要を分析するマーケティング担当、どんな製品を作るのかを企画するコンセプト開発者、素材選びやアイテムデザインに携わる人がいる。他にパタンナー、ソーイングスタッフ、生産管理者など、一つの製品に多彩な職種の仕事が集約されている。全体を統括するマーチャンダイザーという職種もあり、ファッションとビジネス両面から大学や専門学校で基本を身に付けたい。
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