心のケアはビッグバードにおまかせ。人気キャラクターを幼児教育に活用

アメリカのテレビ番組「セサミストリート」といえば、世界中の子どもたちに愛される大人気長寿番組。人種問題やいじめなど、子どもたちを取り巻く深刻な社会問題を取り上げることでも高く評価されてきました。そんなセサミストリートが、現代の子どもたちが抱える問題を解決するため、新たなチャレンジをしました。一体どのようなチャレンジなのでしょうか?
この記事をまとめると
- 「セサミストリート」は社会問題を盛り込んだアメリカの教育番組
- ビッグバードやエルモが子どものトラウマケアに挑戦
- 子どもたちの心をケアするのが、保育・幼児教育
深刻な問題にも切り込み、社会貢献してきた「セサミストリート」
1969年にアメリカで放送開始されたセサミストリートは、もともと貧困家庭の子どもに適切な教育を与えること、子どもたちに貧困という壁を越えて育つ機会を与えることを目的とした、アメリカ政府の施策の一環として放映されていました。英語が話せないアメリカ在住の移民の子どもたちの教育に役立ったとも言われています。
セサミストリートは、とある街角「セサミストリート」を舞台に、ビッグバード・エルモ・クッキーモンスターなどマペットと呼ばれるオリジナルキャラクターたちと、ヒューマン・キャストと呼ばれる人間の俳優たちとが繰り広げる物語ですが、多民族国家アメリカを象徴するように、さまざまな境遇、属性のキャラクターが登場します。
語学から道徳、科学まで幅広い分野の知識を取り上げ、楽しいエピソードの中に、人種問題やいじめ・肥満・自閉症など子どもたちを取り巻く深刻な問題を積極的に取り上げることでも、高く評価されてきました。
ビッグバードやエルモが幼少期の有害体験(ACE)のケアに挑戦
2017年10月、セサミストリートは新たなチャレンジを始めました。今度はACE(Adverse Childhood Experience)と呼ばれる幼少期の有害体験のケアに取り組むことを発表したのです。ACEは、親の離婚や薬物乱用・家庭内暴力・人種差別による不当な扱い・自然災害など、子どもたちの心に深い傷を残す体験のことです。子どもが自力でトラウマやストレスに対処するのは難しいもの。そこでセサミストリートは、慈善団体ロバート・ウッド・ジョンソン財団(RWJF)と協力し、子どもの心的外傷(トラウマ)ケアプログラムに着手しました。子どもたちに親しまれているマペットのビッグバードやエルモたちが、ACEに直面したときの具体的な対処法や基礎知識を教えてくれます。
2017年のラスベガス銃乱射事件が起きた直後に公開されたエピソードでは、不安で悲しい出来事に落ち込むビッグバードが「自分にとって安心で落ち着く場所をイメージする」「深呼吸する」「自分にとって大切な人のことを考え、テディベア(ビッグバードが大切にしているもの)と一緒に過ごす」などさまざまな方法を実践しながら、心の落ち着きを取り戻す方法が紹介されました。
子どもたちの心をケアする保育・幼児教育
ACEを放置すると子どもの発達や健康に悪い影響を与え、大人になってもトラウマに苦しむ恐れがあります。しかし、早めに適切なケアを受ければ、そうしたリスクを軽減できます。人気キャラクターたちのアドバイスなら、子どもたちにも分かりやすく伝わりますし、自然に耳を傾けてくれそうです。
子どもたちの心のケアは保育・幼児教育で学べる分野です。こうしたことに興味があれば、子どもたちを笑顔にできる、そして子どもたちの未来を育むことのできる保育・幼児教育について、学んでみてはいかがでしょうか。
【参考サイト】
保育プラス|『セサミストリート』は教育プログラム!?アメリカの教育プログラム「ヘッドスタート計画」とは
https://www.hoikuplus.com/post/usefulnurtureinfo/1497
j-cast|ビッグバードは苦しいときどうするのか セサミストリート、子どものトラウマケアを番組で
https://www.j-cast.com/healthcare/2017/10/17311312.html?p=all
セサミストリート公式ページ|セサミストリートとは
http://sesame-street.jp/about/index.html
この記事のテーマ
「教育・保育」を解説
保育所や幼稚園、小中高等学校や大学などで、子どもたちを健康に成長させ、学習能力を向上させるための教育方法を学び、研究します。教育の歴史や基本概念などの理論のほかに、教育や保育に携わる専門職(教員や保育士など)になるためには、指導技術や保育の実践的な手法などを、実習を通して学びます。このほか、生涯教育や教育に関わる地域活動など、教育と社会の結びつきや意義についても学びます。
この記事で取り上げた
「保育・幼児教育」
はこんな学問です
児童・幼児の発達・発育を促す保育者、教育者としての知識と技能を専門的に学ぶ。主に保育士や幼稚園教諭、小学校教諭の資格取得をめざすことが目的。保育学や心理学、教育学、保健・体育学などの理論と、教育・保育実習を通して身に付けられる実践力のどちらも大切な学問である。教育系の学校のほか、健康・体育系の一部の学校でも学ぶことができる。実習は、学校附属の幼稚園、保育園などで行われるケースが多い。
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