【シゴトを知ろう】屋台料理人 編
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皆さんの中にも、オフィス街や公園に止まっているキッチンカーを見たことがある人はいるのではないでしょうか。昔は手で引いて移動する屋台もありましたが、最近ではこうしたキッチンカーを使い、各地で屋台料理を販売する人が増えています。
今回は、キッチンカーでエジプト料理の「コシャリ」を販売している「エジプトめし コシャリ屋さん」の須永司さんに、仕事の内容や、コシャリとの出合いについて伺いました。
この記事をまとめると
- 平日はオフィス街、休日は公園やイベントで調理販売・接客を行っている
- エジプト旅行でコシャリと出合い、日本に広めるためにこの仕事を始めた
- 他店とは違うこだわりを持ってやっていける人が向いている仕事
エジプトの国民食、「コシャリ」をキッチンカーで販売
Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
私はエジプト料理の「コシャリ」という食べ物をキッチンカーで販売しています。コシャリはエジプトでは国民食といわれており、柔らかく茹でたパスタ、マカロニ、ご飯の上にエジプト風トマトソースをたっぷりかけ、さらにヒヨコマメ、レンズマメ、フライドオニオンをのせた料理です。
平日はオフィス街、休日は大きな公園やスポーツイベントに出店し、調理販売・接客を行っています。まずお米を炊いたり、ソースを作ったりなどの仕込みをして開店準備をし、注文を受けてからそれぞれの食材を盛り付け提供するという流れです。お客様一人あたり1分以内で対応し、出来立てを提供しています。
<一日のスケジュール>
6:00 仕込み
9:00 出店場所に移動
10:30 開店準備
11:30 営業
14:00 片付け
14:30 移動
15:30 買い出し
16:30 移動
18:00 片付け、翌日の仕込み
20:00 事務作業
21:00 終業
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
当店では一般的に珍しいエジプト料理コシャリという食べ物を専門に扱っています。「コシャリを食べたことがない」というお客様ばかりですが、そういった方々に数ある飲食店の中から当店を選んでいただき、おいしいとリピートしていただいたときはうれしいです。
また、コシャリを世の中に広めるために、さまざまな企画を考えています。これまでには、エジプトを題材にした映画とコラボして、登場人物をイメージしたオリジナルコシャリの販売などを行いました。企画をゼロから考えて、それを実現できたときに楽しさを感じます。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
今は全て一人で業務を行っていますので、出店先への営業から食材の買い出し、仕込み、販売、看板の作成、事務作業といったことまで自分でやらなければいけません。また、天候が良いシーズンは土日も毎日仕事があり、休みがなく徹夜の日が続くことも。こういった時期は少し体力的に大変さを感じます。
「誰もやっていないことをやる」面白さに惹かれこの事業を始めた
Q4. どのようなきっかけ・経緯で屋台料理人の仕事に就きましたか?
大学を卒業してからは、一般企業でサラリーマンをしていました。就職してからは漠然と自分で事業をやりたいと考えており、常に頭の中でアイデアを練ったり、情報収集をしていました。そんな中エジプト旅行でコシャリと出合い、「面白い食べ物だな」と思ったんです。エジプトでは誰もが知っている食べ物なのに日本では誰も知らない。そこに着目し、「誰もやっていないことをやったら面白いのではないか」と思い、コシャリを日本で販売して広めようと思い立ちました。
事業を起こすと決めてからは企画書を書き、それをもとに銀行へ行って資金を借りました。車を探して購入し、人に手伝ってもらいながらキッチンカーの内装を整え、レストランでコシャリの作り方を学んでいきました。もともと料理やキッチンカー、経営については素人でしたが、実際に経験する中で身に付けていき、今に至ります。
Q5. 大学では何を学びましたか?
大学では教育学を専攻し、教育心理学を学んでいました。正直今の仕事で専攻分野の知識を使うことはありません。しかし学生時代やっていたアメリカンフットボールで学んだ「目標達成までの努力」、「努力の仕方、成功までのプロセス」「挨拶や上下関係などの基本的な常識」、「世代を超えた先輩後輩の人脈」などの経験は今も役立っています。
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校生の頃は、具体的に将来の夢というのは持っていませんでした。でも、高校時代の親友は未だにビジネスで刺激を受けたり、いろいろと助けてもらったりしています。やはり友人を大切にすることが、将来にもつながると思います。
やりたいと思ったら、まずはやってみることが大事
Q7. どういう人が屋台料理人の仕事に向いていると思いますか?
一言でキッチンカーと言っても、営業スタイルはさまざまです。素晴らしい味を売りにしている店、おしゃれな雰囲気を売りにしている店、唯一無二の接客を売りにしている店など、それぞれ特徴も異なります。「これ」と型が決まっているわけではない分、基本的にはどのようなタイプの人でもこの仕事ができると思います。
でもキッチンカーをやる上で個人的にお勧めしたいのは、「こだわりを持つこと」です。世の中に数多くの飲食店がある中で自分の店を選んでいただくには、他店とは違うこだわりを持ってやっていける人が向いていると思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
やりたいと思ったら、まずはやってみてください。自分の人生、やりたいことをしないと後悔することになります。やってみて合わなければ道を変えればいいだろうし、実際に働いて業界のことを理解し、人とのつながりができる中で気付く点も出てくると思います。その先にまた別の自分のやりたいことが見つかるかもしれません。だからまずやってみる、そしてそれを全力でやる。これが大切なことだと思います。
須永さんが今の仕事を始めるきっかけとなったコシャリについて気になった人も多いのではないでしょうか?いろいろな地域を回って販売できることは、より多くの人に料理を広めるのに適していますね。皆さんも、屋台料理街やキッチンカーが集まる場所を見つけたとき、どんな料理を出す店があるのか見比べてみると新しい発見があるかもしれませんよ。
【profile】エジプトめし コシャリ屋さん 須永司
公式HP:http://koshary-yasan.hungry.jp
公式Twitter:https://twitter.com/egypt_koshary
公式Facebook:https://www.facebook.com/egypt.koshary
この記事のテーマ
「食・栄養・調理・製菓」を解説
料理や菓子などの調理技術や、栄養や衛生などに関する基礎知識を身につけます。職種に応じた実技を段階的に学ぶほか、栄養士などの職種を希望する場合は、資格取得のための学習も必須です。飲食サービスに関わる仕事を目指す場合は、メニュー開発や盛りつけ、店のコーディネートに関するアイデアやセンス、酒や食材に関する幅広い知識も求められます。
この記事で取り上げた
「屋台料理人」
はこんな仕事です
屋台やワゴンなどで料理を提供する仕事。公園やオフィス街へ出向き、ラーメン、おでん、ハンバーガー、クレープなどを調理加工・販売する。メリットは、実店舗を持たないため少ない資金で開業が可能なことと、イベント会場など集客できそうな場所へ移動できること。食品の移動販売を始める際は、各都道府県の保健所に営業許可を申請する。移動販売で扱える食品や種類は限定され、屋外だけに衛生には細心の注意が必要だ。食品衛生責任者の資格取得のほか、規制がある路上や公園内での営業には各所への許可手続きも行う。