【シゴトを知ろう】機械設計・技術者 編

皆さんが普段生活している環境には、さまざまな機械が存在しています。スマホなどの小さいものから大きなものになると航空機まで、機械に囲まれて生活しているといっても過言ではないと思います。
そんな私たちの生活に欠かせない機械の設計をする仕事について、興南設計株式会社の竹岡稔さんに詳しく教えていただきました。
この記事をまとめると
- 設計はCADというソフトを使い、3Dと2Dで設計している
- 商品開発設計と設備・装置の設計は、それぞれ異なる楽しさがある
- 高校で学んだ製図や工業の専門教科の知識が今の仕事につながっている
全く同じ設計は二度とない。常に違うことができる仕事
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
私は機械設計業務に携わっています。当社は自動車関連・航空機関連・製鉄所設備・省力化機械装置・商品開発など、幅広い分野で活躍しています。当たり前かもしれませんが、世の中に存在しているものは全て設計・デザインされています。興南設計の仕事は、「世の中の想いをカタチにする」こと。お客様の要望を機械、部品、商品として、世の中に出していきます。
昔はドラフター(製図台)を使い手書きで設計していましたが、近年ではCADというソフトで、3Dと2Dで設計しています。中でも3DCADでの業務が多いですね。基本的にはデスクワークで、幾つかのチームに分かれて仕事を進めています。
<一日のスケジュール>
9:00 始業
午前 設計業務/仕様打ち合わせ、議事録作成
12:00 昼食
午後 設計業務/仕様打ち合わせ、議事録作成
17:45 終業
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
商品開発設計においては、自分が携わった商品が店頭に並んでいるのを見るとすごくうれしいですし、楽しさややりがいを感じます。新しいものを作ることに関われること自体が魅力的ですね。
設備や装置の設計は、商品開発設計と異なり表舞台に出てくるものではありませんが、ものづくりの基本的な部分の開発業務です。例えば、手作業で組み立てしていた箇所を機械で自動的に組み立てることができれば、コスト削減、品質向上安定化、納期短縮など多くのことが可能になります。お客様の「困った」を改善することがやりがいでもあり、楽しさでもあります。
また毎日設計をしていますが、全く同じ設計は二度とないので、常に違うことができる仕事です。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
さまざまな制約の中で設計することがほとんどです。その中で大きさ・使いやすさ・組み立てやすさ・作りやすさ・コストを考えながら設計しなくてはならないことに、大変苦労します。
先生の言葉がきっかけで、設計の仕事に就くことを決めた
Q4. どのようなきっかけ・経緯で機械設計・技術者の仕事に就きましたか?
私は子どもの頃からものづくりが好きでした。現在の会社に決めたのは、高校の進路の先生に「設計という職があるよ」と教えていただき、いろいろなものを設計したいと思うようになったことがきっかけです。高校生の頃は一般的な5教科の勉強よりも、工業に関する専門教科を頑張っていたと思います。
Q5. 高校では何を学びましたか?
高校の授業では製図を学びました。その中でJIS規格*などを知ったことが現在の仕事につながっています。また、工業の専門教科も役立っていますね。実際の業務の知識は、入社後に先輩から教えていただき学びました。
*JIS規格…日本工業規格(JIS=Japanese Industrial Standardsの略)。日本の工業製品に関する規格や、測定法などが定められた日本の国家規格のこと。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
ものづくりに関わる仕事に就くことが夢でした。父親が大工だったので、幼い頃からいろいろなものを作って遊んでいたんです。そのため大工関連のものづくりに関心がありましたが、働き始めてからは商品開発や航空機関連、省力化機械装置に関心を持つようになりました。細かな変化はありますが、当時の夢は今の仕事にそのままつながっています。
「人より良いものを作ってやる!」と思う気持ちと頑張りが大事
Q7. どういう人が機械設計・技術者の仕事に向いていると思いますか?
デスクワークが苦ではない人や、いろいろなものに興味を持てる人が向いていると思います。専門知識は持っていなくても、入社してから学べます。まずは「人より良いものを作ってやる!」と思う気持ちと、頑張りが大事です。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
世の中にある、いろいろなものの仕組みや材料、作り方などに興味を持ち、見て聞いて触れてみてください。もし設計、製図などを学ぶ機会があれば、ぜひ興味を持って取り組んでほしいです。
「機械設計」というと難しくイメージしてしまう人もいるかもしれませんが、竹岡さんのようにもともとものづくりに興味のある人なら、何かを作ることの延長として考えられるのではないでしょうか。専門的に学びたいという人は、ぜひ工業やCAD技術について学べる学校を調べてみてくださいね。
【profile】興南設計株式会社 本社設計部 竹岡稔
【取材協力】一般社団法人 日本機械設計工業会
興南設計株式会社公式HP:http://www.konan-sekkei.co.jp
日本機械設計工業会公式HP:https://www.kogyokai.com
この記事のテーマ
「機械・電気・化学」を解説
製品を効率よく大量に生産する機械の製造・操作・保守に関わったり、電気、石油やガスなどのエネルギーを安定かつ安全に供給する設備を運営・管理したりするための知識や技術を身につけます。機械や電気、化学物質を取り扱う資格取得を目指すカリキュラムが中心。危険物を扱うことも多いため、仕事への注意力や慎重さも身につける必要があります。
この記事で取り上げた
「機械設計・技術者」
はこんな仕事です
機械製品の企画・設計、製造までの工程に携わるのが機械設計・技術者である。機械設計は携帯電話のような精密機器から飛行機など巨大な機械まで範囲が広い。工程はまず製図に描き、後には図面製作していき、3D CAD(設計した図面を3Dで立体化するソフトウエア)などで具体化する。機械製品は車など市場競争力の高い産業で多く、多額の予算と時間がかかるので、製品化に至るまで多くの試作を繰り返すハードな仕事である。機械産業は国を代表する基幹産業であるため、今後も技術者を育成し、この業界を発展させ続けなければならない。
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