高い場所に無くても大丈夫! マンホール型の携帯基地局とは?

皆さんがいつも使っているスマホは、各所に設置された基地局から発信される電波を拾うことで、インターネットにアクセスすることができます。では、携帯電話の基地局がどこにあるか、知っていますか? 大手3キャリアの基地局は2015年時点で日本国内の45万カ所以上に設置されています。そして最近では、新しい形の基地局も登場し始めているようです。
この記事をまとめると
- 45万カ所以上ある携帯電話の基地局が、電話の「つながりやすさ」を支えている
- 高い場所に設置しない、新しい形の基地局が開発された
- 時代に沿った新しい基地局が、これからの通信環境を支えていく
携帯の基地局はなんと国内に45万カ所以上!
携帯やスマホの電波を発信する携帯電話基地局は、光の速さで空間を伝わる電磁波を発信しています。この電波に音声や映像などの情報を乗せることで、私たちは写真付きのメールを送ったり、インターネットで動画を見たりすることができます。
しかし電波の強さはアンテナから離れるにつれて弱くなるため、一定の距離に何本も基地局を立てる必要があります。大手携帯電話事業者3社が稼働する基地局数は、2015年12月時点で、およそ45.6万カ所もあるのだとか。
基地局のほとんどが高い位置に設置されており、20~50mぐらいの鉄塔タイプや、ビルやマンションの屋上や壁面に設置するタイプ、電柱などに設置される小型タイプなどがあります。
ところが最近、高い場所に設置しなくてもよい「マンホール型」の基地局が開発されて話題となりました。
高い場所に設置しない「マンホール型」基地局とは?
株式会社NTTドコモは、マンホール型の基地局を開発したと発表しました。最近はスマホなどの通信機器を使用する人が増え、データ通信量は増加の一途をたどっています。そのため基地局をもっと増やす必要がありますが、アンテナを設置したくてもなかなか設置できるビルがないという問題点がありました。
小さいエリアをカバーする小型の基地局は、ビルの屋上や壁面などに設置されてきましたが、外観の見栄えが悪くなるため、ビルオーナーに嫌がられることもあったようです。そこでNTTドコモが考えたのが、マンホール型基地局です。
マンホール型基地局は、建物を借りなくても設置できるメリットがあります。訪日外国人客の増加などで電波がつながりにくくなった観光地などでも、景観を損なうことなく導入できます。
時代に沿った通信環境を整えていくことが大切
マンホール型基地局の電波が届く範囲は、半径約90m。これは小型の基地局を地上に設けた場合と同じです。NTTドコモではこの基地局を、2018年度内に本格運用を開始することを目指しています。
他にもKDDI株式会社は、災害対応向けのドローンに基地局の機能を搭載した「ドローン基地局」を開発し、実証実験に成功しています。災害時でもスマホがつながりやすい環境を確保できる社会が目の前まできています。
時代の移り変わりとともに、基地局の在り方も変化しています。時代に沿った通信環境を整備していくことが大切です。通信環境などについて必要な知識を学ぶのが、通信工学です。これからの未来の通信環境を整備したい方は、通信工学を進路に選んでみてはいかがでしょうか。
【出典】
総務省|携帯電話基地局とわたしたちの暮らし
http://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/ele/body/1-01.pdf
株式会社データリソース|携帯電話事業者の基地局数実態調査
https://www.dri.co.jp/auto/report/roa/roabs1q.html
engadget|携帯エリア対策の切り札「マンホール基地局」、ドコモが公開
https://japanese.engadget.com/2018/04/11/ntt/
KDDI|災害対応向け「ドローン基地局」を活用した通信手段確保の実証実験に成功
http://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2017/12/14/2855.html
この記事のテーマ
「情報学・通信」を解説
情報通信産業には、通信業、放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業、映像・音声・文字情報制作業の5分野があります。近年は各分野の垣根が取り払われつつありますが、なかでも注目されているのが、インターネットに代表されるコンピュータを介した情報通信工学でしょう。高度に情報化が進んだ現代において、安全保障や経済政策はもちろんのこと、日常生活に至るあらゆるシーンで必要とされる、活躍の場の広い学問です。
この記事で取り上げた
「通信工学」
はこんな学問です
通信技術は、コンピュータ内の技術とネットワーク技術に分けられる。たとえば、コンピュータ内では、通信に関連するソフトウェアとハードウェアの技術が挙げられる。ネットワーク上で用いる技術では、情報の圧縮技術や暗号化技術、光通信をはじめとする光ファイバー技術、インターネットを用いたネットワーク技術、LANによる有線・無線の通信技術などがある。その他、次世代の通信技術開発や宇宙通信技術などの研究も行う。
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