インターハイで優勝した時が競技人生で一番うれしかった瞬間 バスケットボール・吉田亜沙美さんインタビュー
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女子実業団のトップクラス12チームが競い合う、バスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)。10連覇という快挙を成し遂げたのが、千葉県柏市を本拠地とするJX-ENEOSサンフラワーズです。
JX-ENEOSサンフラワーズでガードとして活躍する吉田亜沙美選手は、高校3年生のときにインターハイへ出場し優勝しました。スポーツをする多くの高校生が目標にするインターハイ出場。その大舞台で優勝をした経験や、高校時代のバスケットボールへの取り組み方など、吉田選手に貴重なお話を伺いました。
この記事をまとめると
- 部活はもちろん、高校生活全体がとても楽しかった
- 常に本番を意識した練習をしていた
- 限られた選手だけが出場できるのがインターハイ
「インターハイで優勝しよう!」友達との約束を果たすことができた
――高校生の頃は、どのような生徒でしたか?
高校生活がとても楽しく、早く学校へ行って友達に会いたい、バスケットボールの練習をしたいと思っていました。
私は中高一貫校に、中学のときから通っていました。所属していたバスケットボール部は中学から進学した子たちがほとんどでしたが、普段の学校生活は高校から入学してきた新しい友達と過ごすことが多かったですね。ラクロス部や剣道部など、それぞれの部活で頑張っている友達の勝った報告などを受けて、「私も頑張ろう!」といい刺激をもらっていました。
高校時代はバスケットボール中心の生活でしたが、部活が休みだった月曜日だけは、友達と一緒に帰っていろいろな話をしたり寄り道をしたりしてリフレッシュしていました。
――インターハイでの思い出はありますか?
中学から同じ仲間とバスケットボールをやってきて、中でも特に親しくしていた友達と「自分たちの代で必ず全国制覇しよう」と約束していました。しかし中学3年生のときは優勝することができず、高校3年生のインターハイでその約束をかなえることができました。その勝った瞬間がバスケットボール人生で一番うれしかったことですね。
私は高校1年生から試合に出場していましたが、約束をした友達はなかなか試合に出ることができず、3年生で試合に出られるようになった選手でした。インターハイで優勝した瞬間、一緒にコートに出ていたその友達に走り寄ってハグをしたことを覚えています。
当時私はキャプテンで、友達が副キャプテンでした。私は言葉ではなく一生懸命練習をする姿を見せることで仲間に気持ちを伝えるタイプだったのですが、友達が副キャプテンとして私を支えチームをまとめてくれました。そういう意味でもかけがえのない存在だったと思います。
練習でも負けたくない! この気持ちで臨むことが大切
――高校時代、勝つために努力していたことはありますか?
高校時代は、練習でいかに集中して求められているバスケットをできるかということを常に考えていました。練習中はいい意味でピリピリしていましたし、仲間同士いろいろ言いあえる環境の中でバスケットボールができました。
監督が「努力は裏切らないから」と言い続けてくれたので、朝練習をしたり、体力をつけるために走ったり、体幹トレーニングをしたりしていました。チーム全体が、誰かにやれと言われてやるのではなくて自主的にやる雰囲気があったと思います。
また、試合のときに困らないよう本番を想定して練習をするチームだったので、本気モードで練習をする仲間ばかりでした。私は負けず嫌いなので、ゲーム形式に入る前の分解練習でも「負けたくない!」と思って取り組んでいましたね。
――高校時代の経験は、その後の競技人生にどんな影響を与えたと思いますか?
高校のとき練習してきたことが、全て今のプレーの基本になっていると思います。
例えば私はディフェンスが好きなのですが、ディフェンスの楽しさを教えて下さったのは高校時代の監督です。バスケットボールのスタイルは変わっていくかもしれませんが、基本としているものはブレずにやれていますし、そのことがWリーグでプレーできる理由かなと思います。高校時代の経験があったからこそ学べたものなので、それがなかったら今の私はいませんでした。
インターハイに出場することで、競技の楽しさを伝えてほしい
――高校生に向けてメッセージをお願いします。
インターハイは、バスケットボールだけじゃなく、いろいろな競技の選手たちが目指している大会です。もちろんインターハイは限られたチーム、限られた選手しか出られない大会なので、そういうことに対して自覚を持ってほしいなと思います。
出場できるチームや選手がいる一方で、負けたチームや選手がいます。そういう人たちのためにもインターハイでフェアなプレーをして見ている人に感動を与え、競技の楽しさを伝えてほしいと思います。ぜひいろいろな競技で一人でも多くのファンを増やせればと思うので、精一杯頑張ってほしいです。3年生にとっては仲間と出場できる最後の大会なので、楽しんでもらいたいし、悔いなく全力で頑張ってほしいです。
私がインターハイに出たときに、先生方や同級生が応援に来てくれたのがすごく力になりました。同じ学校の人が見にきてくれるだけでうれしかったし、とてもモチベーションが上がりました。暑い夏に熱いものを見られるというのはスポーツの魅力の一つだと思うし、インターハイには高校生ならではのドラマがあると思います。
取材でお会いした吉田選手はとても格好よく、キリっとした女性でした。その一方で「楽しかった高校生活で、唯一嫌だったのは授業」と笑いながら語るかわいらしい面も。そうはいっても高校時代、週に2日あったという調理実習ではいろいろな料理を作ったとのこと。得意料理は「試験でたくさん作ったハンバーグ」と教えて下さいました。
「努力は裏切らない」という言葉を信じて地道に努力を続けた吉田選手だからこそ、道は開いていったのだなと感じました。
【profile】 JX-ENEOSサンフラワーズ 吉田 亜沙美選手
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