【シゴトを知ろう】コーラス ~番外編~

メインボーカルを支え、美しいハーモニーを生み出すコーラスの仕事。今回は、コーラスやボーカル講師として活躍するシンガーのMANAMIさんに、仕事の裏側や印象的なツアーでのエピソードについて伺いました。
この記事をまとめると
- アーティストの声まねと歌い癖の研究をしてコーラスに生かす
- ツアーの時は、本番の前日はできるだけ睡眠をとり体調管理をしている
- メインボーカルとコーラス両方を務めたツアーが特に印象に残っている
プライベートでもメインパートの歌にハモってしまう!?
――この仕事では、メインのボーカルがより引き立つような歌唱を求められることがあると聞きました。歌唱法で心掛けていることがあれば教えてください。
声をブレンドさせることはもちろんなのですが、強弱のポイントにも気を付けますね。一人でコーラスをするときは特にアーティストの声まねと、歌い癖の研究をします。細かく言うと、「お」の母音が「あ」のように聞こえたり、「に」が「ね」に聞こえたりするなど人によって発音もさまざまなので、そういった特徴をつかんできれいにコーラスできるように心掛けています。
また、声をきれいにブレンドするために意識しているのは、息の成分を多めにすることです。特に高音部分は喉を絞めるような歌い方だとキーンと聞きづらい声になってしまうので、柔らかく聞こえるように息の吐き方、音の当てる位置を工夫します。
――この仕事ならではの「あるある」や、ついプライベートでもやってしまう癖があれば教えてください。
日常から曲が流れてくるとメインパートの上ハモを歌ってしまう癖があります。一番周りの人から驚かれるのは、CMのサウンドロゴにもハモってしまうことです(笑)。
喉の管理のため、はちみつ大根とプロポリススプレーを携帯
――ツアーに帯同し全国を回る機会も多いと聞きました。ツアーならではの楽しみや、体調管理などで心掛けていることがあれば教えてください。
ツアーでは全国各地のおいしいものを食べられることがうれしいです。
体調管理では、本番の前日はできるだけ睡眠をとり、本番当日は湯船に浸かるようにしています。喉の管理としては、はちみつ大根やプロポリススプレーなど、喉を潤すものをいつも持ち歩いています。
メインボーカルとコーラス、それぞれの大変さを感じた経験
――メインのボーカルとコーラスでは、どのような違いがありますか?
まずメインは、何といっても自由に歌える楽しさがあります。ただ喉の不調があったとしても、フルコーラスで歌い続けないといけないので責任重大です。素晴らしいミュージシャンの演奏で歌えて、お客様の表情や声も間近で感じることのできる喜びと緊張感はメインならではの経験だと思います。
コーラスはメインのアーティストに気持ち良く歌ってもらえるように歌うだけではなく、共に伝えたい思いを乗せてさらに楽曲を盛り上げていく仕事です。そのため、ミスは許されません。一方でいろいろな音域や声色などを試して、自分の歌い方以外の歌唱を見つける楽しさがあります。緊張感はありますが、一人では味わえないコーラスのハーモニーも魅力の一つですね。
――最後に、仕事の中で、一番の思い出や達成感を感じたエピソードについて教えてください。
去年『Linked Horizon』の「LinkedHorizon Live Tour 『進撃の軌跡』」に参加した際、コーラスだけでなくメインパートも歌わせていただき、海外公演や横浜アリーナなどの大きな会場で一人で歌うというとても贅沢な経験をさせていただきました。コーラスの大変さもメインの大変さも改めて感じることができて、この仕事を始めてから最も公演数の多いツアーだったので、半年のツアーを締めくくる最終日は達成感から号泣してしまいました。
今までのたくさんの経験がここにつながったことに感謝しています。
メインボーカルとコーラスでは、それぞれに異なる緊張感とやりがいがあるのですね。「歌手を目指す」というとまずメインを考える人が多いかもしれませんが、より幅広い声色を試したい、声の調和を大事にしたいという人は、コーラスの仕事にもぜひ目を向けてみてください。
【profile】シンガー MANAMI
MANAMI 公式HP:http://manami-music.com/index.html
公式Twitter:https://twitter.com/manamisherry
公式ブログ:https://ameblo.jp/manami-pinksherry/
この記事のテーマ
「音楽・イベント」を解説
エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。
この記事で取り上げた
「コーラス」
はこんな仕事です
主にライブやコンサート、楽曲レコーディングの際に、別のアーティストのためにバックコーラスを担当するボーカリスト。メインボーカルを引き立たせるコーラスのための歌唱法ができることが重要だが、メインにも劣らないボーカルテクニックも必要だ。姿勢、口の開け方、呼吸法、高音の発声法といった歌うことの基本技術は必須。得意とする音域やジャンルによってコーラスを担当するミュージシャンが決まるので、豊かな表現力と幅広い対応力の有無で他との差がつく。ミュージシャンとの相性も重要。個性と協調性のバランスが問われる。