【シゴトを知ろう】塩作り職人 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】塩作り職人 ~番外編~

2018.03.07

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】塩作り職人 ~番外編~

私たちの生活と密接に関わっている食材の一つ「塩」。日頃から意識せず口にしているかもしれませんが、塩ができるまでには職人一人ひとりの苦労や思いがたくさん詰まっています。
山口県の向津具(むかつく)半島油谷島(ゆやじま)で「百姓の塩」を作っている井上雄然(ゆうぜん)さんに、おいしい塩の秘密や塩作りの工程を教えていただきました。

この記事をまとめると

  • 美しく豊かな森・川・海があるから、おいしい塩が作れる
  • さまざまな工程を経て塩が出来上がるまでには、およそ1カ月かかる
  • 「塩」と「食塩」は違う!? 違いは○○○○にあった

塩作り職人が教える塩のおいしい味わい方

――おいしい塩ができるのはどんな場所でしょうか?

海水に含まれているミネラルの成分は場所によって異なります。工業用として作られる塩(*)は味や成分が均一化されていますが、海水からできた自然塩は海水が採取された場所によって味に違いが出てきます。

おいしい塩ができる場所の条件は、きれいな水の川が流れ込んでいる海であること、そして、その川の上流に自然の森があることです。植林した森は腐葉土が少ないので、あまり良くないのです。
川の上流に豊かな森がたくさん残っていて、川の水に森の栄養が溶け込んで流れてくるような場所が理想的です。

私は塩作りに最適な土地を探して全国を回ったのですが、なかなか見つけることができませんでした。友人に相談すると油谷湾を薦められたのですぐに出かけてみたところ、まさに理想の場所だったのです!

*工業用として作られる塩:日本国内で消費される塩は年間約800万トン。そのうち95万トン(12%)が食用で、残りの多くが工業用として使用されている。


――塩のおいしさを味わう方法を教えてください。

食べてみて喉が渇かないのがいい塩です。おむすびやゆで卵、魚の塩焼きなど、シンプルな料理になればなるほど塩のおいしさがよく分かります。おすすめの食べ方は、トンカツやハンバーグなどソースで食べる料理を塩で食べることですね。

岩塩や湖塩など外国産の塩を使うこともありますが、海に囲まれて生きている私たち日本人の体には海から採れた塩が合うと思います。

一番大変なのは1日10時間の根気がいる本炊き作業

1週間に1度の本炊きをする井上さん。出来上がる塩は60~70kgにもなる

1週間に1度の本炊きをする井上さん。出来上がる塩は60~70kgにもなる

――塩作りの工程について教えてください。

私は太陽と風の力を利用した立体式塩田で塩作りをしています。塩作りにはいくつかの工程があり、完成するまで1カ月ほどかかります。

まず、ポンプで海水をくみ上げて、立体式塩田で海水の水分を蒸発させ、塩分の濃度を濃くしていきます。季節にもよりますが、約2週間でおよそ3.5%だった海水の塩分濃度が10~15%にまでなります。

塩分濃度が濃くなった海水(灌水・かんすい)を釜で4~5日間丹念に煮詰めて(予備炊き)、塩分濃度を20%にします。予備炊きの次に行う本炊きでは、10時間ほどかけてさらに灌水を煮詰めていきます。塩分濃度が27%を超えると現れてくる塩の結晶はとても美しく神秘的な形をしており、この瞬間は毎回感動しますね。

出来上がった塩は上下をしっかりと混ぜてならします(天地返し)。塩が結晶化する時の塩分濃度によってミネラルの成分が異なるので、均一化するためです。

杉の樽に塩を入れて3日間寝かせると、塩と上澄みの液体(にがり)に分離します。この塩とにがりを杉の箱に移し、苦味とえぐみを取るため、にがりの水分をきります。塩は3日程度で乾燥するので、乾いたところから取り出すと完成です。

塩作りの工程のうち、一番大変な作業は本炊きです。1週間に1度行うのですが、およそ10時間温度を一定に保たなければなりません。塩の結晶を作る大事な作業なので特に気合いが入ります。そして、本炊きの後の天地返しもとても重要です。塩の上下(天地)をひっくり返してよく混ぜて、自然の海水と同じ味にします。

私たちが食べているのは実は塩ではないかも?

出来上がった塩の結晶の粒はとてもきれい

出来上がった塩の結晶の粒はとてもきれい

――業界ならではの裏話や豆知識はありますか?

皆さん誤解されているかもしれませんが、一般的に流通している食塩は「塩」ではありません。本来、塩とは海の成分で、塩化ナトリウム(NaCl)が80%程度、残りのおよそ20%に92種類ものミネラルが含まれているといわれています。

食塩は99%以上が塩化ナトリウムで構成されていて、自然が育んだ栄養素であるミネラルを取り除いてしまっているので、正確には塩とはいえません。

実は法律の関係で、日本では1971年から1997年までは食塩しか食べられなかったんですよ。1971年以降、工場で塩が作られることが一般的になり、工業化によって海の汚染も進んでしまいました。そのため、ミネラルが豊富な本来の塩を作れる場所はあまり残っていません。


――塩作りを一から始める場合、どのくらいの費用がかかりますか? また、塩作りでのハプニングエピソードがあれば教えてください。

塩作りをするのなら、最低でも釜と塩田は用意しなければなりません。大きさによりますが釜は50~100万円ほどで、塩田も規模によって100~500万円くらいになります。

困った出来事としては、釜に穴が空いて海水が漏れ、火が消えてしまったことですね。その時はパニックになりました(笑)。


雄大な自然に囲まれて丹精込めて塩を作っている井上さんから、本当においしい塩についての話を聞くことができました。そしてまた、塩作りは苦労もありますが、感動の瞬間に立ち会えるとてもやりがいのある仕事であることも分かりました。

こだわりが強い、海が好き、自然が好きな人は、ぜひ一度塩作りという仕事に目を向けてみてはいかがでしょうか。


【proile】百姓庵 代表取締役 井上雄然(いのうえ ゆうぜん)

百姓庵 http://hyakusho-an.com/

取材協力:百姓庵

この記事のテーマ
食・栄養・調理・製菓」を解説

料理や菓子などの調理技術や、栄養や衛生などに関する基礎知識を身につけます。職種に応じた実技を段階的に学ぶほか、栄養士などの職種を希望する場合は、資格取得のための学習も必須です。飲食サービスに関わる仕事を目指す場合は、メニュー開発や盛りつけ、店のコーディネートに関するアイデアやセンス、酒や食材に関する幅広い知識も求められます。

「食・栄養・調理・製菓」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「塩作り職人」
はこんな仕事です

料理に欠かせない塩を作る仕事。日本で作られる塩は、16世紀の入浜式塩田から1950年ころに流下式塩田へと変わったことで労働力が10分の1近くになり、1970年代にはイオン式交換膜法という機械化で精製塩が作られるようになった。しかし、現在も海水を用いて太陽熱と風、火を使った製法による自然塩の人気は高い。自然が相手の仕事なので、一定の品質の塩を作るには経験や技術が必要。さらには重労働で、高温での作業もあるため体力が必要。技術を得るには、塩職人のもとで修業するのが一般的だ。

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