【シゴトを知ろう】海事代理士 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】海事代理士 ~番外編~

2018.05.22

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】海事代理士 ~番外編~

輸出入が頻繁に行われる日本の港では、国内だけではなく、世界中から訪れる船の手続きが日々行われています。そんなあらゆる船の手続きを担う職業が海事代理士です。1858年に日米修好通商条約が結ばれて以降重要な貿易拠点となった神奈川県・横浜市で、海事代理士として活躍している松本誠さんにお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 日本全国の港が職場!? 海事代理士の活動エリアは広範囲
  • 近年は船籍をパナマから日本に戻す活動が大きな仕事の一つ
  • 開業4年目までは年収10万円! つながりを作り続けて今がある

船の検査手続きは煩雑なため、入念な打ち合わせが必要

――活動エリアについて教えてください。

横浜に事務所を構えていますが、依頼があれば日本全国どこにでも行きます。

船は常に動いているので、九州や広島の船の手続きを横浜近辺で行うこともあります。例えば、船舶の定期検査(船の車検のようなもの)は5~6年に1度なのですが、その半分の期間2~3年ごとに中間検査もあります。そのとき、船が海上を航行中であれば最寄りの造船所などで検査を受けることになるわけです。


――船の検査で大変なことはどんなことですか?

中間検査の時期は船によって異なります。船舶の検査に関わることは海事代理士の主な仕事の一つなので、船の構造を理解するために勉強しなければならないことを大変と感じる人もいるかもしれません。また、事前に検査官と打ち合わせを行います。なぜ打ち合わせをするのかというと、検査の手続きは大変複雑で専門的な内容となるからです。

船舶の検査は、車検のようにある程度決まった項目の点検を行えば大丈夫というものではありません。船は大きく複雑な機械類がたくさんあるからです。どのようなことをしなければならないのか、どういった書類を用意するのかを確認するために、船が入って来る港を管理する役所の担当者と事前に綿密な打ち合わせが必要なので神経を使います。

業界の有益情報を得るためには、団体に所属することが大切

研修会や海事代理士の集まりなどに積極的に参加して、常に新しい情報を入手することを心掛けている

研修会や海事代理士の集まりなどに積極的に参加して、常に新しい情報を入手することを心掛けている

――業界において横のつながりはありますか?

横のつながりは結構あります。資格を取ってすぐ、同期のメンバーと一緒にイベント開催をはじめとするさまざまな活動を行いました。

海事に関する情報は、普通に暮らしていると全く入ってこないので、自分から取りに行かなければなりません。その方法の一つが、多くの海事代理士が所属する団体「一般社団法人日本海事代理士会」に入ることです。

入会は強制ではありませんが、私のように何のつてもなく一人で仕事を始めた場合、団体に入らないと海事に関する情報を得ることは難しいです。(一社)海事代理士会の研修は情報収集をする上でとても有益でした。


――(一社)日本海事代理士会で会員同士が協力して活動することもあるのでしょうか?

会員が取り組む大きな活動の1つとして、パナマ船籍の船を日本籍に戻す働きかけがあります。

「便宜置籍船(べんぎちせきせん)」という専門用語があり、これは税金が安いなどのメリットを求めて外国に船籍を置くことです。船籍を置く国として世界的に有名なのがパナマで、日本でもパナマ船籍にしている船が多くあります。

船に掛けられる税金は、日本だと累進課税ですがパナマはトン数課税です。パナマ船籍にすれば船の総トン数によって税金が決まるので、運ぶ量や売り上げによって税額が変わることがありません。しかし、日本だと売り上げに応じて税金が決まる累進課税なので、税額が非常に高くなる場合があります。それで多くの日本船籍の船が日本から離れてしまったんです。

とはいえ、有事の際に日本の会社の船なのにパナマ船籍だと面倒なことになりますし、それ以外にもいろいろとグレーな部分が多い制度です。違法ではないのですが、それでも近年はきちんとした海運会社は日本船籍に戻しています。この活動はこれからも続けていくことになると思います。

バランスを保つために船に入れる水が今、世界で問題になっている

海事代理士は別名「海の法律家」。海事に関する手続きにはさまざまな法律が絡んでくる

海事代理士は別名「海の法律家」。海事に関する手続きにはさまざまな法律が絡んでくる

――海事代理士の業界に新規参入することは難しいと聞きますが、軌道に乗るまでは苦労されましたか?

開業1年目から4年目までは年収10万円でした。不動産の営業の仕事をしながら副業として海事代理士の仕事を始めたのですが、当時はとにかく船について勉強して、業界のつながりを作ることが目標でした。Facebookやブログなどで海事代理士について発信しながら、徐々に海運業に携わっている方や他の海事代理士の方と接点を持つようになりました。

この仕事は片足を突っ込む程度じゃ駄目なんです。両足どっぷり浸からないとできません。海事代理士の仕事が少しずつ増えていったので、不動産の仕事を辞めて海事代理士を本業としました。


――これまでで最も印象に残っている仕事について教えてください。

海事代理士の仕事の一つに「船舶登記」の仕事があります。その仕事を最初にした時のことが印象に残っています。前のオーナーから新しいオーナーへ船舶の所有権を移転するための諸手続きを行うのですが、海事代理士として活動を始めて間もない頃、海事代理士のメインとなる仕事が独力でできたので、今でも記憶に残っています。

他には、内航海運業といって日本国内の港を回っている船の仕事も印象深いです。他の船に給油するためのガソリンを積んだバンカー船と呼ばれる山口県岩国市の船だったのですが、その船の登録をする仕事が私の海事代理士としての初仕事でした。


――船に関わる法律や条例はどんどん増えているそうですが、新しいものではどんなものがありますか?

荷物を運ぶ大型船の運航における「バラスト水」が世界的な問題になっています。バラスト水とは、簡単に言うと船のバランスを取るための重りにする水のことです。船が荷物を積まずに出港する際、バランスを取るために出航する港で海水を積み込みます。そして、目的地(貨物を積載する港)に着くと、そのバラスト水を船外へ排出します。

IMO(国際海事機関)の調査によると、船で運搬されるバラスト水は年間30億トンから50億トンもあります。日本の港を出て目的地が日本国内など近い場所であれば問題ないのですが、外国の遠い港だった場合は日本の海水が外国の海で排出されることになります。そうすると、捨てられた海水に含まれている水生生物が外来種として外国の生態系に影響を与える問題が発生します。

パラスト水の問題に対応するため2004年に国際条約が採択され、2017年9月8日に発効しました。これによって、バラスト水がきちんと処理されているか(排水が生態系に影響を与えないようになっているか)についての証明にも海事代理士が関わることになりました。


海事代理士は、日本だけではなく国際的な法律にも関わってくる部分が多々あります。そのような法的業務があるので、役所の手続きを代理で行う司法書士や行政書士の資格も持って活動している海事代理士が多いようです。海事代理士に興味がある人は、法律について深く学んでみてはいかがでしょうか。


【profile】シーサイド海事法務事務所 代表海事代理士 松本誠

シーサイド海事法務事務所 http://www.seaside-office.com/

この記事のテーマ
自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」を解説

陸・海・空の交通や物流に関わるスキルを学びます。自動車、飛行機、船舶、鉄道車両などの整備・保守や設計・開発、製造ラインや安全の管理、乗客サービスなど、身につけるべき知識や技術は職業によってさまざまで、特定の資格が求められる職業も多数あります。宇宙については、気象観測や通信を支える衛星に関わる仕事の技術などを学びます。

「自動車・航空・船舶・鉄道・宇宙」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「海事代理士」
はこんな仕事です

海事代理者は、船舶を所有する人に代わり、国土交通省や都道府県などの行政機関に登録や申請といったさまざまな手続きの書類作成を行っている。ほかにも船員の海技免許の申請、海上交通の許可手続きなどの仕事を幅広く扱い、海の法律家のように呼ばれることもある。「海事代理士」は国家試験により資格を取得するが、海事法令のほか、憲法、民法、商法などの法律の知識も必要になる。行政書士事務所などで経験を積んでから独立する人もおり、事務所は港の近くに置かれていることが多い。

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