【高校総体・優勝】少林寺拳法 桜林高等学校
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インターハイの少林寺拳法で、男子団体演武、そして組演武で男女アベック優勝を果たしたのが桜林高等学校・少林寺拳法部です。建学の精神に少林寺拳法の理念「自己確立・自他共楽」を掲げている同校にとって、いわば少林寺拳法部は学校の顔といえるでしょう。
今回は主将の松田大毅君、副将の今村知絵さん、そして二人を1年生の時から指導してきた監督の土屋裕嗣先生にお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 基本を大切に、一つひとつのことを意識して練習することが大切
- 予選で思うようにいかなかった時に、先生の指導を思い出して気持ちを切り替えた
- 勝つことではなく努力の過程が大切だということを強く感じてほしい
基本を大切に、コツコツと積み上げてきたことが優勝につながった
【選手インタビュー】
―― 優勝した感想をお聞かせください。
松田:中学生の頃から少林寺拳法をやっていて全国大会で優勝した経験もあったのですが、高校に入学して組演武では1年次のインターハイで6位、2年次のインターハイでも3位だったので、今回初めて優勝することができて本当にうれしかったです。
今村:私は高校に入学してからほとんど初心者の状態で少林寺拳法を始めました。1年生の頃の全国選抜大会では1点差で2位になってしまい、組演武のパートナーとすごく悔しい思いをしました。そこから先輩方に一からいろいろ教えていただいてここまでくることができたと思っているので、すごくうれしかったです。
―― 優勝できた一番の要因は何だと思いますか?
松田:桜林の演武のいいところは基本がしっかりできていること、気合、気迫があるところです。日頃から基礎、基本を大切にすることを意識してきたので、そこが優勝につながったと思います。また団体演武では目標を明確にしないと集中力が途切れてしまい体力と時間を無駄に使ってしまうため、目標を立ててから演武の練習をするようにしました。
今村:日々の生活や練習から隙を作らず、みんなでしっかりと練習をしてきました。インターハイメンバーでなくても部員全員が1日1日を大切にして一緒に練習してきたので、それが最後の大会に結果として残せたのかなと思います。
予選で失敗はあったが、先生の指導を思い出して立て直すことができた
―― 一番苦しかったのはどの場面ですか?
松田:予選では自由組演武が思うようにいかなくて焦りました。調整時間が限られている中で、先生から指導していただいたことを思い出したり、何回も自分たちの動画を見直したりして調整しました。
今村:予選ではタイミングを間違えて返事ができないまま入場したり、演武をしている最中に滑ったりしたため、予選通過できたものの点数が伸びず、その日はずっと焦っていました。決勝の前夜、土屋先生に「自分たちらしくやれば絶対にいい演武ができる」と言われ続けてきたことを思い返して、自信を持って決勝に挑戦できました。
―― 一番努力したことは何ですか?
松田:個人的には、基礎・基本をしっかりやってきたことと、自分たちの演武の見せどころはキレとスピードなので、そこをしっかり伸ばしていきました。
また、主将として自分のことだけではなく、全員のことを考えるようにしました。あまり自分は引っ張っていくタイプではないのですが、的確なアドバイスなどをして支えることができたと思いますし、みんながついてきてくれたので、主将としての苦労はあまりなかったです。
―― 今回のインターハイ全体に対する感想を教えてください。
松田:いろいろな全国大会を経験してきましたが、インターハイは少し違った空気があり、普段あまり緊張しないのに緊張してしまいました。最後のインターハイという気持ちが強かったので、良い結果を出すことができてうれしかったです。
今村:私も今までにないぐらい緊張をしましたが、決勝の時の入場曲が偶然好きなアーティストの曲だったので、緊張がほぐれました。男女アベック優勝、そして男子が団体演武で優勝をしてくれたので、すごくうれしかったです。
これまでの努力に自信を持って人生を生き抜いてほしい
【監督・土屋先生インタビュー】
―― 優勝後、選手たちにどのような言葉をかけられましたか?
インターハイで優勝することを目標に掲げてきたので、それを叶えることができたのは本当によかったということと、私自身も指導者として子どもたちの目標達成の瞬間を味わえたのはこの上ない喜びで、ありがとうという感謝の言葉だけでした。競技が終わって私のところに駆け寄ってきてくれてお互いに泣き崩れました。言葉は少なかったですが、その瞬間は3年間の思いが詰まっていたと思います。
―― 日頃の練習ではどのようなことに注意して指導されていますか?
練習の中で妥協をしない、1日の練習の中で満足をしないことがすごく大事だと常に言い続けています。練習中はとにかく自分に対して妥協をしない、自分に負けないで練習する、練習が終わったあとも向上心を持って次に臨んでいこうという気持ちが日々の成長につながると考えています。
また、たとえ能力があっても手を抜いている生徒は厳しく指導しますし、逆に能力がなくても自分に挑戦して一生懸命やっている生徒は評価するようにしています。
―― 桜林高校少林寺拳法部を一言で表現するなら、どのようなチームだと思いますか?
「素直」です。すごく素直な子たちが多いので指導したことをスポンジのように吸収してくれます。松田については少林寺拳法の経験者でしたが、経験者であっても変えていかなければいけない部分があって、そこを素直に取り組んでくれました。
今村は初心者である中で、少林寺拳法の教えや技術を素直に吸収して学んできてくれたと感じます。
―― 今後、優勝した経験をどのように生かしてほしいと思われますか?
優勝したことが素晴らしいことではなくて、優勝するまでの過程が大事です。優勝したことよりも努力を積み重ねてきたということ、その結果日本一になったわけですから、日本一の努力だったといえるのではないのでしょうか。それを自信にしてこれからの人生を生き抜いていってもらいたいと思います。
私が関われるのは高校3年間だけです。その間に少林寺拳法という武道や部活動を通じて、人生で生き抜く力や素直さ、人に頼られるような人間性を養うことが結果よりも大切だと考えています。そのことを強く感じてくれればこれからいい人生を歩んでくれるのではと思います。二人とも大学へ進学して少林寺拳法を続けてくれるようなので、今後も活躍を楽しみにしています。
優勝が決まり、松田君も今村さんも土屋先生に駆け寄って泣き崩れたというエピソードは、胸が熱くなるものがありました。松田君と今村さんの話からも、先生との絆の深さが随所にうかがえるものでした。少林寺拳法をこれからも続けていくというお二人。今後の活躍にも期待したいですね。
【profile】桜林高等学校
少林寺拳法部監督 土屋 裕嗣 先生
主将・松田 大毅 君(3年)
副将・今村 知絵 さん(3年)