「くすり」は「リスク」って、ホント?
メイン
テーマ

「くすり」は使い方によって「リスク」にもなる?…意外な話ですが、時折、処方された薬が効かなかったり、副作用が出てしまったりすることがあります。また、投与される人の個人的な要因から、思わぬ作用が出ることも。名城大学薬学部薬学科の加藤美紀先生の研究テーマは「薬が体内に入った後にどう作用するか」を予測すること。くすりの専門家として医療に貢献するために欠かせない研究です。個々の患者に適切な薬を処方することで、薬本来が持つ効果を最善の形で引き出す…そんな薬学動態学(くすりの生体内運命)について、加藤先生が解説します。
この記事をまとめると
- 薬は人の身体に入ったあと、どんな運命をたどるのか?
- 場合によっては薬が患者に主作用よりも副作用のリスクをもたらすこともある。
- よりよい医療に貢献するための「薬学動態学」とは?
からだの中での“薬の運命”を探ってみる。
病気の治療方法として、薬物療法は重要な地位を占めます。病院に行けばほとんどの場合、薬を処方されますよね。ではその「くすり」はからだの中に入った後、どのような運命をたどるのでしょうか。薬が効いたり効かなかったり、あるいは副作用が出たりといった、体内での薬の運命から薬効や副作用の個体差を明らかにするのが私たちの研究テーマです。薬の生体内運命は、病状や併用薬でも変わりますし、遺伝的要因によっても変わります。そうした薬の生体内運命を予測することで、適切な薬物治療を推進していくことを目指して、日夜研究を繰り返しています。
薬学動態学という研究分野を通して、よりよい医療につながる情報を提供する。
薬は使い方によっては毒にもなります。「くすり」は「リスク」と言われるのも、そうしたところからでしょう。しかし、薬の服用によって確実にQOL(Quality of Life /生活の質)が向上した経験は誰にでもあると思います。たくさんある薬の中から、適切な薬を使用することは、間違いなくよりよい医療へとつながっていきます。私が専門としている薬学動態学(くすりの生体内運命)は、研究分野としては薬学部以外に存在しません。そのためにも、医療につながる情報を提供することこそ私たちの研究の使命であるとともに、“くすりの専門家”として、薬学独自の見地から医療に貢献していきたいと思っています。
加藤 美紀先生から学べる!名城大学薬学部薬学科
(加藤 美紀先生のプロフィール)
高校生の頃、抗がん剤と帯状疱疹治療薬を併用したことで 死者が出たというニュースを見て、この研究分野に興味を持ったという加藤先生。本来、病気を治すはずの薬を飲んで、人が亡くなってはいけないと切実に感じたそうです。モットーは「真実はなにか」。枝葉を見るのではなく、幹を見られるようにスタンスを定めているとのこと。
(名城大学薬学部薬学科の学び)
薬学の確かな知識、技能とともに、生命の尊さを知り、豊かな人間性と倫理観をもち、人々の健康と福祉の向上に貢献できる臨床薬剤師を養成します。病院と薬局でそれぞれ11週間(合計22週間)の実習を受け、実際の患者に接し、医師や看護師とのチーム医療の中で、さまざまな薬物治療を体験します。
【広告企画】提供 : 名城大学
この記事のテーマ
「医学・歯学・薬学・看護・リハビリ」を解説
病気やケガなどによる身体機能や生理機能の変化を治療し、健康な生活が送れるようにするのが、医療の役割です。今日のように高齢化が進んだ社会では、健康で長生きできるようなサポートも重要です。これらの役割を担うのが、医師、薬剤師、看護師、理学療法士などの専門家です。医師であれば解剖学や病理学、薬剤師であれば薬学など、それぞれが専門的な知識と技術を身につけ、連携することで医療の質を向上させる方法も学びます。
この記事で取り上げた
「薬学」
はこんな学問です
医薬品の効果・効能、製造方法、管理、供給などについて学び、研究する学問。医薬品の正しい服用方法などを指導する薬剤師、製薬会社などで創薬に携わる研究開発者、医師に対して医薬品の説明を行う医薬品情報担当者(MR)のほか、化粧品開発に関わる仕事に就くなど進む道は広い。薬剤師をめざす場合は6年制課程を修了し、薬剤師国家資格の取得が必要となる。創薬研究をめざす場合は、4年制課程を経て、企業や研究機関に進む。