アジアなのにヨーロッパの街並みや食事が楽しめる場所があるって知ってる?

ヨーロッパの街並みを見てみたい、歩いてみたいと憧れを抱く人は多いでしょう。旅行するには少し遠く費用もかかるヨーロッパですが、実はアジア各地でヨーロッパの街並みを見ることができるのです。一体どういうことなのでしょうか。
この記事をまとめると
- アジア各国にはヨーロッパの街並みが残っている場所がある
- かつてヨーロッパ諸国の植民地だったことから、建物だけでなく食文化や宗教にもヨーロッパ支配の名残がある
- 「歴史学」を学ぶとその国の背景が見えてくるので、より深く理解できる
ヨーロッパの街並みが残るアジア
写真や映像で見るヨーロッパの街並みはとてもロマンチックで素敵です。しかしヨーロッパはとても遠く、日本から行くとなると旅費も高額です。時間と費用を考えるとハードルが高いヨーロッパ旅行ですが、アジアの国々でヨーロッパの風情を楽しめるとしたらどうでしょうか。実際ヨーロッパの古い街並みを楽しめる場所は、いくつもあるのです。
フィリピンのビガンは通りが石畳で、まさにヨーロッパの雰囲気そのもの。立ち並ぶ建物は、1階が石作り、2階が木造になっており、バハイ・ナ・バトと呼ばれています。スペイン風の街並みを感じられることから、多くのフィリピン人が「行ってみたい」と憧れる町なのです。ビガンの中でもスペイン風の街並みが残っているエリアは車の侵入が禁止され、カレッサと呼ばれる馬車で移動します。フィリピンにいながら昔のスペインにタイムスリップしたかのような気分を味わうことができます。
マレーシアのリゾート地として有名なペナンは、イギリスの街並みが感じられることでも知られており、中心都市「ジョージタウン」では、イギリス統治時代のコロニアル様式の建物を多く見ることができます。また、ペナンは建物の1階部分が奥に引っ込み、2階の一部が屋根になっている長屋風の家が続くのが特徴的。1階の屋根の下は、ファイブ・フット・ウェイと呼ばれる歩行者専用通路となっているのですが、これもイギリス統治時代に決められた建築基準のなごりだそうです。
同じマレーシアでも、南部のマラッカははオランダ風の建物を見ることができます。マラッカ観光の中心であるオランダ広場では、オランダ産のレンガを使用したキリスト教の教会が目を引きます。これはオランダ統治時代に建てられたもので、オランダ広場を囲むように、同じ色のレンガの建物が並んでいます。
ビガン、ペナン、マラッカは全てユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録されています。
世界遺産に登録されているヨーロッパ風の街が、こんなにたくさんアジアにあるのです。
ヨーロッパの支配下に置かれた歴史を持つアジア
アジア各地でヨーロッパの街並みが残っているという背景には、ヨーロッパ諸国がアジアを植民地化していたという歴史があります。
フィリピンは16世紀から約300年間スペインに支配されてきました。そのため当時、ベナンに入植したスペイン人が作った街並みが今も残っているのです。
マレーシアもヨーロッパ各国の植民地だった歴史があります。16世紀初頭、マラッカはポルトガルの植民地となりましたが、16世紀半ばにはオランダの支配下に置かれます。それから約200年後の19世紀半ば、マラッカ海峡を挟んで東側のマレーシアがイギリス領、西側のインドネシアがオランダ領になりますが、19世紀末にはマレー半島全域がイギリスの植民地になりました。
このように東南アジア各国がヨーロッパなどの国々に代わる代わる支配されてきた名残が、今も建築物として残っているのです。
食事や風習にも植民地時代の名残がある
スペインに長期間支配されていたフィリピンでは、街並みの他にも植民地時代の名残を見ることができます。代表的なものが宗教です。
フィリピンは国民の多くがキリスト教徒です。東南アジアで国民の大半がキリスト教徒という国はフィリピンだけ。これはスペインの植民地だった当時、さかんにカトリックの布教が行われていたことを意味します。
また、フィリピンでは本格的なスペイン料理が広く普及しています。例えば子豚の丸焼きはスペイン由来の料理ですが、フィリピンでは特別な日に食べる料理として今も生活の中に残っています。
建物や食事、風習など、各国の文化にはその国の歴史が反映されています。歴史を詳しく知ることで、訪れた国をより深く理解することができるのです。「歴史学」を学ぶと、今まで知らなった各国の側面が見えてきます。将来海外旅行をたくさんしたい、世界の国々に興味があるという方は「歴史学」にも注目してみてはいかがでしょうか。
【参考】
外務省 マレーシア基礎データ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/malaysia/data.html
地球の歩き方
http://tabisuke.arukikata.co.jp/os/r/103/r/10608/r/0PH/8/OverseaHeritage/540/p/1/
THE RYUGAKU
https://theryugaku.jp/435/
阪急交通社
http://www.hankyu-travel.com/guide/malaysia/malacca.php
トラベルJP旅行ガイド
https://www.travel.co.jp/guide/article/9145/
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は人々の暮らしや感情の変化などについて、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解きながら比較して、人のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、地形や気候、歴史的事実や遺物・遺跡などの手がかりをもとに、私たちの生活や文化・経済活動などについて、その成り立ちから考えていきます。
この記事で取り上げた
「歴史学」
はこんな学問です
歴史学とは、対象とする大陸・国・地域などにおいて、過去に起こった物事を取り上げ、当時それがどのような意味を持っていたのかを、残された物や建造物、文書などから研究する学問である。ただ、資料を正確に読み取るだけではなく、事実かどうかを疑い、踏み込んで検証する批判的視点も重要である。歴史学の基本的なラインナップには、日本史、東洋史、西洋史、考古学がある。また、政治制度・経済活動・芸術文化・信仰宗教などに特化した考察も行う。
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