【シゴトを知ろう】非破壊検査技術者 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】非破壊検査技術者 ~番外編~

2018.05.21

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】非破壊検査技術者 ~番外編~

高校生の皆さんが健康管理のために1年に1回健康診断を受けているように、建物にも定期的な検査が必要なことをご存じでしょうか。建物も人間と同様、時間とともに劣化し、放っておけば壊れてしまいます。そのため、建造物の医師とも呼べる存在である非破壊検査技術者が、建物に欠陥が生じていないかどうかを調査します。
社会の安心と安全を守るために活躍している非破壊検査技術者の仕事について、社内教育に携わりながら現場の仕事も行っている非破壊検査株式会社の大久保拓二さんにお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 非破壊検査をしなかったことで死亡事故が発生した例もある
  • 受験するのに100万円以上もかかる希少資格がある
  • 初めての現場作業では緊張して手が震えたことも

空港の荷物からロケットまで、さまざまな検査に使われる非破壊検査技術

――非破壊検査技術を用いて行う検査にはどのようなものがありますか?

非破壊検査はあまり耳になじみがない検査だと思いますが、巨大プラント(*1)や最先端のロケットなどにも行われている検査です。非破壊とはその名の通り、製品を壊さずに中身を検査するという意味です。

空港で飛行機に乗る際にX線を使った荷物検査が行われますが、あれも非破壊検査の一種です。郵便小包の中身をスキャンして、危険物、例えば爆弾などが仕掛けられていないかどうかを調べる検査にも非破壊検査の技術が使われています。

人間の体を検査するときにもX線や超音波などを用いた非破壊検査の技術が使われていますし、原子力や石油プラントの配管などの検査も同様です。また、自動車の部品を作る際にも非破壊検査の技術が使われていることが多々あります。


*1 プラント:発電所や石油精製所など大規模な工場や設備のこと。


――検査を行わないとどんな事故につながりますか?

10年以上前になりますが、福井県の原子力発電所で大惨事が起きました。配管が破損したために140℃の蒸気が一気に噴出し、それによって5人が亡くなったのです。

この事故は配管の減肉(げんにく)摩耗が原因とされています。減肉というのは、簡単にいうと配管が薄くなりもろくなっている状態のことです。高温・高圧の水流に長年さらされると配管の内側が削れ、やがて配管自体が破損し重大な事故につながることがあります。

そのような事故を防ぐために超音波検査を実施して配管の厚みを測定するのですが、事故が起こった原子力発電所では、30年近く一度もその配管の検査や交換をしていませんでした。

保有資格は数十個! 主に使う資格は6つ

試験対策のための講義で使用するテキスト。三角関数など中学、高校時代に習ったことが役に立つ

試験対策のための講義で使用するテキスト。三角関数など中学、高校時代に習ったことが役に立つ

――非破壊検査技術者には多くの資格が必要といわれます。取得された資格について教えてください。

取得した資格は数十種類あります。プラントや社会インフラの安全性を保つために、建物や設備を傷つけず欠陥がないかどうかを調べる現在の仕事に関わってくるのは主に6種類の資格で、放射線透過試験(*2)、超音波探傷試験(*3)、磁気探傷試験(*4)、浸透探傷試験(*5)、過電流探傷試験(*6)、ひずみゲージ試験(*7)の資格です。全て最高クラスのレベル3を持っています。仕事で一番必要なのは超音波探傷試験で、これは入社して最初に取った資格でもあります。


*2 放射線透過試験:放射線を用いて物体の内部を検査する方法。
*3 超音波探傷試験:超音波を用いて物体の内部を検査する方法。
*4 磁気探傷試験:磁気を用いて強い磁気を帯びた物体の表面傷を見つける方法。
*5 浸透探傷試験:液体を用いて物体の表面傷を見つける方法。
*6 過電流探傷試験:電流を流して物体の表面傷を見つける方法。
*7 ひずみゲージ試験:物体にかかる負荷を検査する方法。


――たくさんの資格をお持ちのようですが、その中でも珍しい資格はありますか?

「軽水型原子力発電所用機器に対するPD資格試験」が最も希少だと思います。資格取得者はおそらく全国に30~40名ぐらいしかいません。受験料が非常に高く、受験申請料と受験料で100万円以上かかるだけではなく、5年に1回更新する際に同じ金額がかかります。


――受験料などが100万円とは、一体どのような試験なのでしょうか?

「軽水型原子力発電所用機器に対するPD資格試験」は、原子力の配管に割れがあった時に、その割れの深さを測る実技試験です。10体の試験体が与えられるので、5日間でそれらの試験体を非破壊検査技術で検査して、その損傷の度合いを報告します。更新の時も同様の試験を受けます。

高額な受験料は会社が出してくれましたが、その分、絶対に落ちたらいけないというプレッシャーがありましたね(笑)。試験前に何度も会社に講習をしてもらって、2009年に1回目の受験で合格しました。

ただ、この資格を使う仕事はまだ依頼されたことがありません。というのも、この検査は原子力関係の機器を作っているメーカーが自社で行うのが一般的だからです。いざという時に備えて取得している、検査会社のスキルを示すための資格です。

巨大プラントの検査期間はおよそ2カ月間。装置を止めて行う

機械を使って実際に探傷し、問題がある場所や傷の場所などを計算して出しているところ。

機械を使って実際に探傷し、問題がある場所や傷の場所などを計算して出しているところ。

――これまでの仕事の中で最も印象的だったのはどのような仕事ですか?

入社して2年目に初めて現場に出向いた検査です。静岡県にある浜岡原子力発電所で、お客さま立ち会いのもと超音波を使った非破壊検査を行いました。お客さまが見ている前で検査をするので、緊張して手が震えていたのを思い出します(笑)。


――石油プラントや原子力発電所における検査期間について教えてください。

石油プラントや原子力発電所など大規模な建物の場合、1回の定期検査に2カ月間くらいかかります。もちろん私だけではなく大人数の非破壊検査技術者が出向いて、1~2カ月間装置を止めて悪いところがないかどうかをチェックします。

地方に出向くときは、検査現場の近くの民宿やビジネスホテルに滞在してそこから通います。欠陥を見つけたらお客さまに報告をして、補修で対応できるものなのか、それとも交換が必要なものかを判断します。


大久保さんのような非破壊検査技術者の人たちが、一生懸命勉強に励んで身に付けた知識によって社会の安全は守られています。決して楽な仕事ではないと思いますが、社会のためにやりがいのある仕事に就きたい人には向いているかもしれませんね。

非破壊検査技術者を目指すのであれば、工学について専攻することが近道です。興味がある人は工学系の学部や学科がある大学を選んでみてはいかがでしょうか。


【profile】非破壊検査株式会社 東京事業本部生産技術教育部技術グループ 大久保拓二

非破壊検査株式会社 https://www.hihakaikensa.co.jp/

この記事のテーマ
機械・電気・化学」を解説

製品を効率よく大量に生産する機械の製造・操作・保守に関わったり、電気、石油やガスなどのエネルギーを安定かつ安全に供給する設備を運営・管理したりするための知識や技術を身につけます。機械や電気、化学物質を取り扱う資格取得を目指すカリキュラムが中心。危険物を扱うことも多いため、仕事への注意力や慎重さも身につける必要があります。

「機械・電気・化学」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「非破壊検査技術者」
はこんな仕事です

放射線や超音波といったハイテク技術により、建物や機械などを壊さずに、その内部の状態を調査する仕事。劣化した部分や不良品を的確に見つけ、安全な使用を実現させる。活躍の場は、建築会社や部品を扱う工場、メーカーが一般的。技術者としてのスキルは入社後に現場で高めることもできるが、一般的な理工学の知識を身に付けておくと仕事に役立つだろう。また、知識や技術を証明する資格の一つとして、一般社団法人日本非破壊検査協会が実施する「非破壊検査技術者」の資格がある。

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