知識ゼロでも問題ナシ! 日常の疑問を語り合う「哲学カフェ」の魅力とは?

皆さんは「哲学カフェ」というものをご存知でしょうか? 哲学カフェとは、一言で言うと見ず知らずの人同士が1つの場に集まり、お茶を飲みながら決められたテーマについて話し合うイベントです。一見小難しいように思えますが、どんな風に行われているのでしょうか?
この記事をまとめると
- 「七夕で短冊に願い事を書く意味はあるの?」見知らぬ人と自由に議論
- 自分の意見を最後まで聞いてもらえることが哲学カフェの大きなメリット
- 価値観の異なる人と話した経験は、高校卒業後も役に立つ
哲学カフェってどんなところ?
喫茶店だけでなく、公民館や、お寺、駅の中などさまざまな場所で運営されている哲学カフェ。そんな哲学カフェを2005年から実践しサポートを続けている任意団体「カフェフィロ」代表の山本和則さんに、哲学カフェの魅力について伺いました。
―― 哲学カフェは、どんな場所なのでしょうか?
哲学カフェは全国に100以上あり、ここ4、5年くらいで爆発的に増えている印象があります。スタイルは多種多様ですが、「人が集まってテーマを決めて話す」というのは共通していますね。哲学カフェの流れとしては、まず進行役が趣旨を説明し、テーマに沿って自由に話し合います。進行役は誰かが他の参加者の話を遮ろうとしたり、質問が分かりづらかった際にスッとサポートに入る程度です。また時間がくればどんなに紛糾していても議論を打ち切ります。そのため、中には「話し足りない」と 二次会に行く参加者も珍しくありませんね。
―― 具体的には、どのようなことが話し合われているんですか?
日常に関する疑問は盛り上がりやすいですね。七夕の日には「願い事」をテーマに哲学カフェを開催しました。そこでは「短冊に願い事を書いて飾ってもしょうがない?」「世界平和を願うならまだ分かるけど、大学合格は自分で努力すれば達成できる目標なんじゃない?」「願い事と目標の違いは何?」など、たくさんの意見が飛び交いました。
―― 哲学カフェには、どのような年齢層の人がいますか?
参加者の年齢層は、10代から80代までととても幅広いですね。中には最初は親と一緒に参加していたのに、次からは一人で参加してくれた中学生の子もいました。参加してみて面白いと感じてもらえたと思うとうれしいですね。
哲学カフェの由来とメリットは?
――哲学カフェに参加するメリットは何でしょうか?
哲学カフェに参加する目的はさまざまです。家や学校・職場といった限られた人間関係を離れ、見知らぬ人とゆっくり付き合えることが気に入っている参加者もいますし、頭のトレーニング目的で参加される人もいます。参加者にとって、自分の意見を最後まできちんと聞いてもらえることも哲学カフェの良いところです。悲しいかな、日本には意外とそういう場所が無いですよね。
哲学カフェは高校生にこそ参加してほしい
―― 哲学カフェをどのような人にオススメしたいですか?
高校生は同年代の友達との付き合いが多い分、いろいろな年代の人と話したり考えたりすることがすごく新鮮な経験になると思います。また哲学カフェでは大人も子どもも対等です。年齢や肩書き関係なく、全員が同じ土俵に立って話せる経験はあまり無いのではないでしょうか。大人より高校生のほうがよく考えているなと感心することも珍しくないんですよ。
また、哲学カフェで人と話していると、「自分の話が全然伝わらない」という衝撃的な経験を何度もしたりします。話が伝わらないのは、前提の知識や価値観が全く違うから。そういう人たちに自分の意見を伝えたり、話を聞いたりするという経験は、高校を卒業した後でも役に立つんじゃないでしょうか。
中には、学生が運営している10代限定の哲学カフェもあるとのこと。興味が湧いたらチェックしてみてはいかがでしょうか。
哲学カフェで行われているように日常的な疑問から物事の本質を掘り下げていくのは哲学という学問です。もしかしたら、今あなたの抱えている「なぜ?」も、哲学への入口かもしれませんよ。興味を持った人は、ぜひ「哲学」を学んでみてくださいね。
【取材協力】カフェフィロ
http://cafephilo.jp
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は、長い歴史のなかで変遷してきた人間の生活や社会、人々の考え方や感情の変化などを、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解いて比較検討し、過去から現在、さらには未来に至る人間のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、今日の私たちの生活や文化、経済活動などについて、基盤となった地形や気候、史実やさまざまな事象、最新の研究結果や歴史的な遺構をもとに、その成り立ちから考える分野です。
この記事で取り上げた
「哲学」
はこんな学問です
哲学は、古代ギリシア時代には学問全般を指していたが、近代に入って学問が専門分化していくなかで、あらゆる学問の基礎となる学問、世界や人生の根本となっている原理を探究する学問として位置付けられるようになった。また、哲学という学問には、もう一つの領域がある。それはヒンドゥー教・仏教の思想から生まれたインド哲学、儒教・道教などの思想から成り立つ中国哲学のように、アジアの世界観や人生観・自然観から育まれた東洋哲学である。