文理・学部を限定せずさまざまな企業に参加! 先輩に聞く、インターンシップ体験・理系編
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高校生の皆さんの中には、理系学部へ進学して何かを研究開発しようと考えている人もいるのではないでしょうか? 文系学部に比べて進むべき道がはっきり見えている一方で、「本当にこの道1本でいいのだろうか」と思い悩む人も少なくないようです。
そんな迷いを持つ中、インターンシップに参加した先輩がいます。現在国立大学工学部4年に在学し大学院進学を目指す木幡壮真さんの経験談を紹介します。
この記事をまとめると
- 自分の専門と違う世界を見てみたいという思いで参加したインターンシップ
- スペシャリストは理系だけではなかった!
- もっと知識を蓄えて自分の武器にしたいと改めて大学院進学を決意
「この道1本でいいのだろうか」そんな思いからインターンシップへ参加
――インターンシップはいつ参加しましたか?
私は全部で3社のインターンシップに参加しました。
最初に参加したのは大学2年の4月から9月にかけてです。私の大学では2年生の前期にあまり授業がなく、この時期を利用して知り合いの紹介でプログラミング関連企業のインターンシップに参加しました。2番目は大学3年の夏休みに3日間、一般企業で営業のグループワークのインターンシップに参加をしました。3番目も大学3年の夏休みを利用して2週間メーカーの研究所でインターンシップをしました。
――3社とも違う仕事のインターンシップのようですが、目的は何でしたか?
私は工学部機械工学科に在籍していて、ロボットや自動車のエンジンをつくる勉強などをしています。最初のインターンシップの時は、日頃携わっていないITに関わりたいと参加しました。
2番目にインターンシップへ参加した時は大学院への進学を決めていましたが、だからこそよけいに理系っぽくないところでインターンを経験したいと思いました。実は当時、将来エンジニアの道1本でやっていける気がしなかったのです。工学部は「本当にこれが好き!」という人が多かったのですが、私自身はそうじゃないと感じていたからです。そのため、他に何かできることがあったほうがいいと思い、営業のインターンシップへ参加しました。
3番目のインターンシップは、大学経由で参加をしました。3社の中で一番専門に近いもので、同時期に営業のインターンシップへ行く傍ら、研究開発の現場を見ることができたら、より参考になると考えました。
――インターンシップでは具体的にどんなことをしましたか?
最初の会社では、プログラム自体の開発に関わることはできなかったのですが、プログラムの仕組みを教えてもらいながら、業務の細かい部分をお手伝いする仕事でした。
2番目の会社では、営業の模擬体験や課題解決について1グループ6人ほどでグループワークを行いました。
3番目の会社では、医療用機器の生産に関わりました。従来の生産方法から別の生産方法に変えた場合、今までどおりのスピードでうまくできるかどうかを実際にやってみた感じです。インターン期間中、ずっと社員の人が1対1でついて指導をしてくださいました。
インターンシップで、営業もスペシャリストなんだと実感
――インターンシップで楽しかったことやうれしかったことは何ですか?
2番目のインターンシップに参加した時に、自分とバックグラウンドが違う人たちと一緒にできたことが楽しかったです。大学もさまざまで工学部出身は私一人でしたし、意見を出し合ったときも「いろいろな考え方があるなあ」と感じて面白かったです。
また3番目のインターンシップは、研究開発でインターンを行っているところがあまり多くないのでとても貴重な経験でした。特に研究目線で工場見学をすることができ、実際に工場で機器が作られているところを見せてもらいながら「こういうふうに作って動いているんだよ」と教えてもらったことはとても刺激的でした。
――インターンシップでつらかったことやうまくいかなかったことはありますか?
2番目に参加したインターンシップでは、参加者の多くが文系学生だったので、お互いに共有している情報が違うのが大変だったなと思います。例えばグループワークで、私が「こういう技術がある」と言っても「何それ?」となってしまったり、逆に文系の人がAIや自動運転という話を出した時に、私が「そこには使えないんじゃないかな」と突っ込んでしまったこともありました。あまりに理系目線で突っ込みを入れてしまったので、最後のほうはさすがに自分でも「うざいかな」と思ったりしました(笑)。
また3番目のインターンシップに参加したときに思ったのですが、まだ大学3年生だったということもあり、知識がそんなになかったためよく分からないまま終わってしまったと思います。知識を蓄えてから参加したら、もっと楽しかったかもしれないと思いました。
――参加した3社の中で、一番楽しかったのはどれですか?
意外かもしれませんが、単純に比較すると2番目の営業のインターンシップが楽しかったです。コミュニケーションを取る上で大変さはありましたが、文系の人たちは具体例をたくさん作ってアイデアを出せる人が多いということが分かりました。私はつい話し合いを止めてしまうところがありましたが、文系の人たちは「こういう人に合うならこれ!」という感じで、話を進めていく力があると感じました。そういうことが分かったところが良かったし、楽しかったです。
――営業は自分に向いていると感じましたか?
自分に向いていると感じました。もともと工学部へ進学したのは、スペシャリストとして何かを作りたいという思いがあったからですが、営業もどういうふうにものを売っていくのかが大切なので、自分の持っている武器を使って営業をするということであれば、それもスペシャリストなのだと感じました。
インターンシップ参加で、改めて専門知識を深めたいと大学院進学を決意
――インターンシップに参加して、印象に残っていることは何ですか?
実際に働いている人を間近で見られたのは、すごく印象的でした。例えば最初に行ったインターンシップ先では作っているプロブラムについて社員の人が説明するのを聞き「こういうふうに説明するんだ」と面白かったです。
また社会人のイメージも変わりました。これまでは研究職といえば何か一つのことを突き詰めるしかない世界だと思っていましたが、意外にそうでもないことが分かりました。年単位でいろいろな開発に携わっているからこそ、生き生きと仕事ができるんだなあと感じました。
――インターンシップに参加して、何か変化はありましたか?
就職の選択肢の幅は広がったと思います。〇〇学部だから……という感じで決めるのではなく、いろいろやってみたほうが面白いのだと改めて思いました。また面倒な実験も、これがいつか新しい製品につながると考えると、楽しく感じられるのだと思いました。
――インターンシップに参加して、大学院進学をやめて就職しようとは思いませんでしたか?
改めてちゃんとした技術が欲しいと思いました。知識を蓄えたらもっと何かができると思いましたし、自分の強みになるのではないかと思います。
――高校生の後輩たちにメッセージをお願いします。
理系の人もぜひインターンシップへ行ってほしいと思います。理系の1、2年生の頃は専門性はまだあまりないと思うので、だからこそ理系文系関係なく見てみると、思っていたことと違うことが分かります。
また自分の興味をそのまま生かす職業、例えば人を救いたいから医師になるとか、寿司が好きだから寿司屋になることが仕事選びではないと思います。寿司が好きだから、あえて寿司を販売する人になるとか、経営に興味があるから病院の経営者になるとか、そういう方法もあると思います。
自分の興味をそのまま仕事にするよりは、興味をどうすれば社会に出た時に武器にできるかを知ることがインターンなのだと思います。自分の興味をどう生かしていくのか、いろいろ見てもらえたらと思います。ぜひ学部生の時にインターンシップへ行ってほしいと思います。
理系工学部の木幡さんが、あえて営業職のインターンシップにチャレンジしたことはとても興味深い話でした。すでに大学院進学を目指して頑張っている木幡さんですが、院生になって再びインターンシップへ参加したいと考えているそうです。
今回の取材で、勉強していることと全く違うインターンシップに参加することで、自分の専門分野や興味がどう仕事に生かしていけるか、その糸口が見えることが分かりました。
2019年度から新たに創設される専門職大学と専門職短期大学では、単位を取得するにあたり企業で実習するプログラムがあることが大きな特徴です。興味のある人は、ぜひ今回の話を参考にしてみてください。
【profile】工学部4年 木幡壮真
取材協力:株式会社トモノカイ