フクロウやハリネズミなど……夜行性の動物はどうして夜中に活動するの?

フクロウ・ハリネズミといった人気の動物は夜行性で、私たちが活動している日中はおやすみモード。活動する時間帯が人間と異なるために、ちょっぴりさみしい思いをしている飼い主さんも少なくないはず。ところでどうして昼間に活動する動物と夜間に活動する動物がいるのでしょうか?
この記事をまとめると
- 実は夜行性が多い? ペットとして人気の動物たち
- 夜に活動する理由はそれぞれの動物で異なる
- 人間の影響で夜行性になった動物もいる
ペットとして人気の動物たちは夜行性
フクロウ・ハリネズミ・ハムスター・チンチラといった人気のペットは夜行性として知られています。また動物園でも昼間はほとんど眠っており、夜間になると活動する動物も少なくありません。動物園の人気者であるレッサーパンダ・アライグマも実は夜行性です。
来園者のために夜行性の動物をわざわざ昼と夜を逆転させた施設で飼育したり、夜間に営業している動物園もあります。ところでこういった動物たちが夜間だけ活動するのは、一体どういう理由からなのでしょうか?
どうして夜に活動するのか?
例えばフクロウは、フクロウと同じように小動物を餌としているワシ・タカと活動時間を逆の夜間にすることで、エサの取り合いといった状況を回避しています。フクロウは種類にもよりますが、おおよそは同じ猛禽類(もうきんるい)のワシ・タカと比べると狩りの能力が劣っているからです。
また、ネズミなどのように天敵が活動している昼間を避けて夜間に行動する動物や、キツネザルなど日中に活動すると体温が上がりすぎてしまうために夜間に活動をしている動物もいます。
ちなみに恐竜時代の哺乳類は、天敵である恐竜からの捕食を避けるために夜間に行動していたとされており、その時の性質を現代にも受け継いでいるとも考えられています。
昼と夜が逆転して活動するようになったのは人間のせい?
ところが最近、夜行性の動物たちが昼間に活動するケースが増えています。本来夜行性であるネズミが昼間に活動していることも。これはネズミの繁殖に勢いがあり、夜の間に捕った餌だけでは足りていないことが原因なのではないかと考えられています。もし昼間にネズミを見かけることがあったら、その近くでネズミがたくさん繁殖しているかもしれません。
逆に、人間が原因で夜間に活動せざるを得なくなった動物もいます。イノシシ・シカといった動物は人間が狩猟などの活動をしている昼間の時間帯を避けて、夜間の時間帯に行動する傾向があることが判明しています。
人間にとっては都合がいいように思えるかもしれませんが、本来昼間に活動する動物が夜間に活動することで、エサとなるものが変わってくる可能性があります。さらにエサが変わることによって生態系にも変化が起こるのではないかと心配されているのです。
人間の活動範囲が広がりを見せる中で、動物の活動時間帯や生態系に影響を及ぼしています。このような自然と人間の共存について興味がある人は、生物学を究めてみてはいかがでしょうか?
【出典】
京都市動物園
http://www5.city.kyoto.jp/zoo/uploads/image/Q216.pdf
生活110番
https://www.seikatsu110.jp/animal/am_mouse/12894/
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33044560X10C18A7CR0000/
なきごえ 天王寺動物園
http://nakigoe.jp/nakigoe/2015/10/report02.html
札幌市丸山動物園
http://www.city.sapporo.jp/zoo/doubutsu/mokinsha/index51.html
昼も夜も動くキツネザル:周日行性の系統発生と至近メカニズム、および適応的意義をさぐる 佐藤宏樹
https://www.jstage.jst.go.jp/article/psj/advpub/0/advpub_33.003/_pdf
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちはほかの生物から栄養をもらって生活をしています。しかも、採集や狩猟だけではなく、食物を生産するという手段を得て、今日のように繁栄しました。人口増加や環境悪化などに対応し、将来的に安定した食料の確保を維持するためには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が必要です。さらに突き詰めて考えれば、動植物や微生物などの多様な生物に対する研究も重要です。自然との共生が大きなテーマになる学問です。
この記事で取り上げた
「生物学」
はこんな学問です
マクロな地球の生態系からミクロな細胞の世界まで、さまざまなレベルで起きている生命現象を実験・観察することによって研究する学問である。人間を含めた動物・植物・微生物など、あらゆる生命体が研究対象となる。主な研究分野としては、タンパク質を中心にした生体内の高分子の機能をその構造から研究する「構造生物学」、生態系の構成要素である生物と環境の関わりを研究する「環境生態学」などがある。
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