【シゴトを知ろう】機械設計・技術者 ~番外編~

私たちの身の回りにある機械を設計するのが、機械設計・技術者の仕事です。今回は興南設計株式会社の竹岡稔さんに、この仕事に役立つスキルや印象的だった設計物について伺いました。
この記事をまとめると
- 自分の業務に当てはめ、実際にものを見たりすることで工業の知識を学ぶ
- 機械の外観だけではなく、つい中の構造が気になってしまう
- 海外製の商品の場合は国によってさまざまな規格が存在する
仕事の影響で長さの感覚がcmではなくmmになった
――この仕事には役立つスキルや資格があると聞きました。竹岡さんが「勉強しておいて良かった」と思うことがあれば教えてください。
工業高校の電子機械科に通っていたので、そこで製図や加工など工業の専門教科を学べたのは良かったと思います。資格としては、「機械設計技術者試験」や各技能検定などがあります。
私は新しい工業の知識を学ぶ際は、自分の業務に当てはめて考えたり、現場に足を運んで実際にものを見たりするようにしています。
――この仕事ならではのあるあるや、プライベートでもついやってしまう癖があれば教えてください。
長さの感覚がcmではなく、mmになります。これは日本のものづくりの基本であるJIS規格での単位が、mmであることが理由です。
また機械の外観だけではなく、つい中の構造が気になってしまいます。あとは商品開発に携わると、他社の製品を含め、携わった分野の商品が気になります。
作るものによって海外の規格に変わる!?
――竹岡さんが今まで設計してきた製品の中で、特に印象的なものを教えてください。
航空機関連の仕事が印象に残っています。航空機関連の仕事では海外の規格を基に設計するため、単位はmmではなくインチを使うことが多いです。日本内ではJIS規格で統一されていますが、海外製の場合は国によってさまざまな規格が存在するので、確認が必要です。
思い出に残る、商品開発と航空機関連の仕事
――最後に、仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
商品開発をしていたときのことが思い出深いです。当時は初めてのことばかりで設計から大変苦労しましたが、納期の厳しさや商品への責任感、他部署とのやりとりなど、多くのことを学びました。
また、航空機関連の仕事では主担当を任され、お客様の対応や業務の取りまとめなど、幅広い業務を行う必要がありました。いろいろ大変でしたが無事に設計も完了し、その後も大きな問題なく設備が使われていることを伝えていただいたときは、非常にうれしく大きな達成感が得られました。
一から商品を作ること、海外の規格で航空機に関連する機械を作ること。幅広い設計の仕事をされている竹岡さんのお話を聞いて、自分たちが普段何気なく利用している機械にも、さまざまな人の工夫や思いが込められているということが分かりましたね。今まで機械の中身について考えることはなかった人も多いかもしれませんが、これを機に、ぜひ機械の構造に目を向けてみてはいかがでしょうか。
【profile】興南設計株式会社 本社設計部 竹岡稔
【取材協力】一般社団法人 日本機械設計工業会
興南設計株式会社公式HP:http://www.konan-sekkei.co.jp
日本機械設計工業会公式HP:https://www.kogyokai.com
この記事のテーマ
「機械・電気・化学」を解説
製品を効率よく大量に生産する機械の製造・操作・保守に関わったり、電気、石油やガスなどのエネルギーを安定かつ安全に供給する設備を運営・管理したりするための知識や技術を身につけます。機械や電気、化学物質を取り扱う資格取得を目指すカリキュラムが中心。危険物を扱うことも多いため、仕事への注意力や慎重さも身につける必要があります。
この記事で取り上げた
「機械設計・技術者」
はこんな仕事です
機械製品の企画・設計、製造までの工程に携わるのが機械設計・技術者である。機械設計は携帯電話のような精密機器から飛行機など巨大な機械まで範囲が広い。工程はまず製図に描き、後には図面製作していき、3D CAD(設計した図面を3Dで立体化するソフトウエア)などで具体化する。機械製品は車など市場競争力の高い産業で多く、多額の予算と時間がかかるので、製品化に至るまで多くの試作を繰り返すハードな仕事である。機械産業は国を代表する基幹産業であるため、今後も技術者を育成し、この業界を発展させ続けなければならない。
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