専門職大学で教える「実務家教員」 ってどんな人?
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専門職大学の大きな特色の一つは、教える人の多くが「実務家教員」である点です。「実務家教員」とは、その分野で豊富な実務経験を有する教員のこと、つまりビジネスの第一線で活躍してきた人たちを指します。具体的にどのような人たちなのでしょうか。分野別の例を挙げながら紹介していきます。
この記事をまとめると
- 実務家教員は「5年以上の実務経験」と「高度の実務能力」を有することが条件
- 憧れの職業に就いていた人が、「実務家教員」として在籍している可能性も
- 「実務家教員」が4割以上を占める専門職大学では、「生きた知識」や「最先端の技能」を学べる
実務家教員に必要な条件は?
専門職大学の設置基準に示された実務家教員の条件は、大きく2つあります。一つ目は「5年以上の実務経験」を有すること、二つ目は「高度な実務能力」を持っていることです。
実務家教員は既存の大学にもいますが、全体数を見ればさほど多くはありません。大学教員の大半は「研究者教員」で、主に学術研究の領域でキャリアを積んできた人たちです。一方の専門職大学は、実務家教員をおおむね4割以上にすることが、設置基準に示されています。
さらに、実務家教員の半分以上は、研究分野での実績・能力を併せ持つ人とすることも、設置基準には示されています。こうして見ても、専門職大学の教員配置には高いハードルが設けられ、ハイレベルな授業が求められていることが分かります。
実務家教員は具体的にどんなキャリアの持ち主?
実務家教員とは、具体的にどのようなキャリアを歩んできた人たちなのでしょうか。分野別に見ていきましょう。
例えば、医療・福祉分野の専門職大学では、病院や介護施設で、医師や看護師・介護福祉士として患者や高齢者・障がい者などと向き合ってきた人が挙げられます。「実務経験5年以上」という条件からも、仕事上幾多の成功や失敗を経験し、仕事に携わることの喜びも苦労も経験している人たちだということが想像できます。
IT分野の専門職大学ならば、プログラミングやシステムの開発に携わってきたプログラマー、進行管理に携わってきたプロジェクトリーダーなどが挙げられます。誰もが知る有名なゲームやアプリ・デバイスの開発に携わった人が、実務家教員として在籍している可能性もあるかもしれません。
調理分野なら、有名レストランのシェフとして腕を振るってきた人、飲食店の大手チェーンでマネジャーとして現場を切り盛りしてきた人などが挙げられます。ここで挙げたのは例に過ぎませんが、運が良ければ憧れの職業に就いていた人から、直接指導を受けられる可能性があるかもしれません。
実務家教員から学べることのメリットは?
実務家教員から学べることの最大のメリットは、ビジネスの場で活用できる「生きた知識」や「最先端の技能」を学べることです。理論研究に重点を置いている既存の大学は、この部分が弱いとされてきたことから、毎年度1,500人~2,000人の割合で、実務家教員を増やしてきました。専門職大学では、これを「4割以上」とすることで、実社会で即戦力として活躍できる人材を育てようとしているのです。
また、専門職大学の授業の多くは少人数体制で進められるため、教員との距離も近くなります。授業中はもちろん、授業以外でも、実務家教員と気軽に会話をする機会に恵まれることでしょう。そうした会話を通じて現場のリアルな実情を知り、一流の職業人となるために必要な心構えや社交術なども学べる可能性もあります。心持ち次第では、在学中から実務家教員とのつながりを通じ、人脈を広げられる可能性だってあります。
「医療・福祉」「IT」「調理」などの分野は、いずれも大学等で構築した「理論」と、現場で行われる「実践」が両輪となって、発展を遂げてきました。「研究者教員」と「実務家教員」がバランスよく在籍する専門職大学で学ぶことができれば、「理論」と「実践」を兼ね備えた「二刀流」の人材になることができるかもしれませんね。
【出典】
文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1409977.htm
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/03/1407694_01.pdf
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/043/siryo/__icsFiles/afieldfile/2018/05/28/1405040_3.pdf