【高校総体・優勝】ヨット・男子420級 逗子開成高等学校
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インターハイヨット男子420級で優勝した逗子開成高等学校。インターハイ前の取材で「目標は優勝」と語ってくれましたが、見事に有言実行を果たしました。
事前取材でお話をしてくださった2年生の国見有君(写真左)と金光浩志君(写真中央)を再び訪ね、インターハイでの様子をお聞きしました。また二人を指導してきたヨット部顧問の内田伸一先生にもお話を伺うことができましたので紹介します。
この記事をまとめると
- 実際に優勝したら驚きの気持ちが大きかった
- 今年のインターハイを振り返り、すでに来年のインターハイを目指している
- インターハイ優勝という貴重な経験を次の世代に伝えてほしい
大きなミスをせず、風をうまく理解できたことが優勝につながった
【選手インタビュー】
―― 優勝した感想をお聞かせください。
国見:戦った選手の多くは3年生で、僕たちは予選の時点で優勝できるようなレベルではなかったのですが、優勝することができてすごくうれしいです。インターハイが行われた和歌山県の海の風は神奈川県のものとは全然違って、いかにうまく風に合わせられるか、風をどう理解するかという力が問われました。そこがうまくいったと思います。
金光:僕も最初は優勝できるとは思っていませんでした。途中ミスもありましたが、それでも最後にうまくレースがまとまってこういう結果になってよかったです。正直言うと優勝して驚きの気持ちのほうが大きいです。
―― 優勝できた一番の要因は何だと思いますか?
国見:僕自身のことでいうと経験の差があったかもしれません。インターハイの雰囲気は他の大会とは全然違っていたので緊張しましたが、今まで長くヨットをやってきて大会に出る経験が多かったので、慣れという部分では有利だったかもしれません。あとはヨット部のみんなの手厚いサポートがあったからだと思います。
金光:僕はヨットのレースに出るようになったのが高校に入ってからで、数えるほどしか経験がないのですごく緊張しました。ですが試合が始まって海に出ると緊張が少しほぐれ、ほどよい緊張感でレースができたと思います。これまでのレースと違うのは大きなミスをしなかったことです。今まではヨットが転覆したり落水したりすることもありましたが、今回はそういう大きなミスをしなかったのが結果として良かったのかなと思います。
初日の成績は前年よりも悪かったが、まわりのサポートで立て直した
―― 一番苦しかったのはどの場面ですか?
国見:インターハイでは大会が4日間続いて、1日に何試合も行います。初日の成績が全然振るわなくて、昨年よりも良くない結果が出てしまったことが一番不安で苦しかったです。先輩、同期、後輩がサポートしてくれたおかげで自らを奮い立たせることができました。
金光:大会3日目は、普段練習をしたことがない16時という時間からレースが始まりました。経験したことがない時間帯だったので集中力が欠けてしまいたくさんミスをしたので、そこが一番苦しかったです。
―― 勝つために一番努力したことは何ですか?
国見:僕たちは他の学校よりも練習量が少ないので、練習の質で勝つしかないということを意識してきました。海にいる時間は常に疑問を持ちそれを克服するということを繰り返して、他の学校よりも質を上げていったところが一番努力したところです。
金光:最後まで妥協しないことを意識して頑張ってきました。大会中は意識できていたと思いますが、普段の練習ではどこかぬけてしまうところがあったので、今後は普段の練習でも妥協せずに取り組みたいです。
―― 今回のインターハイ全体に対する感想を教えてください。
国見:僕は昨年もインターハイに出場しましたが、まわりの雰囲気についていけませんでした。今年も3年生の雰囲気には勝てなくて、レースに対して真剣になりきれず楽しんでいる部分が少しありました。今回は優勝できましたが、このままでは本気で勝ちにきた人に負けてしまうと思うので、そういうところを直して来年に生かしたいと思った大会でした。
金光:僕は今年初めてインターハイに出て、レースの経験もなく全体的に国見に頼りっきりでした。来年出場できるなら、頼りがいのある、頼ってもらえる側になりたいと感じました。
優勝した経験をしっかりと自分のものにして、若い世代に還元してほしい
【顧問・内田先生インタビュー】
―― 優勝後、選手にどのような言葉をかけられましたか?
実は、私は本部の役員としてインターハイに行きましたので、現場の指示は若い2人の先生がしてくれました。私は立場上、自分の学校の生徒と話をしないように意識していたので、レース直後はあまり一緒にいられませんでした。
そうはいっても気持ちの上ではずっと応援していましたし、優勝したことはうれしかったです。私自身逗子開成ヨット部のOBですので、ありがとうという気持ちです。選手たちや選手たちを見てきた若い先生2人がしっかりしていたことが結果につながったと思っています。
―― 日頃の練習ではどのようなことに注意して指導されていますか?
強豪校と比較すると、練習時間が絶対的に少ないです。そういう環境の中ですが内容を工夫し、場面場面のポイントを切り取った実践的な練習をするように指導してきました。
また、3人の顧問が全員ヨットに乗れるというのは大きいと思います。現役でヨットに乗っているので、失敗したときの引き出しが多いんです。「こういうときに失敗するよ」と伝えられることは、競技としてはもちろんのこと安全面を考えてもいいことだと思います。
―― 一言で表現するなら、お二人はどんな生徒だと思いますか?
「文武両道」ですね。勉強面も二人は学年で10番以内に入っていますし、きちんとやっています。私は20年間ヨット部の顧問として携わっていますが、勉強ができる子は競技成績もいいんです。競技成績は良いけど勉強をおろそかにしているという子はあまりいないですね。
―― 今後、優勝した経験をどのように生かしてほしいと思われますか?
彼らにとっては少し先の話になってしまいますが、ヨットを通して得た経験を次世代、ヨットでいえば後輩たちに還元できるかどうかが勝負だと思います。ただ勝っただけでは価値がなくて、ここでやったことや学んだことを、どうやって自分のものにして、次の世代に伝えていけるかが重要です。せっかくインターハイ優勝という貴重な経験をしたのですから、ぜひ若い世代に伝えていってほしいです。
インターハイに優勝したことは、驚きのほうが大きかったと語る国見君と金光君でしたが、すでに大会の反省をして来年のインターハイに目を向けているところに逞しさを感じました。2連覇を目指してすでに始動している逗子開成高等学校・ヨット部にこれからも注目していきたいですね。
【profile】逗子開成高等学校
ヨット部顧問 内田 伸一 先生
国見 有 君(2年)
金光 浩志 君(2年)