「ギザギザ」「ふわふわ」と聞いて、思い浮かぶ形には理由があった?

ある言葉の響きや音から私たちがイメージするものには実は共通点があるのだそうです。心理学にまつわる面白い理論をご紹介します。
この記事をまとめると
- トゲのある絵と曲線で描かれた絵を見て、思い浮かぶ言葉は共通しやすい
- 年齢や性別、出身地に関わらず起こる現象で、「ブーバ/キキ効果」と呼ばれる
- 人間が考えるさまざまなイメージは、心理学で研究することができる
ギザギザ、ふわふわと聞いてどんな絵が思い浮かぶ?
まず、紙とペンを用意して、「ギザギザ」した絵と、「ふわふわ」した絵を描いてみてください。できれば学校の友だちと数人でやってみて、一斉に答え合わせをしてみると面白いかもしれません。
きっと、ほとんどの人がギザギザした絵はトゲのような尖った絵、ふわふわした絵は雲のように曲線からなる絵を描いたのではないでしょうか? では、その絵のどちらかに「ブーバ」、もう一つに「キキ」と名前をつけてみてください。
このような問いかけをすると、多くの人がふわふわした絵に「ブーバ」、ギザギザした絵に「キキ」と名づけるそうです。なぜかというと、「ブーバ/キキ効果」が表れているからなんです。このブーバ/キキ効果とは、一体どのようなものなのでしょうか?
ブーバ/キキ効果って?
ブーバ/キキ効果とは、心理学で「言語音と図形の視覚的印象との連想について一般的に見られる関係」を指します。簡単にいうと、耳で聞いた音と目で見たものの印象は頭の中でリンクしているということ。これを発見したのは、ドイツの心理学者のヴォルフガング・ケーラーで、命名したのはインドのヴィラヤヌル・S・ラマチャンドランです。
このブーバ/キキ効果は、生まれた国や母国語、男女、年齢などは関係ないといわれています。アメリカ人やオーストラリア人に聞いても、言葉が理解できるようになったばかりの小さな子どもに聞いても、約9割の人が曲線で描かれた絵をブーバ、ギザギザした絵をキキだと答えるのだそうです。
また、「くねくねしている」と聞くと曲がったものを思い浮かべたり、「カチンコチン」と聞くと固いものをイメージしたりしますよね。これはただの偶然ではなく、言葉が持つ“音”のイメージが影響しているのです。
人間の心理現象は商品開発にも活用されている
ブーバ/キキ効果から、私たち人間は、言葉や知識を超えたところで同じような感覚を持っていることが分かります。耳で聞く音と目で見る形は無関係ではないということかもしれません。言葉が通じない人同士でも、なんだか分かり合えそうな気がしてきますね。
このブーバ/キキ効果は、例えば新商品の商品名を決めるときや、キャラクターに名前をつけるときなどにも活用されています。お客さんに柔らかさや暖かい印象を与えたい商品やキャラクターには、キキのようにトゲトゲしい印象のある言葉よりも、ブーバのように柔らかい印象のする名前のほうが、しっくりきそうですよね。
言葉を読んだり、聞いたりして、何かの形をイメージするように、人間が考えるさまざまなイメージは「心理学」という学問で研究することができます。ブーバ/キキ効果の不思議な心理現象に興味を持った人は、心理学の視点を通して、身の回りにある言葉がもつイメージについて考えてみると面白いのではないでしょうか。
この記事のテーマ
「人間・心理」を解説
人間科学は、人間の存在や関係性を研究し、学習範囲は広範囲にわたります。心理学は、人間の心や行動の特徴を分析・解明します。中でも臨床心理学は、ストレスの多い現代社会において注目される分野。いずれも、人間の存在意義をひもとく基礎となる学問です。
この記事で取り上げた
「心理学」
はこんな学問です
人間の心理や行動がどのような原理で動いているのかを研究する学問である。それにはさまざまなアプローチがある。たとえば、認知心理学では対象を知覚してから言語化するまでの作用を情報処理のプロセスとして理解する。発達心理学は人間が誕生してから死ぬまでの心の変化が何によるのかを探究する。臨床心理学は心のバランスを崩してしまった人の状態の改善をめざす。志望校に自分の本当に学びたい心理学があるかどうかを必ず確認することが大切だ。
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