障がいを持つ妹を題材に映画化。その理由とは
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知的障がいと自閉症を持つ実の妹をテーマにしたドキュメンタリー映画『ちづる』。監督の赤﨑正和さんが、在学中に卒業制作として撮った作品です。
この記事をまとめると
- 最初はドキュメンタリーを撮ることしか決まっていなかった
- 映画を通じて障がいの実情を伝えたい
- 監督は映画をきっかけに福祉業界に就職
最初はドキュメンタリーを撮りたかっただけ
自閉症は、言葉や認知の面などさまざまな領域において発達に遅れがみられる障がいです。人によって症状は異なりますが、他者とうまくコミュニケーションがとれない、視線を合わせにくい、周りの雰囲気を察した行動ができない、同じ行動や動作を繰り返す、特定の物や場所に強いこだわりがある、といった面を持つことが多いようです。
自閉症と重度の知的障害をもった赤﨑さんの妹である千鶴さんと家族の様子を1年に渡って撮り続けたドキュメンタリーがこの映画なのです。赤崎さんに映画を制作した理由を伺いました。
―卒業制作に映画を撮った理由を教えてください。
最初は大学の卒業制作にドキュメンタリーの映画を撮りたいと思っていただけだったんです。まさか妹や家族を撮るなんて思ってもみませんでした。
障がいに対する本当のイメージを伝えたい
―妹さんを題材にドキュメンタリーを撮ろうと思ったきっかけはなんですか?
テーマを考えたときに、障がいに対して一般的に持たれているネガティブなイメージと実際は違う、ということを伝えたいなと思うようになりました。そこで、卒業制作は「障がいをテーマにしたドキュメンタリー映画を作りたい」と指導教授である池谷薫教授に伝えたんです。そうしたら、「それなら妹を撮ってみたらどうだ」と勧められたんです。
実は、小さいころから自閉症と知的障がいのある妹のことを友達にうまく話せなくて隠していました。だから障がいをテーマにしたいと思いながらも、妹のことは避けたいなと思っていたんです。だけど、映画を制作することで周囲にもカミングアウトして自分を変えたいと思って、作ることを決意しました。
映画がきっかけで福祉施設に就職を決意
「将来は映像の道に進みたい」と思い、大学に進学していた赤崎さん。しかしながら、この作品を制作したことがきっかけで都内の知的障がい者の福祉施設に就職を決めたといいます。
「障がい者と健常者とが別々に生活することに違和感がありました。そのせいか、この仕事に就いたことで、何ともいえない安心感があります」とも。最近では自閉症は100人に1人ほどいるといわれています。福祉に興味のある方は、映画を観ることで福祉への理解がもっと深まるかもしれませんよ。
赤崎 正和(あかざき・まさかず)
社会福祉法人武蔵野会・東堀切くすのき園勤務。卒業制作作品として発表した、自閉症と知的しょうがいを持つ妹と家族の生活を追ったドキュメンタリー映画『ちづる』が話題になる。
公式ホームページ:http://chizuru-movie.com/
この記事のテーマ
「社会学・マスコミ・観光」を解説
この3分野、実は密接な関係があります。観光業界にとってマスコミは広報活動そのもの。そしてマスコミは、社会の動きを探り伝えるために社会学を重視しています。社会が求めるニーズをマスコミが精査し、それを地域活性化のために活用する。社会学・マスコミ・観光の関わりは今後ますます大きくなるでしょう。
この記事で取り上げた
「マスコミ学」
はこんな学問です
主要5媒体ともいわれるテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットをはじめとして、あらゆるメディアを使って伝えられる情報コンテンツをつくるために身に付けておくべき知識とスキルを学ぶ。メディアの現場で活躍するスペシャリストが講師となることが多い。授業の内容も実際の撮影施設や編集機材などを使って行われる。業界に入った際にも、すぐに現場で役に立つように、実践重視の授業内容になっている。
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