【高校総体・優勝】水泳200M・400M自由形 日本大学豊山高等学校
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今回のインターハイで200m・400m自由形の二冠に輝いた、日本大学豊山高等学校3年の吉田啓祐君。キャプテンとして選手たちを引っ張り、チームも見事総合優勝を達成しました。3回目のインターハイ出場となった今年は、前回にはなかった大きな緊張やプレッシャーに苦しさを感じる場面も多かったそうです。そんな吉田選手と監督の竹村知洋先生に、優勝の感想とともにインターハイを振り返っていただきました。
この記事をまとめると
- 200m・400m自由形の二冠を達成! チームも総合優勝
- 緊張で眠れず臨んだレース。監督や保護者からの声かけで心が落ち着いた
- さまざまな困難を乗り越えた選手たちに、監督からは感謝の言葉が
練習を頑張った成果が優勝につながった
【 吉田啓祐君インタビュー 】
――優勝した感想をお聞かせください。
今年は200m・400m自由形の二冠を達成できてとても嬉しいです。去年のインターハイで初めて優勝を経験して(400m自由形)、今年はすごくプレッシャーを感じていました。監督からも「優勝した後、それを継続するのが難しい」と言われたのですが、本当にその通りで。去年はチャレンジャーとして「やってやるぞ」という気持ちしかなかったのですが、今年は周りからの期待の声も多く、不安と緊張でいっぱいでした。実は自分のベストタイムには届かず、少し納得がいっていない部分もあります。それでも優勝という結果を残せたことは、とてもよかったと思っています。
また今年は去年に続き、チームでも総合優勝を達成することができました。これは僕だけでなく、チームの仲間達みんなで高め合ってつかみ取った結果です。練習でもずっと総合優勝を目指して全員で頑張ってきたので、優勝が決まったときは本当に嬉しかったです。
――優勝できた一番の要因は何だと思いますか?
やっぱり練習を頑張った成果が優勝につながったんだと思います。去年は1人や2人での練習が多く、つらいときに周りに誰もいなくて寂しい気持ちになることがありました。でも今年は一緒に練習するグループの人数が増えて、お互い良いライバル意識が生まれたと思います。練習でも「ほかの選手には負けたくない」という強い気持ちで泳ぐことができました。
――一番苦しかった試合はありますか?
大会2日目の200m自由形のレースです。1日目は400m自由形や4×100mフリーリレーで優勝できて、気持ちに余裕もありましたが、2日目は緊張しすぎて夜2時間しか眠れなかったんです。そんな状態で予選に臨んだもののベストタイムを大幅に下回ってしまい、「今日はダメかもしれない」という気持ちになってしまいました。でも「チームのためにも優勝しなければ」と思い直し、決勝では優勝するためのレース展開へと切り替えて、何とかギリギリ勝つことができました。
そのときは心も体も本当に苦しかったのですが、監督に声をかけてもらって、ガチガチに緊張していた気持ちを立て直すことができました。また、親や他の選手の保護者の皆さんが声をかけてくれたおかげですごく心が落ち着きました。でも緊張のせいか、どんな言葉をもらったか全く覚えていないんです(笑)。
大会で経験したプレッシャーや苦しさは、今後の成長のチャンスになる
――勝利のために一番努力したことは何ですか?
勝つためにはやっぱり練習あるのみです。1年生のときは先輩たちのあとについて練習していましたが、3年生になって「自分が練習で諦めたりだらしない姿を見せたりしたら後輩はどう思うだろう」と考えるようになりました。僕はキャプテンなので、選手のみんなを引っ張っていかなければいけない立場でもあります。日々の練習を頑張る中で、「絶対負けないぞ」という強い気持ちも見せられたのではないかと思います。
――今回のインターハイ全体に対する感想を教えてください
「総合優勝」というチームの目標が達成できてとても嬉しいです。個人としては納得のいくタイムを残すことはできませんでしたが、大きなプレッシャーの中で優勝という結果を出せて本当によかったです。今回の大会で経験した苦しさは、今後つまずきそうになったときや同じようにプレッシャーのかかる試合で、自分を進歩させてくれるチャンスになると思います。
選手たちには勝負だけでなく「人として大切なこと」を伝えたい
【 竹村監督インタビュー 】
――優勝後、選手たちにどのような言葉をかけられましたか?
「ありがとう」という感謝の言葉です。私は日頃から選手たちに、周りの人たちに感謝することの大切さを繰り返し伝えてきました。今回の大会で、心身ともにさまざまな困難を乗り越えた彼らに対して、私も感謝の気持ちでいっぱいになりました。
――日頃の練習ではどのようなことに注意して指導されていましたか?
勝負はもちろん大事ですが、それだけではなく、人として大切なこと、将来に必要なことを伝えたいと思っています。たとえば他人を敬う、きちんと挨拶をする、周りの人に感謝をするなど、言葉にすると当たり前のようですが人としてとても大切なことです。水泳部での指導はあくまでも学校教育の一環です。私も学校の一教員として、部での指導と同時に授業での学習や寮での生活指導なども行います。そのようなことも全て含めた「全人的な教育」を常に意識しています。
――吉田選手を一言で表現するなら、どのような人だと思われますか?
「物怖じしない選手」でしょうか。大舞台でもしっかりと自分の力を発揮できる強さがあると思います。
また、今回のチームを一言で表現するなら「明るいチーム」ですね。つらいことや苦しいことがあっても前向きに取り組んでいけたのは、選手たちの中に根本的な明るさがあったからだと思います。
――今後、優勝した経験をどのように生かしてほしいと思われますか?
私から選手たちに「こんな風に生かしてほしい」などと伝えることはありませんが、将来、今回の経験はきっと生きていくと思います。大学生や社会人になって困難に突き当たったときも「あのとき頑張った」という経験がきっと生きるはずです。もちろん「優勝」という結果は、彼らにとってよりプラスになるでしょう。でもそれだけではなく、日頃の練習やいろいろな試合、自分のベストタイムを超えたこと、そういった全ての経験が将来の糧になると思います。
「優勝できたのは僕一人の力ではなく、チームのみんなと高め合うことができたから」と言う吉田選手。竹村監督からも「選手たちには日頃から感謝の大切さを伝えている」というお話がありました。個人競技というイメージのある水泳ですが、切磋琢磨し合える仲間がいるからこそ、最大限の力が発揮できるのかもしれませんね。
【profile】日本大学豊山高等学校 水泳部
吉田 啓祐君(3年)、竹村知洋監督