【シゴトを知ろう】機関車運転士 〜番外編〜

  • ようこそ、ゲストさん
  • ログイン
  • メンバー登録(無料)
  • エリア設定
MENU
閉じる
  • ようこそ、ゲスト さん

    メンバー登録(無料)

  • 適学・適職診断無料!

    診断を受ける

  • エリア設定

現在4校がカートに入っています。

一度に最大30校までまとめて資料請求することができます。

閉じる

「マイナビ進学」サイトが別タブでが開きます。

【シゴトを知ろう】機関車運転士 〜番外編〜

2018.06.28

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】機関車運転士 〜番外編〜

18世紀に誕生した鉄道は、世界中の産業に大きな革命をもたらしました。蒸気機関車が日本に入ってきたのは19世紀半ば過ぎといわれています。時代の進歩とともに機関車は電車へと変わっていきましたが、現在でも機関車が走っている区間がいくつか存在しています。1976(昭和51)年に日本で初めてSLの復活運転を始めた大井川鐵道(静岡県)で区長を務める杉本真さんに、機関車運転士(蒸気機関士)の仕事についてお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 蒸気機関車の運転にはマニュアルが存在しない!
  • 落ち葉がたまる秋の時期の運転が一番怖い
  • 製造から90年近く経つ蒸気機関車も走っている!

連結する客車の数や天候、季節などによって運転は日々変化する

――蒸気機関車の運転で難しいことはどんなことですか?

蒸気機関車は、石炭を燃やして水を加熱しそれによって発生する水蒸気の力で走るため、夏の暑さは非常に厳しいものがあります。乗務員室の温度は60℃以上になることもあり、水分補給をしながら運転しないと危険です。

また、運転そのものにもたくさんの難しさがあります。毎日同じように走ればいいわけではなく、運転の状況は日々違ってきます。そもそも蒸気機関車には運転マニュアルが存在しないので、運転方法は助士(*1)の時に先輩機関士の仕事から学び取っていくのですが、助士時代から現在まで本当に1日たりとも同じ状況はないものだと感じています。客車の編成によって走り方を変えるのはもちろん、天候や季節によっても走り方を変えているんですよ。


*1 助士(機関助士):通常、蒸気機関車は機関士(運転士)と助士2名が3人1組となって走らせる。機関士が運転している時や運行前の準備の時にボイラーの中の火室(かしつ)に石炭を入れて湯を沸かし、蒸気圧を上げるのは助士の役目。


――「走り方を変える」とのことですが、どのように変えるのでしょうか?

例えば、編成による違いです。大井川鐵道の場合、最低でも3両編成(蒸気機関車の後ろに客車を3両つなげる)で運行するのですが、3両だとかなり軽くそんなに気を使わなくても坂道をぐいぐい登ることができます。

しかし、客車が4両以上となり乗車するお客さまの人数が増えてくると重くなるので、加速や減速のタイミング、カーブを曲がる際や上り坂での走り方などにおいて調整が必要になってきます。

最も長い7両編成になると、蒸気機関車だけではパワー不足で引っ張れなくなるので、最後尾に電気機関車がついて後ろから押して走ります。これだとだいぶ楽になりますね。

ベテランにしかできない繊細な運転技術がある

燃料にしているのは黒煙が少ない良質の石炭。効率良く燃えるように加工されている

燃料にしているのは黒煙が少ない良質の石炭。効率良く燃えるように加工されている

――天候や季節による走り方の違いも教えてください。

雨の日は滑りやすく、パワーを上げると車輪が空回りして速度が落ちます。上り坂でスピードが落ちすぎて蒸気機関車が止まってしまい、定時運行ができなくなるケースもあります。

1年のうちで一番怖いのは、秋が過ぎてレールに落ち葉がたまってくる時期です。大井川鐵道は自然の多い路線なので、枯葉がレールの上にも落ちて貼りつくんです。その上を走ると予想以上に滑り、最悪の場合は空転が続いて機関車が止まってしまいます。一度止まってしまうと、上り坂では特に再びそこから動き始めることはとても難しいのです。滑り止めを施しても動かない場合、一度下がってからまた上り始めることもあります。

機関車の下の方には砂が出る装置がついていて、この砂をまきレールと車輪の間に摩擦を発生させることによって、滑り止めの効果が得られます。

このように走りにくい場所をいかにスムーズに走らせるかについて考えることも、蒸気機関士としての魅力、醍醐味です。


――ベテランと新人の違いはどんなところにありますか?

走り方に気を遣わなければならない場面では、特に経験の有無が問われます。例えば、加減弁の調整です。加減弁とは車でいえばアクセルペダルに相当します。加減弁を開けるタイミングや惰行運転に移るタイミングなどは、経験を積まないと分からないことです。私は半世紀以上の経験からたくさんのことを学んだので、その経験から得た知識を若い蒸気機関士に伝えています。

戦争中に海外に送られ、その後日本に戻ってきた機関車が現役で活躍中!

1930(昭和5)年に23両だけ製造された蒸気機関車C10形。現存する最後の一台は御歳88歳!

1930(昭和5)年に23両だけ製造された蒸気機関車C10形。現存する最後の一台は御歳88歳!

――蒸気機関車にはいつでも乗れるのでしょうか?

大井川鐵道では、年間300日以上蒸気機関車を営業運転しています。これは日本国内で走る蒸気機関車の中で最も多い日数になります。春休みや夏休みなど特定の時期だけ走っている蒸気機関車は多いのですが、大井川鐵道では1年を通じてほぼ毎日運行しています。また、JR東日本さんと並ぶ4両もの蒸気機関車が運行している鉄道は珍しいんですよ。


――大井川鐵道が所有している4両の蒸気機関車について教えてください。

C10形8号機、C11形190号機、C11形227号機、C56形44号機の4両で、いずれも昭和初期に製造された大変古い蒸気機関車です。昭和初期に運行した後に廃車となり、個人の手によって保管されていたものもあります。

また、C56形44号機は第二次世界大戦中に出征機関車(*2)としてタイに渡り、タイで走っていた機関車です。その後、日本に戻ってきて大井川鐵道にて数年間にわたって整備を行い、運行するに至っています。
一番古いのは1930(昭和5)年に製造されたC10形8号機で、現存する唯一のC10形となります。製造されてから90年近く経過しているとても貴重な蒸気機関車ですが、こちらも丁寧な整備や日々のメンテナンスによって順調に運行されています。


*2 出征機関車:太平洋戦争が始まって間もなくタイやビルマに送られたC56型蒸気機関車のこと。1号機から90号機までが送られたが、日本に戻ってきたのは2機。1両は靖国神社に保管、残りの1両が大井川鐵道所有となり、現在でも現役で活躍中。


石炭による蒸気やディーゼルエンジンを動力とする機関車の運転をするには繊細な技術が求められるため、「動力車操縦者運転免許」と「ボイラー技士」の資格が必要です。「動力車操縦者運転免許」を取得するためには鉄道会社の養成所で講習を受けなければならないので、機関車運転士を目指すのなら、鉄道会社へ就職するところから始めましょう。


【参考】
大井川鐵道「C10形8号機」
http://oigawa-railway.co.jp/archives/library/%e8%92%b8%e6%b0%97%e6%a9%9f%e9%96%a2%e8%bb%8ac108

大井川鐵道「SLの動態保存とは」
http://oigawa-railway.co.jp/storage

livedoor NEWS「大井川鐵道で夜汽車」
http://news.livedoor.com/article/detail/14049360/

鉄道ダイヤを支える技術「鉄道の安全前史1」
https://books.google.co.jp/books?id=eVIuDAAAQBAJ&pg=PA2&lpg=PA2&dq=%E9%89%84%E9%81%93+18%E4%B8%96%E7%B4%80&source=bl&ots=9wle99NDVb&sig=WCTixRS3eAlbZg3FSZcXLOhuSbY&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwih1LLv0MDaAhVCLpQKHaWFCo8Q6AEImgEwCQ#v=onepage&q=%E9%89%84%E9%81%93%2018%E4%B8%96%E7%B4%80&f=false

鉄道歴史展示室「第1回企画展示『日本の鉄道開業』」
http://www.ejrcf.or.jp/archive/db_shinbashi/1.html


【profile】大井川鐵道株式会社 新金谷乗務区区長 杉本真

大井川鐵道 http://oigawa-railway.co.jp/

この記事のテーマ
自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説

陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。

「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「機関車運転士」
はこんな仕事です

機関車には主に、電気を原動力とする電気機関車、ディーゼルエンジンを動力源とするディーゼル機関車、石炭の熱でつくり出される蒸気を動力源にする蒸気機関車(SL)などがあり、これらの機関車を運転するのが機関車運転士だ。例えば蒸気機関車の運転士になるには、訓練を受けてから国家試験である「甲種蒸気車操縦者試験」の筆記・技能試験、身体検査に合格して免許を取得し、さらに「ボイラー技士」の資格も必要になる。そのほかの機関車の運転士になる場合も、それぞれの機関車ごとの試験を受けなければならない。

「機関車運転士」について詳しく見る

あなたの適性にあった学びや仕事が見つかる

適学・適職診断

無料

進学・適職診断を受ける