【シゴトを知ろう】カーデザイナー ~番外編~

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【シゴトを知ろう】カーデザイナー ~番外編~

2018.07.17

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】カーデザイナー ~番外編~

多くの業界においてデザインは欠かせません。どれだけ機能性に優れている商品であっても、見た目に魅力がなければ手に取ってもらえないこともあります。デザインされたさまざまな商品の中でも、多くの人に夢を与えライフスタイルを豊かにしているのが車です。

トヨタ自動車株式会社に勤めるカーデザイナーの木村大地さんに、車のデザインがどのようにしてできるのかについてお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 好きなものを描くのはアーティスト、要望に沿って何でも描けるのがデザイナー
  • 企画段階から車のデザインが完成するまでは1年半ほどかかる
  • 最近はスキルと同時に人間性も重視してデザイナーを採用

熱意や夢が原動力になり、若くしてカーデザイナーの最先端へ

――これまでどのような車のデザインに関わってこられましたか?

「トヨタ・ヴィッツ」やヨーロッパで販売されている「トヨタ・アイゴ」などの車のデザインに関わってきました。最近では、CES 2017(*1)で発表された「TOYOTA CONCEPT-愛i」、2017年4月開催のニューヨーク国際オートショーでの「TOYOTA FT-4X」という次世代SUV(*2)も私がメインでエクステリアデザイン(車の外形デザイン)を行いました。この2車種が、現在のところ私の代表作といえます。

*1 CES (コンシューマー・エレクトロニクス・ショー):毎年1月にアメリカのラスベガスで開催される世界最大級の家電やエレクトロニクス技術の見本市。近年は自動車メーカーの参加も増え、AI搭載のコンセプトカーや次世代の電気自動車などを発表するのが恒例。

*2 SUV(スポーツ・ユーティリティー・ヴィークル):スポーツ用多目的車と訳されることが多いが、悪路走破性の高いオフロード向け車のことを指す。最近は、クロスオーバーSUVと呼ばれる街中でも違和感のない洗練されたスタイルの車が主流。


――重要なポジションを任されていらっしゃいますが、どのようなところが評価されていると思いますか?

ビジョンや目標が明確にあるところだと思います。常に前向きに楽しく仕事をしたい気持ちが根底にあって、そういった状況でアイデアを出し続けてきました。高校生の時からカーデザイナーになりたいという明確な目標があって、海外で仕事をする夢も持っていたので、英語力は自分なりに磨きました。カーデザインのための専門学校に通っていた頃、フランスに短期留学をするチャンスをもらい、フランスの学生と一緒にグループワークをした経験もあります。

弊社に入社してからも、ずっと海外でも働いてみたいとアピールを続けていました。一貫して持っていた熱意や夢が原動力となり、結果として20代でアメリカの最先端のデザイン現場であるキャルティ(*3)で仕事ができたのだと思います。


*3 キャルティ:「Calty Design Research, Inc.」。アメリカのカリフォルニア州にあるトヨタ自動車株式会社のデザイン拠点。


――車を担当するデザイナーはどういった基準、方法で決まるのでしょうか?

デザイナーの意志や適性、そしてチームとして引っ張っていくチーフデザイナーの采配で、ある程度メンバーが決まります。若者向けの車だから若いデザイナーだけで仕事をするわけではなくて、さまざまなプロジェクトでリーダーの経験を持つ人も1、2人入ります。もちろん、若くてもメンバーに入れることがありますし、作ったものを評価する際に若いスタッフに見てもらって意見を聞くといった方法も取ります。

自動車という製品は、さまざまな国で販売される、多種多様なボディータイプの車があるので、知識やデザインの引き出しをたくさん持っていないと難しい仕事だと思います。好きな車のイラストだけを描いていればいいわけではなく、何でも満遍なくできるのが一流のデザイナーだと思います。

お客さまのニーズをきちんと理解した上で表現するのがデザイナーであって、自分が好きなものだけを作っていたらそれはアーティストです。アーティストはもちろん素晴らしい職業ですが、与えられた条件で車を作り出すのがカーデザイナーなのです。

1台の車には6〜7人のカーデザイナーが携わる

2017年に行われた東京モーターショーにも出展された「TOYOTA CONCEPT-愛i」

2017年に行われた東京モーターショーにも出展された「TOYOTA CONCEPT-愛i」

――車のデザインはどのようなプロセスで行われるのでしょうか?

最初にコンセプトメイクとパッケージ構築という2つのプロセスがあります。コンセプトでは、市場動向を探りユーザーであるお客さまからの要望などを聞きながら、車の大まかな方針を決めます。パッケージとは車の成り立ちのことです。車のコンセプトに基づいて、車の大きさ、室内の広さ、ドライバーやその他の人々の座らせ方、荷室の容量などを決めます。

その次に、エクステリア(車の外形)やインテリア、カラーをほぼ同時に開発していきます。
このようにお客さまからの声を反映させながら、早く商品を手元に届けられるように開発していきます。


――1台の車が仕上がるまで、何人くらいのデザイナーが関わるのでしょうか?

車のデザインには、複数のデザイナーが携わります。スタイリング(*4)のデザイナーには全体をまとめるチーフが1人いて、フロントデザインやリアデザイン(*5)、部品を含めて3~5人程度のデザイナーが関わります。さらに、内装のデザイナーもいるので、デザインチームとしては10名程度になります。段階に応じて途中でスタッフが入れ替わることもあります。

トヨタ自動車全体では、デザイナーだけで300人ぐらいいます。モデラーを入れるとおよそ600人ぐらいです。モデラーは車の模型を作る人のことですが、工業用粘土を扱う人もいれば3D CAD(*6)でモデリングする人もいます。


*4 スタイリング:外形デザインのこと。エクステリア(車の外形)とほぼ同じ意味を持つが、エクステリアは車の外側の形のことを指し、スタイリングはそのデザインを意味する。

*5 リアデザイン:フロント(車の前周り)デザインに対してのリヤ(後ろ周り)デザイン。

*6 CAD:Computer-Aided Designの略。製図やデザイン画、設計図など作るために用いるコンピューターシステムやソフトウエアのこと。


――車のデザインが決まるまでどのくらいの期間がかかりますか?

企画段階を入れると1年半ぐらいはかかります。多くの日本車は、4、5年に1回車のモデルチェンジが行われますが、基本的にあるモデルが発表されたらすぐに次のモデルの企画が始まります。開発の準備もあるので、さまざまな調査をおこなって開発の方向性などを話し合うため1年ぐらいは助走があり、3年ぐらいは開発にかけます。

私がエクステリアデザインを担当した「TOYOTA CONCEPT-愛i」はデザインスタディ(習作)だったので、市販車に比べると速いスピードでいろいろなプロセスが進んでいきました。「TOYOTA CONCEPT-愛i」のように未来の方向性や可能性を示す車は、市販車のように4、5年かけてじっくりと作るものではなく、ある程度イメージを先行して作っていきます。そして、これから10年後には出てくるのではないかと思われる機能や装備を盛り込みます。

ちなみに、同様の方法でデザインされ市販に至った車があります。「レクサス LC」は、2012年の北米国際自動車ショー(デトロイトショー)で公開されたコンセプトカー「LF-LC」がもとになっています。
本来は市販される予定がなく、デザインスタディとして提案されたコンセプトカーに近いモデルでしたが、市販を望む声が多かったので市販車として世に出してみようと可能な限り当初の形のままで開発が進められました。そして、2016年の北米国際自動車ショーで「LF-LC」の市販版である「LC」が発表され、その1年後となる2017年3月、ついに販売が始まりました。

趣味の経験がデザインづくりに役立った

木村さんの代表作の一つ「TOYOTA FT-4X」。ニューヨーク国際オートショーで発表された

木村さんの代表作の一つ「TOYOTA FT-4X」。ニューヨーク国際オートショーで発表された

――カーデザイナーとして採用される人は専門知識を学んだ人が多いのでしょうか?

デザイナーとして入社を希望する場合はポートフォリオ(*7)を会社に提出し、それをもとに審査が行われます。その審査の後は実習を受け、その作業内容と作品で採用が決まります。基礎がしっかりとできていて柔軟性のある人がいいですね。

入社を希望する人の中には専門学校生もいれば、美術系大学の学生、工学部で学ぶ学生もいます。採用の際は人間性とスキルの両方を見ます。最近は人間性を重視する傾向があります。スキルは後から伸ばせますが、人間性はなかなか磨くことができないからです。

また、あらゆるバックグラウンドを持った人がおり国籍もさまざまです。カーデザイナーは多くの人と関わって仕事をするため、自己中心的な人は向いてないかもしれません。

周りをきちんと見られることも重要です。個性的なメンバーが集まって仕事をする方が絶対にいいものができますので、とがった人も必要だと思います。


*7 ポートフォリオ:作品集のこと。デザイナーの場合は、自身のデザインの作品集を指す。


――車のデザインに興味がある高校生が、今のうちにしておくといいことがあれば教えてください。

スポーツやキャンプなどいろいろなことを体験したり、さまざまなところに出かけたりしてたくさん楽しんでおくといいと思います。

私は自転車(ロードバイク)が好きで、休みの日にはロードバイクで出かけたり、メンテナンスをしたりして楽しんでいます。私がメインでエクステリアデザインをしたSUVカー「TOYOTA FT-4X」のコンセプトを考えた時、街に住んでいるサーフィンやスノーボードをする人がアウトドア活動に出かけていくことを想定し、その人たちがどんな機能や装備があればうれしいかということをリサーチしました。

アウトドアスポーツを楽しんでいる人に話を聞く際、自分も経験したことがあるスポーツの話になるととても盛り上がります。実体験を持ち上手くコミュニケーションが取れば、お客さまがSUVでしたいことや、あったらうれしい装備などを引き出していくことができます。

あとは、英語ですね。海外市場では、日本よりも売れている車がたくさんあります。グローバル化が進んでいるので、日本の会社で日本人だけで日本語を使って作られるような車はわずかです。日本の自動車メーカーであっても、デザイン拠点や開発拠点を海外に置いていますので、現地スタッフとのコミュニケーションやプレゼンテーションに英語が必要になります。そのため、英語でのコミュニケーションがしっかり取れるようになることは、カーデザイナーになる上でとても重要だと思います。


デザイナーへの道はさまざまです。デザインに興味はあるけれど何のデザインをしたいのか思いが定まっていない人は、デザインに関する専門知識や技術を習得できる学校に通って幅広く絵やデザインの勉強をする方法があります。

カーデザイナーになりたいという具体的な目標を持っているのなら、カーデザインについて専門的に学べる学校に通うのもいいでしょう。また、中高生を対象としたカーデザインのコンテストが毎年実施されていますので、カーデザイナーに少しでも興味がある人は挑戦してみてはいかがでしょうか。

公益社団法人 自動車技術会 デザイン部門委員会「カーデザインコンテスト」
http://www.jsae.net/car_design/R_data/


【profile】トヨタ自動車株式会社 レクサスデザイン部 木村大地

トヨタ自動車株式会社 http://www.toyota.co.jp/

写真提供:(3枚目)トヨタ自動車

この記事のテーマ
自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説

陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。

「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「カーデザイナー」
はこんな仕事です

自動車の外装、内装、色、素材などのアイデアを出し、デザインする仕事。企画職や技術職のスタッフと一緒に、マーケティング理論や市場動向に基づき、コンセプトを立案。見た目の美しさだけでなく利便性や安全性など、機能面についても考えなくてはならない。自動車のイメージが決まったら、CADなどを使ってデザイン制作を進めていく。発想力や柔軟な思考力が問われ、工業デザインの知識が必要とされる。工業デザイン事務所や自動車メーカーに就職するケースが一般的だ。

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