芸術家が使う「アトリエ」って一体どんな場所?

世の中にはさまざまな職業がありますが、その中でも、憧れの気持ちがあるものの、あまり実情を知らない職業の一つが、芸術家ではないでしょうか。芸術家の中には、自分の仕事場「アトリエ」で制作活動を行う人がいます。そのアトリエとは、一体どんなところなのでしょうか。
そこで今回は、東京の北西に位置する奥多摩町で、日本画を描いている芸術家のAさんに、アトリエのこと、芸術家の仕事など、詳しい話を聞いてみました。
この記事をまとめると
- 芸術家が制作を行う場所「アトリエ」は、個性いろいろ
- 大自然から発想のきっかけをもらい、創作意欲が生まれることもある
- 芸術家の多くは、規則正しい生活している人が多いという
芸術家の人たちはどんな場所で制作してる?
――アトリエとはどんな場所なのでしょうか?
「美術家・芸術家が仕事を行うための作業場です。アトリエはフランス語で、英語ではスタジオと呼ばれています。日本の美術の歴史を振り返ると、アトリエという言葉は欧州の、特にパリに多くの画家が渡り、油画や彫刻の技術を学んだ際に、同時に日本に持ち帰ったのが始まりだといわれていますね。芸術家のアトリエは、その人の個性が出る空間で実に面白いですよ」
創作のきっかけを得る環境づくり
――なぜアトリエをこの場所に選んだのですが?
「制作に集中できる場所をずっと探していました。奥多摩は都心まで電車に乗って約1時間半。できれば他の作家の展覧会が開かれる都心にも行きやすい場所でアトリエを探していました。そんなときに出会ったのがこの場所でした。奥多摩はアトリエや工房向けの広い敷地を求めやすく、人里離れた環境は制作に没頭できますね。私は活動場所をアトリエと言っていますが、私の友人の陶芸家・工芸作家たちはアトリエではなく工房とあえて名乗っている人が多いように思います」
――創作のインスピレーションはどのように生まれますか?
「私の肩書きは、画家です。専門は日本画です。現在、奥多摩をはじめ、秩父連山など中心とした山々を描いています。創作のインスピレーション(創作のきっかけ)は人それぞれだと思いますが、私の場合、作品のアイデアは自然から感じ取ることが多いです。静かな川の音や鳥の鳴き声などに耳を澄ませると、『これを描きたい! 描いてみたい!』という強い気持ちが生まれます」
芸術家は普段どんな生活をしてる?
――普段はどんな生活をしているのですか?
「芸術家のイメージは、寝食を忘れて創作活動に没頭する姿を連想しがちですが、規則正しい生活を送っている人が多いように思います。私もその一人ですが、早朝に起き、毎日決まった朝食を食べコーヒーを飲み、キャンパスに向かい、午後に少し散歩をするという生活を過ごしています。毎日の規則正しい生活は健康にもいいですし、散歩をしているとアイデアが降りてくることもあります」
芸術家にとって、作品が売れることはもちろんうれしいことですが、自分のアトリエで作品を制作している瞬間が一番の幸せを感じるときだといいます。
将来、画家になりたい、絵を描く仕事をしたいと考えている人は、美術系の大学や専門学校で美術について学ぶことで、基礎的な技法や知識を身につけることができます。また、美術系大学の受験にもデッサンや美術の知識は必須となりますので、自習だけでなく美術予備校で学ぶのも有意義です。
芸術家はセンスが非常に問われ、独創性が求められる職業でありますが、その独創性を支える基礎となる学習を、ぜひこれから実践できるといいですね。
この記事のテーマ
「芸術・表現・音楽」を解説
最近では、国内外を問わず活躍し、高い評価を受けているクリエイターが多くいます。絵画や造形、声楽や楽器演奏、演劇や芝居、マンガやアニメーションなど、さまざまな芸術分野で多くの人を感動・共感させる感性や技術を磨きます。また、それを裏打ちする理論や歴史を学び、指導者や研究者としてのスキルも高めます。
この記事で取り上げた
「美術」
はこんな学問です
芸術の創作者または評論者としての知識と技能を学ぶ。領域としては、平面、立体といった区分けに加えて、現在ではデジタルメディアも含まれる。平面では油彩画、水彩画、日本画、立体では彫刻、彫塑が主なジャンルとして挙げられるが、伝統的な手法によらず、素材を混合した作品や、観客参加型のパフォーマンスを作品とする場合もあり、表現は広範囲に及ぶ。学校では技能だけでなく、画材の専門知識、美術史も学び、理論と実践の両面で専門性を高める。
-
PICK UP! 「美術」について学べる学校
-
芸術・表現・音楽について学べる学校

