やってみたい!から始まる「マイプロジェクト」って何?
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皆さんは身の回りのことで「もっとこうなればいいのに」と思っていることはありませんか? 「思うことはあるけど、私一人では何もできない」と感じている人もいるかもしれません。
高校生が主体となり、身近なところから課題を見つけてプロジェクト化していく「マイプロジェクト」という取り組みがあります。一体どのようなものなのでしょうか?
この記事をまとめると
- 身の回りの気になることをプロジェクト化する「マイプロジェクト」
- 迷っている人は、スタートアップキャンプに参加しよう
- マイプロジェクトに取り組むことで新しい自分に出会えるかも!
オーナーシップとアクションを重視した「マイプロジェクト」とは?
マイプロジェクトとは、身の回りで気になっていることをテーマにしてプロジェクトを立ち上げ、実行することで学びを得るアクティブラーニングプログラムです。
マイプロジェクトの進め方は、以下の3つの段階があります。
1.プロジェクトをつくる
2.プロジェクトを実行する
3.プロジェクトを発表して振り返る
進め方は人によって多少異なりますが、7月から10月にかけてプロジェクトをつくるイベントが行われており、そのプロジェクトを実行していきます。2月から3月にかけて、各地でプロジェクトの発表の場となる地方大会が行われ、優秀な成績をとった人たちが3月の全国大会に進みます。
マイプロジェクトにとって大切なのは、オーナーシップ(課題に対する主体性)とアクション(実際に実行した経験で得る学び)です。どんなに小さなことでも、自分自身の課題と考えて行動することが重要なのです。
やりたいことが見つからなければ、「スタートアップキャンプ」に参加してみよう
マイプロジェクト全国事務局の吉田愛美さんに、高校生がマイプロジェクトを通じてどのような学びを得ているかなど、お話を伺いました。
―― マイプロジェクトは、どのようなきっかけで始まりましたか?
もともとは大学生が身近な課題や自分の興味関心に沿って、プロジェクト・ベースト・ラーニングという形で取り組んでいましたが、それが高校生に広がりました。
大きなきっかけとなったのは日本大震災で被災した高校生たちの取り組みでした。震災で大きな被害を受けた被災地の高校生が「高校生も、地元のために力になりたい」と考え、プロジェクトに取り組み始めたのです。例えばある男子高校生が住む地区は、ほとんどの家が津波で流されてしまったのですが、彼の思いをくみ取ったまわりの大人たちの協力もあって、住民たちと一緒に、津波が来たら高台へ避難するように促す木碑を作ることができました。
これを機に2013年、第1回のマイプロジェクト全国大会が開催されました。当時集まったプロジェクトは10数件でしたが、今では230ものプロジェクトが集まるようになりました。
―― 全国大会を始めて5年でプロジェクトの数が劇的に増えたのですね!
そうですね。でも、さらに高い目標があって、2020年には1万人の高校生がマイプロジェクトに参加している状態を目指したいなと思っています。
一部の優秀な、特別な高校生だけが参加するものではなく、多種多様な高校生が参加する場にしていきたいなと思います。
―― マイプロジェクトに参加したくても、何をすればいいか分からない高校生もいるのでは?
確かに最初の入り口である「プロジェクトをつくる」ところが一番難しいかもしれません。そのため、そうした高校生たちのために、夏から秋にかけてスタートアップ合宿というものが開催されます。じっくり自分と向き合い、取り組むプロジェクトの計画を立てるというものです。Will(したいこと)、Can(できること),Need(必要なこと)を軸にして、大人と話し合いながらプロジェクトを発足させた高校生もいます。
おとなしい子がマイプロジェクトを通じて、大勢の前で発言できるようになった
―― どんな雰囲気の中で高校生たちは参加していますか?
全体的に和気あいあいとした雰囲気ですが、やはりプロジェクトの発表となるとピリッとした、いい意味での緊張感は漂っています。男女比は4:6で、女子が若干多いのですが、リーダーシップをとっている子は男子が多かったりします。
―― マイプロジェクトに取り組むことによって、高校生に変化はありますか?
高校生の変化を感じるという話はよく聞きますし、私自身もそれを実感した出来事がありました。
声を聞いたことがないほどおとなしい女の子がいたのですが、「自分を変えたい」という気持ちから、マイプロジェクトに参加をしてくれました。そして彼女のプロジェクトが社会貢献などの大きなテーマではなく、「自分のおばあちゃんを好きになること」でした。具体的にはおばあちゃんを学校の文化祭に呼んだり、一緒に料理をしたりするというものでしたが、プロジェクトに込めた「自分だけの」思いもあって、全国大会へ進んだのです。普段はどちらかと言えば控えめの彼女が、堂々と大勢の人の前で発表する姿を見た時は、本当に感動しました。
―― 自分にとって身近な課題を解決するプロジェクトでもいいのですね。
こういうプロジェクトは、ともすれば「社会に役立つことをしなくては」などと考えがちですが、決してそういうものではありません。マイプロジェクトが大切にしていることは、自主性を持ってプロジェクトに臨む姿勢と実行することです。もちろん大会で良い成績を取ることでもありません。
中にはプロジェクトをつくったけれど、あまり実行していない状態で大会に出場してくる子もいます。それでも全く問題ありません。大会前日のワークに取り組み、当日の発表を通して審査員から「これからこのプロジェクトをどうしたいと思っているの?」などと問いかけられることで、ヒントを得てプロジェクトをきちんと実行する子もいるからです。
―― 今後、マイプロジェクトはどのようなことを目指していきますか?
マイプロジェクトのような探究活動ではプロジェクトに取り組む高校生がまだまだ少ない中で、日本中のどこに住んでいても「やりたいこと」ができる環境を整えることが重要だと思っています。
例えば、かつてマイプロジェクトに参加した大学生などに高校生のオンライン上の「伴走者(活動を支える人)」として参加してもらっています。プロジェクトを進めていく中で、さまざまな問題や壁にぶつかった時に、支えてくれる人の存在は重要です。身近にそういう大人がいない高校生でも、プロジェクトに取り組みやすい環境を作ることができればと思っています。
「プロジェクトを考える」というと、何か大きなテーマでなければいけないのかと思いがちですが、決してそうではないのですね。スタートアップキャンプはオンラインでも参加できるので、勉強や部活で忙しい人も活用できるのではないでしょうか。
皆さんも身の回りで疑問に思っていることや、自分自身が抱えている問題をプロジェクトとして立ち上げてみてはいかがですか? アクションを起こすことで見えてくるものが、たくさんあると思いますよ。
【応募はこちらから!】
▼マイプロジェクト スタートアップキャンプ
【取材協力】
マイプロジェクト事務局(認定NPO法人カタリバ内)
吉田 愛美
公式HP: https://myprojects.jp/