本の匂いが関係アリ? 本屋でトイレに行きたくなるのは理由があった!?

漫画や雑誌、参考書を買うときにお世話になる場所といえば本屋です。皆さんは本屋で本を選んでいるとき、トイレに行きたくなったことはありませんか? この現象の原因にはさまざまな説があり、中でも有力なのは本のインクの香りが関係しているというもの。一体、どういうことなのでしょうか?
この記事をまとめると
- 本屋でついトイレに行きたくなる現象は「青木まりこ現象」と呼ばれている
- 家のトイレに居ながら本屋の香りで便意を催そうとする「本屋の香りスプレー」がある
- 香りはもともとあるものではなく、炭素原子と水素原子が合わさり生まれる有機化合物
誰もが一度は経験している!? 「青木まりこ現象」
本屋に行くとなぜかトイレに行きたくなる現象は、「青木まりこ現象」といわれています。「どうして人名が付いているの?」と不思議に思うかもしれません。
この名前が付いたきっかけは、1985年に発行された『本の雑誌』に掲載された読者・青木まりこさんの投稿でした。それは「本屋にいるとなぜか便意を催します。どうしてでしょうか?」というもの。この投稿に対して多くの読者から共感の声が寄せられ、誰もが一度は経験したことがあるといわれる「本屋でついトイレに行きたくなる」ことが知られるようになりました。そして他のメディアもこぞってこの話題を取り上げ、たちまち日本全国に広まっていったのです。「青木まりこ現象」は投稿者の名前が由来だったのですね。
この現象の原因は「本のインクの匂いによって便意が催される」という説が有名です。これは、新品の本ならではのインクの匂いが胃腸に働きかけ、便意が催されるのではという推測が基になっています。他にも「大量の本に囲まれるプレッシャーからトイレに行きたくなる」や「リラックスしてトイレに行きたくなる」など、いくつかの説がありますが、どれも絶対的な確証はありません。しかし原因は謎のままであるからこそ、多くの人々が青木まりこ現象に興味を引かれるのでしょう。
本屋の匂いを家でも体感できるって本当?
青木まりこ現象の原因といわれている「本のインクの匂い」に着目したユニークな商品があります。その名も「本屋の香りスプレー」。このスプレーは「本屋の香りを再現することで、便秘気味の人に便意を催していただきたい」という思いから誕生したのだそう。
トイレの中でシュッとするだけで、紙やインクの匂いが混ざった香りが広がるこのスプレーは、香りの専門家である工学博士の監修の基で作られました。実際に数えきれないほどの本屋・図書館で集めた数百種類の香りのサンプルを研究し、開発されました。
スプレーの香りには、ほんのりとした甘みの中に若干インクっぽい油や用紙の香りが混ざっており、まさに本屋の香りそのものなんだとか。本屋の雰囲気が好きな人にとってはたまらないことでしょう。トイレが癒しの空間になるだけでなく、さらに便秘で悩んでいる人はスッキリと解消できるかもしれませんね。
香りの正体は匂い分子?
本のインクの香りのように、私たちの暮らしにはいろいろな香りがあります。家の中を見渡すだけでも実にさまざまな香りに囲まれていることに気が付きます。ハンドクリームやシャンプー、入浴剤を選ぶとき、お気に入りの香りをポイントにしている人も多いのではないでしょうか。リラックスできたりリフレッシュしたりと、気分によって香りを選んでいる人もいるかもしれません。
こうした香りは、もともとあったものではありません。香りの正体は匂い分子(化合物)です。炭素原子と水素原子によって有機化合物が作られることで、香りは誕生します。
化学や応用科学には、この香りの調合や仕組みについて研究する「香料化学」という研究分野があります。研究対象は幅広く、食品の香り「フレーバー」や化粧品や入浴剤の香り「フレグランス」など多岐にわたるので、やりがいも十分。匂い分子について研究する他、香りを調合して新たな香りを作りだすこともできます。
香りは私たちの日常を彩ってくれるもの。香りに興味を持った人は化学や応用化学を学んでみませんか? あなたが作った香りで癒される人がいるかもしれませんよ。
【参考文献】
価格.comマガジン
https://kakakumag.com/houseware/?id=10277
NIKKEI STYLE
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO90744470Q5A820C1000000?channel=DF260120166530
日本香料工業会
http://www.jffma-jp.org/about/science.html
この記事のテーマ
「数学・物理・化学」を解説
私たちの生活基盤である自然界で生じるさまざまな事象や物質、それらが織りなす理論が研究対象です。宇宙や生物がどのようにして誕生し、どのような構造になっているのかという、究極的な知的探究心は人類ならでは。森羅万象の構造や性質、法則と変化を探求する物理や化学、その習得に必要な数学というように、これらの学問は互いに深く関連しています。未知の領域への研究を進めながら、さまざまな原理解明をしていく分野です。
この記事で取り上げた
「化学」
はこんな学問です
身のまわりにある物質の原子・分子構造を解明して理解し、新しい物質をつくることにもつながる学問。無機化合物の構造を解明する「無機化学」、エネルギーなどの熱力学量の観点から物質を解明する「物理化学」、新たな化合物をつくる「応用化学」など、研究範囲は広い。クリーンエネルギーや医療への活用など、人の未来にとって大切な役割を担う学問といえる。化学製品や食品、薬などの製造業へ進む人が多いが、研究職を選ぶ人もいる。
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