顔の向きだけじゃない! カレイとヒラメを徹底比較!

カレイとヒラメは外見がとてもよく似ている魚として知られています。見分けるポイントは目の付き方。「左ヒラメに右カレイ」といわれています。ところが一見そっくりなヒラメとカレイには、目の付き方以外にも対照的といえる相違点があります。どのようなところが違っていて、それはなぜなのでしょうか。
この記事をまとめると
- ヒラメとカレイはよく似た魚で目のつき方で見分けるのが一般的
- 食性の違いから口の形状もかなり違う
- 魚の生態について学ぶのは「水産学」
ヒラメとカレイの見分け方は顔の向き
ヒラメ(鮃)とカレイ(鰈)はともに平べったい形で、海底の砂や泥にまみれるように生息しています。ヒラメがカレイ目カレイ亜目ヒラメ科、カレイはカレイ目カレイ科とどちらもカレイ目に属する魚です。
見分けるポイントとされる目の付き方ですが、腹を手前にして見たときに左に頭が来るのがヒラメ、右に来るのがカレイです。どちらも表側に両目がついていて、目がある「有眼側」は保護色になっており、周囲の色に合わせて色が変わります。一方、海底に接している「無眼側」は白っぽくなっています。
しかし、ヒラメもカレイも、卵から孵化(ふか)したばかりのときには目が左右対称についています。成長するにつれて左右どちらかに眼が移っていき、孵化して2週間ほどすると海底で生活するようになるのです。このようにヒラメとカレイは脊椎動物のなかでは唯一、左右非対称の体を持つユニークな存在です。
食性の違いにより口や歯にも違いが出てくる
目の付き方以外に、実は意外と知られていないカレイとヒラメの違いは口まわりにもあります。ヒラメの口は大きく、鋭い歯が並んでいます。一方、カレイの口は小さめで歯に鋭さがありません。これは食べるものの違いによる差です。
ヒラメのエサはアジやイワシ、エビ、貝など。海底に身を潜め、隙を狙って飛びかかるどう猛さがあります。そのため口は大きく、歯にも鋭さがあるようです。一方のカレイはゴカイ、イワムシ、小エビなどを食べます。ヒラメほど俊敏な動きはせず、海底をつついてエサを探します。
生態の違う魚は、おいしく食べる料理法にも違いがある
一般的にヒラメの方が漁獲量が少なく高級魚とされていますが、カレイでも種類によってはかなり高級魚となるものがあります。エサや生態が違うので、見た目は似ていても味には当然違いがあります。
ヒラメはムニエルなどにもしますが、刺し身がおいしいことで知られています。これは動き回ってエサを捕食しているので、身がしまっているためです。煮付けなどで長く火を通すと固くなってしまうので、刺し身でコリコリした歯ごたえを楽しむのに向いているのです。カレイはヒラメのように活発に動かないため筋肉は発達せず、身は柔らかです。コクのある味わいで火を通して煮付け、唐揚げにすると身がふっくらしておいしさが引き立ちます。
このように、特徴的な平べったい形が一見そっくりなヒラメとカレイですが、生態や食性にはかなり違いがあります。今回紹介したヒラメとカレイ以外にも、魚の生態の違いなどについて興味がある人は「水産学」を学んでみてはいかがでしょうか。魚の生態や特徴などを調査・分析することで、漁業の効率化や環境保全に役立てていくこともできますよ。
【出典】
NHK「ダーウィンが来た!」
http://cgi2.nhk.or.jp/darwin/articles/detail.cgi?p=p534
「左ヒラメの右カレイ」の謎
http://nria.fra.affrc.go.jp/hakko/news/37.pdf
環境省_コラム・エッセイ さかなクントークショー「身近な生き物を観察しよう ]
https://www.env.go.jp/chemi/end/endocrine/5column/c-10.html
左ヒラメに右カレイ
http://leo.or.jp/Dr.okazaki/omosiro/hiramekarei/hiramekarei.html
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちはほかの生物から栄養をもらって生活をしています。しかも、採集や狩猟だけではなく、食物を生産するという手段を得て、今日のように繁栄しました。人口増加や環境悪化などに対応し、将来的に安定した食料の確保を維持するためには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が必要です。さらに突き詰めて考えれば、動植物や微生物などの多様な生物に対する研究も重要です。自然との共生が大きなテーマになる学問です。
この記事で取り上げた
「水産学」
はこんな学問です
海洋に生息する動植物などの水産資源を捕獲・生産する漁業についての学問である。最近では、干潟の埋め立てやごみの不法投棄など、海洋の環境問題についての研究も盛ん。専門分野としては、海の生態系と海洋生物の生態を調査・分析して漁業や環境保全に活用する「海洋生物科学」、水産資源の効率的で持続的な捕獲・生産方法から加工・流通までを研究する「海洋生産管理学」、水産物の食品としての利用技術を研究する「水産食品化学」などがある。
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