3Dプリンターで作った人工心臓が、患者を救う時代が来る!?
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血液を体内に送る重要な役割を持つ心臓。人間にとって大切なものだということは、誰もが理解していることでしょう。日々医学が進歩している現代では、調子が悪くなった心臓を人工心臓と置き換える手術が進んでいます。その際に使われている人工心臓は金属やプラスチックを組み合わせたものですが、近い将来、3Dプリンターで人工心臓を作ることが可能になるかもしれません。一体どういうことなのでしょうか?
この記事をまとめると
- 機能を失った心臓を代替するのが、人工心臓の役割
- 3Dプリンターによる人工心臓の動作が実験で実証された
- 医療技術学は医療現場を支える学問である
機能を失った心臓を代替するのが、人工心臓の役割
心臓は血液を体内に送り出すポンプの役割を果たしています。1分間に約5リットルもの血液を体中に送り出し、私たちが寝ている間も生命を維持するために絶えず働き続けているのです。
ところがそんなパワフルな心臓が、病気を原因として血液を送り出す機能を失ってしまうことがあります。そんな症状を持つ人の健康を取り戻すために生まれたのが、心臓移植や人工臓器です。
心臓移植は、亡くなった人から心臓の提供を受けて、臓器を取り換える手術です。しかしドナーが見つかりづらいこともあり、日本での症例数が少ないという問題点があります。現在よりも安全で安価な人工心臓が開発されれば、心臓移植を待たずして心臓の病気を治せる症例が増える可能性があります。
実験で実証された3Dプリンターの人工心臓
これまでの人工心臓は、金属とプラスチックを組み合わせて作られており、不自然な動きとなり血液を損傷するという問題点がありました。そこで、より本物に近い動きをする人工心臓の研究が進められてきました。
そうして開発されたのが、3Dプリント技術を用いた人工心臓です。3Dプリントとは、平面に印刷する従来のプリントとは異なり、立体的な造形をプリントできるもの。2017年にはスイスで、3Dプリンターによって本物の心臓と全く同じ形をした人工心臓を作り、本物と同じようにポンプ動作を実現したというニュースが発表されました。
ただ、この実験の目的は、心臓の複雑な構造を3Dプリンターで再現できるかどうかを確かめるもので、実験に使った材料は柔軟性のあるシリコン素材でした。そのため、3Dプリンターで作った人工心臓は30分しかもちませんでした。しかし医療技術が発展し、もっと丈夫な材質で人工心臓を作ることができれば、実用的なものができる可能性があると考えられています。
医療技術学によりさらに多くの人が救われる
医療技術はこの50年間でとても大きく進歩しています。昔は麻酔なしで手術が行われていましたが、現在では多くの手術に麻酔が使われ、痛みを最小限に抑えた治療を行えるようになりました。麻酔がなければ、胸をひらいて人工心臓を移植することも難しいでしょう。
こうした医療現場を専門スキルで支えるのが、医療技術学です。「病気で苦しんでいる人を助けたい」と思っている人は、ぜひ学んでみてはいかがでしょうか?
この学問を学べば、医療に関わる必要な考え方を身に付けることができると同時に、医師や看護師と連携して、より多くの人の命を救うことができるはずです。
【参考】
秀和システム|図解入門よ〜くわかる最新からだのしくみとふしぎ
サイエンス図鑑(川出書房新社)|現代の外科手術
国立循環器病研究センター循環器病情報サービス|ここまできた人工心臓
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/heart/pamph42.html#anchor-4
エキサイトニュース|本物の心臓にかなり近づいた、3Dプリンターで作られたシリコン製の人工心臓
https://www.excite.co.jp/News/it_g/20170724/Gizmodo_201707_3d_209.html
この記事のテーマ
「医学・歯学・薬学・看護・リハビリ」を解説
病気やケガなどによる身体機能や生理機能の変化を治療し、健康な生活が送れるようにするのが、医療の役割です。今日のように高齢化が進んだ社会では、健康で長生きできるようなサポートも重要です。これらの役割を担うのが、医師、薬剤師、看護師、理学療法士などの専門家です。医師であれば解剖学や病理学、薬剤師であれば薬学など、それぞれが専門的な知識と技術を身につけ、連携することで医療の質を向上させる方法も学びます。
この記事で取り上げた
「医療技術学」
はこんな学問です
検査やリハビリテーションについて専門的な知識と技術を学ぶ学問。具体的には検査分野では、心電図、組織、血液、尿などの検査技術を身に付けた「臨床検査技師」「細胞検査技師」や、レントゲン検査、CTスキャン、放射線治療に携わる「診療放射線技師」をめざす学びが含まれる。リハビリ分野では、身体機能の回復を支援する「理学療法士」、心身の回復を支援する「作業療法士」のほか「言語聴覚士」など。学校によって看護学を含む場合もある。
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