“学生”に“カルピス”!? 普段使われている意外な仏教用語

「学生、カルピス、玄関。これらの言葉の共通点は?」というクイズが出された時、すぐに答えられる人は少ないでしょう。答えは“仏教用語を由来とした言葉”。このように普段、何気なく使っている言葉には仏教由来のものがたくさんあります。ここでは仏教由来の意外な言葉や、言葉に秘められた深い意味を紹介します。
この記事をまとめると
- “学生”や“大衆”は仏教由来の言葉
- 仏教用語の多くはサンスクリット語が由来
- “玄関”や“大袈裟”は現在と異なる意味だった
「超ヤバいんだけど!」の超も仏教用語
「ありがとう」「大丈夫」「バカ」「退屈」など、皆さんが何気なく使っている言葉には、仏教由来のものがたくさんあります。「超ヤバいんだけど!」といった言い回しに使う「超」も、もとを辿れば“完全なさとり”を意味する仏教由来の言葉です。では、身近な仏教由来の言葉にはどんな意味が隠されているのでしょうか?
例えば、学校に通う生徒を指す“学生”という言葉。仏教では“ガクショウ”と読み、学校に通う人のみならず、学問を学ぶ人を称して“学生”と呼んでいたそうです。ちなみに比叡山の衆徒は学生である“大衆”と、一山の雑務を担当する“堂衆”とに分かれていました。現在では“一般の多くの人”といった意味で使う“大衆”という言葉も、“仏法によって調和のとれた人々の集まり”という意味で使う仏教由来の言葉だったのです。
“カルピス”はサンスクリット語が起源?
その他、意外なところでは企業名の“カルピス”という言葉。仏教では乳、酪、生酥、熟酥、醍醐を“五味”といい、五味の最高位をサンスクリット語で“サルピルマンダ”(醍醐)、次位を“サルピス”(熟酥=じゅくそ)と言います。それに牛乳に含まれたカルシウムの“カル”と組み合わせて、“カルピス”という造語が生まれたそうです。
仏教用語の多くはインドなど南アジアや東南アジアで用いられていたサンスクリット語が由来となっており、サンスクリット語で書かれた仏教の聖典は、中国を経由して日本に伝来しました。日本では“梵語”とも呼ばれるサンスクリット語は、紀元前4~5世紀に確立した言語です 。 サンスクリット語と言われても、どんな言葉かピンとこないと思いますが、仏陀(ブッダ)、曼荼羅(マンダラ)、達磨(ダルマ)など、誰もが口にしたことのある仏教用語にはサンスクリット語を音で写した言葉が多く、皆さんは知らぬ間にサンスクリット語に親しんでいたのです。
先人の教えを学び、未来へ伝承する宗教学
現在では、もとの意味とはかなり異なる使い方をされている言葉も多くあります。例えば、どの家にもある“玄関”。もともとは“玄妙(げんみょう)な道に入る関門”、“悟りへの関門”という意味で使われていました。玄関とは外へ出るところであり、外から内へ入るところ。もとの意味とは異なりますが、出ることと入ることの両方を成り立たせる場所という意味で、玄関という言葉が使われるようになったのでしょう。
また、話や物事を実際以上に誇張する“大袈裟”という言葉。袈裟とはお坊さんが修行する時などに着る衣の上に、左肩から下脇下に掛ける長方形の布の事で、大袈裟とはたくさんの布地をつなぎ合わせて作った、大衣(九条衣)のような大きな袈裟のことを指す言葉でした。現在のような使われ方をするようになったのは、臨済宗の開祖・栄西が大きな袈裟を着て町を歩き、物の言い方も大きかったことから必要以上に誇張することを“大袈裟”というようになったという説など、諸説あるようです。
仏教以外にもキリスト教、イスラム教をはじめ、日本の民間信仰、世界各地の民族宗教、新宗教まで、時間や空間を超えて広く宗教に関わる宗教現象を研究対象とする宗教学。このように普段何気なく使っている言葉に詰まった先人からの教えを学び、未来へと伝承していく方法を考えるのも宗教学のおもしろさです。
【出典】
真宗大谷派東本願寺|えっ!仏教語だったの?
http://www.higashihonganji.or.jp/sermon/word/
身近な仏教用語 - 浄土真宗本願寺派 本誓寺
https://www.honseiji.net/%E8%BA%AB%E8%BF%91%E3%81%AA%E4%BB%8F%E6%95%99%E7%94%A8%E8%AA%9E/
JA葬祭みやぎ|生活の中の仏教語
http://ja-sousai-miyagi.jp/buddhism/index.html
すこやか乳酸菌「カルピス」:Q&A-生い立ちや由来について
http://sukoyaka.calpis.co.jp/faq/source.html
語源由来
http://gogen-allguide.com/
ディラ国際語学アカデミー|サンスクリット語
http://www.dila.co.jp/language/each/index.html?language_id=324
三省堂|サンスクリット語・その形と心
https://www.sanseido-publ.co.jp/publ/gen/gen2lang/sanskrit_go/
アーリーバードの収穫
http://isyoichi.seesaa.net/article/453531317.html
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は、長い歴史のなかで変遷してきた人間の生活や社会、人々の考え方や感情の変化などを、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解いて比較検討し、過去から現在、さらには未来に至る人間のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、今日の私たちの生活や文化、経済活動などについて、基盤となった地形や気候、史実やさまざまな事象、最新の研究結果や歴史的な遺構をもとに、その成り立ちから考える分野です。
この記事で取り上げた
「宗教学」
はこんな学問です
実は、欧米の大学でも19世紀末に初めて開講された比較的、歴史の浅い学問である。それまでは、あくまでもキリスト教の神学だけが学問の対象とされてきた。そのタブーを破り神学から独立してできたのが宗教学だった。世界の三大宗教といわれるキリスト教、仏教、イスラム教をはじめ、日本の民間信仰、世界各地の民族宗教、前世紀から今世紀にかけて急成長した新宗教まで、時間・空間を超えて広く宗教に関わる事象を研究対象とする。
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