【シゴトを知ろう】金工家 編

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【シゴトを知ろう】金工家 編

2018.06.04

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】金工家 編

一見硬く、無機質な印象を受ける金属。しかしさまざまな技術を使って加工し、アクセサリーやオブジェを作り出していく金工家の手にかかると、一気にいろいろな味わいを見せるようになります。

今回は、神奈川県茅ヶ崎市で金工家として制作活動をする小原聖子さんに、仕事の概要や美術大学で学んだことについて伺いました。

この記事をまとめると

  • 完成した作品は展覧会やイベントで販売する他、ショップに卸している
  • 美術大学の金工専攻で美術や金属工芸の基礎を学んだ
  • 高校生の頃から漠然と自分の手でものを作る仕事に就きたいと思っていた

展覧会では全国あちこちを旅し、いろいろな人や場所に出会える

小原さんが制作した作品

小原さんが制作した作品

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
私は主に真鍮(しんちゅう)を素材としたアクセサリー、オブジェの制作・展示販売をしています。

制作は、自宅の一室にある工房で行います。真鍮の板や棒を切る、叩く、曲げるなどして直接加工する他、アンティークのレースや布の一部を型取りして、そこに溶かした真鍮を流し込み冷やし固めたものなどを組み合わせて、作品を作ります。組み合わせる際には、こうして加工したパーツの一部分を細い刃のついた糸ノコを使って切り取り、「ロウ付け」という技法を用いてくっ付けます。

付けたいパーツ同士をぴったりと合わせた部分に銀ロウ(銀と真鍮の合金)を置き、ガスバーナーで700〜800℃くらいにあぶると、ロウが流れ込んでくっ付くのです。溶けてキラッと銀色に光ったロウが、一瞬にして隙間に流れ込むのは気持ちの良いものです。このようにして出来上がったかたちに金具を付けて、完成品に仕上げています。

完成した作品はギャラリーでの展覧会で直接販売したり、ギャラリーショップやセレクトショップに卸しています。展覧会やイベントは大体月に1本、多い月は4本ほど入っていて、個展の搬入・搬出やワークショップなどで在店しているとき以外は、ほとんど工房で制作に集中しています。

<一日のスケジュール>
9:00 前日の続きを制作
12:00 昼食
13:00 制作再開
17:00 事務作業など
19:00 夕食
21:00 展覧会前は夕食後も制作
23:00 明日の作業の取っ掛かりを残し、終了
 
 
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
漠然とイメージしていたかたちの要素が、金属をいじっているうちに自分の手の中にふっと立ち現れ、実体化する瞬間に出合えると何とも充ちた気持ちになります。象形文字のように、言葉でうまく伝えられない感覚も作品を通して人と共有できたらいいなと思います。

また、展覧会で全国あちこちを旅し、いろいろな人や場所に出会えるのも日々の制作のご褒美のようであり、醍醐味でもあります。

 
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
 
好きなことを続けられているので大きな苦労は感じませんが、しいていえば制作に迷ったとき、「答えは無いんだよなぁ」と気付く瞬間でしょうか。しかし、決まった答えが無い大変さというのはどんな仕事にも当てはまることです。「逆にいえばたくさんの答えが存在してくれているんだな」と、心強く思うようにしています。

あとは、1カ月~半年くらいの予定と、数年単位の予定両方を常に把握していなければならないことが少々大変です。 

一浪し、実際に素材に触れる工芸科に惹かれ進路変更

Q4. どのようなきっかけ・経緯で金工家の仕事に就きましたか?
 
ひたすら工作に没頭したり、想像を膨らませて手を動かしたりするのが好きな子どもだったので、その延長に今があります。そのため自然と美術大学を目指しましたが、初めは金工のことはほとんど知りませんでした。入学後に木工やガラスなどいくつかの素材に触れた中で、より職人性を感じた金工を選びました。一見硬い金属が自由にかたちを変えていく様子や、普段なかなか触れることのない道具が並ぶ渋い工房も魅力的でしたね。

卒業後は週の半分を大学の研究室でのアルバイトに、そしてもう半分を制作に当てて地道に続けました。アルバイトを変えながら徐々に制作の割合を増やし、卒業してから4年後、制作一本に絞りました。

 
Q5. 大学では何を学びましたか?
 
美術や金属工芸の基礎を学びました。金工専攻では鍛金・彫金・鋳金と大きく分けて3つの技法を学びます。一言で金属といってもさまざまな種類があり、技法も多岐に渡ります。短い期間ではありますが、それらを広く学べるのは貴重な時間でした。硬い金属が柔らかく表情を変えていくには、力ずくではない、素材に対する謙虚な気持ちが必要ということも体感しました。

現在の制作は技法を追求した工芸品というより、記憶やイメージの断片を形にした、金属工作といった方が良いかもしれません。薄い真鍮の板に刻印で一つずつ模様を打ったもの、線を曲げたり、ロウ付けしたりしたもの、布や紙、レース編みの一部などを型取りし鋳造したもの。さまざまなパーツを作り組み合わせて、作品に仕立てています。習った技法をフルに使っているわけではありませんが、手を動かしながら形にする作業は、学生時代に培った感覚が軸になっています。

 
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
漠然と自分の手で何かものを作る大人になりたいと思っていました。当時はファッションやインテリアなど、目にも鮮やかな対象に興味を持っていたように思います。その時々で興味の対象が変化するのは当然のことですが、根っから好きなことはあまり変わらない気がします。

実は現役の美術大学受験のときは金工のある工芸科は受けず、グラフィック系を目指していたのですが、希望は叶いませんでした。進路変更をしたのは一浪したときで、実際に素材に触れる工芸科に惹かれ受験しました。もし現役で受かっていたら金工家になっていなかったと思うと、人生不思議なものです。「ものづくり」という軸はぶれずに、その時の興味を素直に追いかけた結果、今があるんだなと実感します。

周りの意見や空気に振り回されず、自分の実感を大切に

Q7. どういう人が金工家の仕事に向いていると思いますか?
 
自分にしか出せない答えに向かって、こつこつと地道な作業に没頭できる人でしょうか。

また個人作家の仕事は作品制作だけでなく、事務作業や展覧会の準備、お客様やお取引先とのやり取りなど多岐にわたるので、いろいろな作業を楽しめる人が向いていると思います。

 
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
この仕事を目指している人はむしろ、金工以外のことにも興味を持つことをお勧めします。制作のインスピレーションは、大抵違うフィールドから得られるような気がします。

私の場合も高校では金工どころか、特に何か作品を作っていたわけでもなく、運動部に入って日々汗を流し、割とのんびり目の前の出来事を受け取っていました。でも、目の前にやってくることを自分のこととして楽しむことができれば、その中にきっと何か引っかかるものがあるはずです。わけもなくピンとくるもの、腑に落ちることは、元来好きなことや興味があることなのだと思います。そういう分野では多少の無理もきくし、ちょっと大変なことがあっても踏ん張れます。何より、続けていくための持久力があらかじめ備わっていると思うのです。

周りの意見や空気に振り回されずに、自分の実感を大切にしてください。


繊細な小原さんの作品のベースには、学生時代に学んだ金属工芸の基礎があると分かりましたね。そこに「アンティークのレースや布の一部を型取る」といった応用の発想が合わさり、オリジナルの風合いを持つ作品が生まれます。

皆さんも、高校生のうちはいろいろな世界に触れて、こういった発想のヒントを見つけておくと良いかもしれません。
 

【profile】金工家 小原聖子
公式HP:http://www.obaraseiko.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/obaraseiko/

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「金工家」
はこんな仕事です

金属工芸作家のことを指し、金属を主要素材とする、さまざまな加工を施す職人。花器や置物などの日用品から、装身具や甲冑(かっちゅう)などの美術工芸品まで、その種類は多く伝統工芸品もある。素材となる各金属の特性を十分に理解し、その上で金属を溶かして型に流し込む鋳金、金属をたたいて成形する鍛金、金属を彫って装飾する彫金などの技法を身に付ける必要がある。さらに芸術的なセンスも磨いておきたい。工房、工場に就職したり、金工家に弟子入りしたりするところからスタートし、一人前になるまで修業を続ける。

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