西の横浜、関西の定番観光スポット「異人館」ってどんなとこ?

外国人の居留地になっていた神戸異人館がどんな人たちにどのような経緯で使われていたかについて調べてみました。また、異人館の楽しみ方も織り交ぜて紹介します。
この記事をまとめると
- 日米修好通商条約と異人館の関係について調べてみた
- 神戸異人館は歴史的に重要な建造物の集まりらしい
- 異人館のおすすめポイントは
神戸の観光名所「異人館」はどんな経緯でできた?
異人館の歴史の始まりは、明治時代にまでさかのぼります。江戸時代の鎖国政策に終わりを告げて、神戸港が開港したのは1868年。1858年に日米修好通商条約が締結され、神戸港の開港が決められてからちょうど10年後のことでした。
開港後、神戸港は国際貿易の拠点として急速に発展していきました。海外との通商・交流によって国際都市となった神戸には、来日外国人の数も急増。その結果、居留地が足りなくなってしまいます。
しかしながら、日米修好通商条約をはじめとした諸外国との条約は、治外法権を含む不平等なものでした。外国人居留地を増やすことは、すなわち治外法権区域が拡大することを意味し、それに不満を持つ日本人との衝突も懸念されました。それを避けたかった明治政府が、日本人との雑居を認めるエリアを限定し、山手の高台に外国人住宅が集まったことが異人館の始まりです。
そんな異人館の楽しみ方にはどのようなものがあるのでしょうか? 神戸在住で異人館に詳しい方に聞いた異人館の楽しみ方をご紹介します。
明治・大正時代に建てられた歴史的に価値が高い建造物ばかり
神戸異人館には、公開されているだけで18ほどの異人館があります。もともと、在留外国人の個人邸宅であったものをはじめ、総領事館として用いられていた建物が多いことも特徴です。建物自体は明治・大正時代に建てられた歴史的価値が高いものが多く、中には重要文化財に指定されているものも。異人館のある北野町の山本通は重要伝統的建造物群保存地区にもなっており、建築に興味がある人にはたまりません。
もちろん、ただ建物を見学するだけでなく、周辺の雰囲気もとてもオシャレ。カフェや雑貨屋さんなどもあり、歩いているだけでも楽しいエリアです。
異国情緒を楽しめる異人館の魅力
数ある異人館の中でも、ぜひ訪れたいのが、神戸異人館のシンボルとも言える「風見鶏の館」。ドイツの貿易商ゴッドフリート・トーマスの個人邸宅で、現存のものでは唯一、外壁が煉瓦造りの建物です。1914年にはトーマス一家がドイツに一時帰国している間に第一次世界大戦が勃発してしまい、神戸に帰還できなくなったというエピソードがあります。ドイツ風の重厚な内装を見られることはもちろん、時間があれば探検ツアーに参加して地下室や屋根裏部屋まで堪能しましょう。日本にいながらにして、歴史と異国情緒を楽しむことができます。
神戸異人館の経緯を見ると、歴史の授業で習うような事柄と直結していることが分かります。異人館の建物そのものも建造物としての価値が高いものでもあり、建築に興味がある人にもおすすめです。また、史学科や建築学科、観光学科など、大学で学べることと関連付けてみると、より深く楽しむことができるでしょう。歴史的な建造物がきちんと保存され、一般に公開されていることの意義について考えてみるのも趣深くなりますよ。
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は人々の暮らしや感情の変化などについて、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解きながら比較して、人のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、地形や気候、歴史的事実や遺物・遺跡などの手がかりをもとに、私たちの生活や文化・経済活動などについて、その成り立ちから考えていきます。
この記事で取り上げた
「歴史学」
はこんな学問です
歴史学とは、対象とする大陸・国・地域などにおいて、過去に起こった物事を取り上げ、当時それがどのような意味を持っていたのかを、残された物や建造物、文書などから研究する学問である。ただ、資料を正確に読み取るだけではなく、事実かどうかを疑い、踏み込んで検証する批判的視点も重要である。歴史学の基本的なラインナップには、日本史、東洋史、西洋史、考古学がある。また、政治制度・経済活動・芸術文化・信仰宗教などに特化した考察も行う。
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