【シゴトを知ろう】米国弁護士 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】米国弁護士 ~番外編~

2018.07.26

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】米国弁護士 ~番外編~

テレビや映画のイメージが強いため、弁護士と聞くと法廷で戦っている姿がまず思い浮かぶかもしれません。しかし、弁護士が必要とされる仕事はさまざまで、近年は日本を含め世界中で活躍できる米国弁護士が注目されています。
ニューヨーク州の弁護士資格を持つ高樹町法律事務所の唐津真美さんに、米国弁護士の資格取得までの経緯やアメリカのロースクールについてのお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 米国弁護士の資格取得の経緯はさまざま
  • 米国ロースクール(LL.M.)入学は日本の大学の成績やTOEFLのスコアなどで決まる
  • イギリスでは土地を所有できない!?

米国弁護士の司法試験は日本ほど難しくない!?

――米国弁護士の資格を取るまでの一般的な流れを教えてください。

私のように日本とアメリカ両方の弁護士資格を持っている場合、大多数が日本で資格を取得して数年の実務経験を経た後にLL.M.(*)に留学して、アメリカの資格を取得しているパターンだと思います。日本の法律事務所に所属したまま留学する場合、事務所が費用の補助をしてくれる場合が多いですし、留学までに貯金ができるメリットも大きいです。日本にある外資系法律事務所であれば通常、留学後に海外オフィスで研修をさせてくれますし、大手国内事務所なら、付き合いのある海外事務所を研修先として紹介してくれる場合もあります。このようなつてがない場合、留学後に研修したければ自力で研修先を探さなければならず、それは決して容易ではありません。

米国弁護士の資格のみを持っている日本人の場合は、子どもの頃からアメリカに住んでいたり、もしくはアメリカに留学していて大学の学部(Under Graduate)を卒業してからJ.D.(日本の法科大学院に相当する3年間のコース)に通って資格を取得した人と、日本の企業などから派遣されて1年間のLL.M.に留学してから資格を取得した人、どちらかのパターンが多いと思います。


*LL.M.:多くの米国ロースクールは、3年間のJ.D.(Juris Doctor)と1年間のLL.M.(Master of Laws)の2つの課程を持っていて、LL.M.は、J.D.修了生または同等の法学教育を外国で受けた人を対象とした課程。


――米国弁護士試験について教えてください。

米国弁護士の司法試験は州ごとに行われます。私を含め多くの日本人が受験するニューヨーク州では、2016年7月からUBE(Uniform Bar Examination、全州統一司法試験)が導入され、2018年の時点では、MEE(Multistate Essay Examination、論文式試験)、MPT(Multistate Performance Test、書類作成試験)、MBE(Multistate Bar Examination、短答試験)が行われています。法律はもちろん日米で異なりますが、MEEとMBEは日本の司法試験に比較的近い内容といえます。

日本の司法試験に合格している人の場合、英語のハードルをのぞけば、MEEとMBEの難易度自体はそれほど高くはないと思います。MPTは意見書などを書く試験なのですが、資料を読み解いて指示に従った書面を作る試験なので、英語のハンディがある日本人にはハードルが高いといわれています。ですが、米国弁護士の試験は日本の司法試験よりも合格率が高いので、日本の司法試験に合格する力がある方で英語力をしっかりと身に付けていれば、合格自体はそれほど難しくはないと思います。日本の司法試験の勉強をしたことがない方は、試験のコツをつかむことに少し時間を要するかもしれません。

ちなみに、私が受験した時、短時間で必死に書いた手書きの論文などはスペルミスや文法ミスだらけだったはずですが、多民族国家のアメリカらしく、スペルや文法のミスでは基本的に減点しないといわれています。中身ができていれば英語が多少不自由でも弁護士資格が取れるところに、アメリカの懐の深さを感じます。

ハーバードロースクールでは日本にはないダイナミックな授業を体験できた

ハーバードロースクールの卒業式。一緒に学んだ仲間たちとは今も連絡を取り合っている

ハーバードロースクールの卒業式。一緒に学んだ仲間たちとは今も連絡を取り合っている

――アメリカのロースクールとはどのようなところでしょうか?

私が留学したのはハーバード大学のロースクールです。LL.M.の入学選抜制度は日本の法科大学院などとは違っていて、日本で通っていた大学の成績、日本の法曹であればこれに加えて司法研修所の成績、TOEFLのスコアそしてエッセイの内容で決まります(さらに強力な推薦状があれば有利といわれています)。
まさか自分がハーバードに合格できるとは思っていなかったのですが、アメリカは、大学でもダイバーシティ(多様性)が非常に重視されているので、人種や性別、専門分野などいろいろな人を幅広く受け入れる動きがあったのかもしれません。


――ハーバードのロースクールではどんなことを学びましたか?

基本科目はあるのですが、それ以外の選択科目が非常に幅広く選択肢が多いのが印象的でした。バラエティーに富んでいて面白い科目がたくさんありましたね。純粋に学究的な科目もあれば、とても実践的な科目もありました。

中でも、ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig)教授が担当した、マサチューセッツ工科大学(MIT)の学部学生とハーバードロースクールのジョイント講座は面白かったです。例えばある講義では、当時出てきたばかりの音楽ファイルの交換ソフトが取り上げられました。そうすると、MITの学生たちは全員がとっくに交換ソフトを利用していて、「こんな便利な技術を規制するなんてばかげている」という意見が出るのです。ロースクールの学生からは当然「著作権法の精神が」「権利者の保護が」というようなコメントが出ます。
さまざまな意見を聞いた上で、教授が問いかけるんです。「利用者もクリエイターもみんながハッピーになるにはどうしたらいい?」「そのためには法律で縛るだけが方法ではないのでは?」「コピー禁止の技術が発達すればよいとは思わないか?」「さあ、みんなで自由に考えよう!」そしてグループでなんとか意見をまとめて発表する、そんな授業を受けました。

今まさに進化している新しい技術、新しい社会現象について考える授業だったのでテキストはなく、ディスカッション中心でついていくのは大変でしたが、発想の転換もあり新鮮な視点を得ることができて、とても刺激的でした。
他にも、エンターテインメント法の授業では、その分野を専門とする弁護士が教授で、さらにミュージシャンだったりテレビ局のプロデューサーだったりという現場の人を次々に呼んできて、ビジネスも含めた最前線の話を聞かせてくれました。

このような、教科書や法律の枠にとらわれないダイナミックな授業も多かったです。新しい知識の習得ももちろん重要ですが、知識はすぐに古くなっていきますし、情報だけであればネットで入手することも容易になりました。その意味では、考え方を学んでさまざまな視点を身に付けられたことにすごく価値があったと思います。当時のハーバードのLL.M.には約50カ国から150人を超える留学生が参加していて、彼らとの交流からも非常に多くを学びました。

米国弁護士は日本と海外をつなぐ架け橋

――イギリスの弁護士事務所でも働いていたそうですが、イギリスとアメリカで違うことはありましたか?

一番驚いたのは不動産の考え方です。イギリスにも日本でいう「不動産の所有権」(freehold)という概念はあるのですが、基本的に土地や建物は王侯貴族が所有していて、民間部門は日本でいう「定期賃貸権」(leasehold)に基づいて土地や建物を利用しています。「定期」といっても存続期間は一般的には99年、場合によっては999年と非常に長期のものであることにも驚きました。

また、イギリスでは、Solicitorといわれる事務弁護士とBarristerといわれる法廷弁護士が完全に分かれているのですが、Barristerの世界にはさまざまなしきたりがあります。例えば今でも裁判官は、一部の例外を除いて法廷でガウンを着てカツラをかぶって裁判を行います。それが決まりなんです。アメリカとは違って、古い伝統が残っていることに何度も驚かされました。

あと、法律に関することではありませんが、英語の発音の違いに泣かされました。アメリカに1年間留学してある程度英語がちゃんと聞き取れるようになったと思っていたのに、イギリスに行ったらオフィスの先輩の英語が全然分からなかったんです。これは英語ではないんじゃないかというくらいの違いがありました(笑)。特に、アイルランドやスコットランド出身者の英語は分かりにくかったですね。向こうはきっと「日本人の英語はわかりにくい」と思っていたと思いますが……。


――日本の弁護士活動の中で、米国弁護士の資格をどのように生かせますか?

米国弁護士の資格が一番生かせる仕事は、日本と海外を結ぶビジネスだと思います。アメリカの司法試験の内容からも分かるように、米国弁護士の資格は、英語の長文を短時間で読みこなし、問題点を把握し、論理的に考えた上で、検討の結果を英語の文章で表現できる能力が備わっていることを示してくれます。これらは、国際的なビジネス案件を取り扱うための必須能力といってもいいでしょう。
単に英語を話す仕事ではなく、英語を道具にして主体的にビジネスと関わることに興味がある人にとっては、米国弁護士の資格は、国際案件を扱う資質があることを依頼者や相手方に向けて語ってくれるという意味で、非常に有益な資格だと思います。

私の場合、イギリス系の法律事務所を離れた後でも、国内案件に加えて国際案件のご依頼を多くいただいているのですが、米国弁護士資格を持っていることがこのような依頼につながっていると思います。


日本では人口が減っている反面、弁護士の数は増え続けています。つまりこれからは、日本でも弁護士間の競争が激しくなるかもしれないということ。そんな中、グローバルな動きを見せる会社も増えているので、米国弁護士が活躍できる機会は増えていきそうです。
弁護士を目指している人は、日本だけではなくアメリカの弁護士資格にも注目してみるといいかもしれませんね。


【profile】高樹町法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士 唐津真美

高樹町法律事務所 http://www.takagicho.com/

取材協力:高樹町法律事務所

取材日:2018年4月3日

この記事のテーマ
公務員・政治・法律」を解説

公務員採用試験などの対策や司法書士など法律関係の資格取得のための学びが中心で、官公庁や行政機関の採用試験科目を段階的に学び、各種試験の合格を目指します。将来は公務員として行政に携わるほか、政治活動を支える政党職員などの仕事が考えられます。弁護士や検察官など法曹の道へ進みたい場合は、大学や法科大学院への進学が必須です。

「公務員・政治・法律」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「米国弁護士」
はこんな仕事です

アメリカの各州が認める弁護士資格を持って働く人。司法試験を受ける以前に各州の法学学位を取得する必要があるが、合格すれば英語力に加えて高い法律知識を併せ持っていることを証明できる。例えば、アメリカに限らず日本企業が海外企業と交渉する際に、進出した先で訴訟トラブルが起きたときなど、広範な国際的ビジネスの法務知識が極めて役に立つ。日本の司法試験に合格するのも難易度は高いが、弁護士を志すとともに英語が得意なら「米国弁護士試験」に挑戦する価値は十分ある。受験勉強を通じて英語力も養える。

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