断崖絶壁を登る登山家は、どこで休憩や睡眠をとっているの?

命がけで断崖絶壁を登る登山家たち。でも、疲れ切ってしまったり、夜になったらどうやって休んでいるんでしょう? 極限状況下における驚きの休息の取り方をご紹介します。
この記事をまとめると
- 断崖絶壁でテントを張って休む登山家たちがいる
- テントを張るだけでなく、平らなベッドをつくってそこで休む人も
- 過酷な仕事だが、登山家にならないと見ることができない景色もある
登山家は「空中キャンプ」も当たり前!?
昨今、登山がブームになっています。もしかしたら、みなさんの高校にも登山部があるかもしれませんね。しかし、山登りはすがすがしい充実感が得られる一方で、自然の驚異と向き合う危険なものでもあります。なんでも、プロの登山家は、断崖絶壁を登るときには空中でキャンプすることもあるのだとか。
断崖絶壁を登る「ロッククライミング」をするとき、短い時間で登れるような比較的低い崖ならまだしも、登るのに数時間、場合によっては1日以上かかる場合があります。すると当然途中で休む必要があるのですが、そこはもちろん断崖絶壁。おちおち休んでいる場合ではありません。その際、ロッククライマーたちは断崖絶壁にぶら下がった状態でキャンプをするのです。
寝返りで真っ逆さま! どうしてこんなところで熟睡できるの!?
崖で休む場合に使う登山用品はいろいろなタイプがあるようですが、テントで休むタイプでは、ほとんど垂直の崖に鉤(かぎ)状になったハーケンという登山用具で岩壁の割れ目に打ち込み、吊下げ用テントを設営して寝るのだそうです。この他にも崖から吊るしたベッドの上に寝る方法もあるのですが、こちらは寝返りを打ったらあっという間に真っ逆さま。勇気がいるどころの話ではありません。
素人である我々から見ると「こんなところで眠れるわけない!」と思ってしまいますが、プロの登山家は慣れたものなのか、それとも疲れているからなのか、とんでもない高さでもしっかりと休んでいる様子。また、登山をする際にはたくさんの荷物を持っているわけですから、寝るときにも荷物を外にぶら下げるかテントの中やシートの上に置いておく必要があります。大切な荷物も落下しないように気を付ける必要がありますから、素人では余計に気になって眠れないかもしれません。
自然に魅了された人が挑む、過酷な仕事
死と隣り合わせの空中キャンプですが、朝目覚めたときに観ることができる景色は、地上にいる人には観ることができない格別なものがあるに違いありません。また、平地では見かけない珍しい植物や昆虫などとの出会いも登山の醍醐味の一つでしょう。このような経験をすると、やみつきになってしまうのかもしれません。
こうした登山家を職業としている人たちは、山岳ガイドとして一般人の登山に同行したり、いろいろな山を登った経験を元にした講演や書籍に執筆なども行っています。日本には、エベレストの日本人初登頂を果たした故・植村直己さんや、80歳にしてエベレスト登頂を実現した三浦雄一郎さんなど、たくさんの偉大な登山家たちがいます。将来登山家を目指している人は、まずは身近な山でたくさんの経験を積んでから、徐々にハードルの高い山を目指してみてはいかがでしょうか。そうしたら、いつか空中でキャンプをする機会も訪れるかもしれませんね。
この記事のテーマ
「環境・自然・バイオ」を解説
エネルギーの安定供給や環境問題の解決など、自然や環境を調査・研究し、人の未来や暮らしをサポートする仕事につながります。また、自然ガイドなど、海や山の素晴らしさと安全なレジャーを多くの人に伝える仕事もあります。それぞれ高い専門性が求められる職業に応じて、専門知識や技術を学び、カリキュラムによっては資格取得や検定も目指します。
この記事で取り上げた
「登山家」
はこんな仕事です
山に登ることを仕事とする人のこと。特に高度な技術を必要とする登山をする人を指すが、登山することのみで収入を得られることは少なく、関連する活動や仕事を並行して行うことで収入を得ているケースが多い。例えば「山岳インストラクター」として一般登山者への指導を行ったり、書籍を出版したり、関連する製品の広告塔としてスポンサー収入を得るなどが例として挙げられる。数千メートルの高さの山に登ることも多く、早くから山岳部などに所属して経験を積み、体力と精神力を養っておかなければいけない仕事である。