聞き慣れないセミの声? クマゼミが北上中!

日本の夏を告げる代表的な風物詩ともいえるセミの声。セミの声と聞いて一番に思い浮かべるのはどんな鳴き声ですか? 日本国内でもセミの分布は地方、地域によって違いがあります。また最近、あまり聞いたことがなかったセミの声を聞くようになった、という話もちらほら聞こえてきています。今回はそんなセミの種類と生息地について紹介します。
この記事をまとめると
- セミの種類には地域で特徴がある
- クマゼミの生息地が東北まで北上している
- 昆虫の生態について学べるのは「生物学」
セミの鳴き声といえば? セミの分布には地方差がかなりある
世界には約1,500にも及ぶ種類のセミがいます。日本にいる32種類ほどのセミは、全国的に生息しているものと限られた地域にのみ生息しているものがあります。発生時期や鳴く時間帯にも違いがあり、季節や時間の移り変わりも知らせてくれる存在でもあるのです。
日本全国に生息しているセミの代表としては鳴き声が名前になっている「ミンミンゼミ」「ツクツクボウシ」と、「ジリジリ」と何かを揚げているような鳴き声の「アブラゼミ」などです。「チーーー」と鳴く「ニイニイゼミ」なども全国的に多く分布しています。「カナカナカナ」と愁いを帯びた鳴き声を上げる「ヒグラシ」は万葉集にも登場しています。
どのセミが多いかは地方、地域でかなり違っているため、よく聞く鳴き声は住んでいるところによってかなり違いがあるはずです。
特定の地方にしかいないセミとしては、関東以北に住む「エゾハルゼミ」があげられます。5月から7月にかけて発生することからその名がついており「オーギィー・オーギィー・ギギギギギ」と鳴きます。「イワサキクサゼミ」は、沖縄にのみ生息し、体長12〜20ミリと小さく「チチチチチー」と鳴きます。「エゾゼミ」は北海道~東北地方と関東以西の高地に生息しており「ギギギー」と鳴きます。
この鳴き声は? 北上中のクマゼミかも!
最近話題になっているのが、日の出から昼頃に「シャワシャワシャワ」とけたたましい大きな鳴き声を響かせる「クマゼミ」という体長60~70ミリある大きなセミです。クマゼミは、温暖な気候を好むため、これまでは東海地方あたりまでにしか生息していませんでした。
ところが近年、クマゼミが東北地方まで生息するようになってきたことが分かってきました。公園などの木の移植の際に根について一緒に運ばれてくるようですがそれが住みつくようになったのは地球温暖化の影響と見られています。
生息地の北上は他の昆虫でも見られる!
クマゼミ以外の昆虫でも生息地の北上が確認されています。セミはカメムシ目(半翅目)・頸吻亜目・セミ上科に属しますが、同じカメムシ目のミナミアオカメムシでも生息地の北上が認められています。以前は和歌山県あたりまでしか生息していませんでしたが、愛知県でも発生していることが確認されたのです。
昆虫の生態の変化を追っていくことで地球環境の変化や人間がこれから地球のためにしていかなければいけないことが分かることも多いはずです。
このような昆虫などの生態を学べるのは「生物学」です。生物学では昆虫など生物の生態や多様性、生態に影響を与える地球環境の変化を研究して人がよりよく生きるために役立てられます。興味がある人は、ぜひ学んでみてはいかがでしょうか。
【出典】
気象予報士に教わるこれからの天気と私たちにできることhttps://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/topics/20171010-01.html
クマゼミの北限は?
http://weathernews.jp/s/topics/201608/130085/
環境で違うセミの種類
http://www.biodic.go.jp/reports/5-2/n029.html
http://nh.kanagawa-museum.jp/tenjiguide/500/variety/500_003.html
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちはほかの生物から栄養をもらって生活をしています。しかも、採集や狩猟だけではなく、食物を生産するという手段を得て、今日のように繁栄しました。人口増加や環境悪化などに対応し、将来的に安定した食料の確保を維持するためには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が必要です。さらに突き詰めて考えれば、動植物や微生物などの多様な生物に対する研究も重要です。自然との共生が大きなテーマになる学問です。
この記事で取り上げた
「生物学」
はこんな学問です
マクロな地球の生態系からミクロな細胞の世界まで、さまざまなレベルで起きている生命現象を実験・観察することによって研究する学問である。人間を含めた動物・植物・微生物など、あらゆる生命体が研究対象となる。主な研究分野としては、タンパク質を中心にした生体内の高分子の機能をその構造から研究する「構造生物学」、生態系の構成要素である生物と環境の関わりを研究する「環境生態学」などがある。
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