パンダはなぜ白黒模様なの?

上野動物園で赤ちゃんパンダ香香(シャンシャン)が生まれ、再び注目が集まっているパンダ。白と黒に分かれた特有の模様には多くの人の目を引きつける愛らしさがありますね。それにしても、なぜパンダの体は白黒模様なのでしょうか? 2017年にアメリカ・カリフォルニア大学の博士たちが研究した論文から、その理由といわれているものを紹介します。
この記事をまとめると
- パンダの白黒模様は中国の山岳地帯の生息環境でのカモフラージュ効果のため
- 体の冷えやすい部分を熱吸収のいい黒にすることで、寒い生息地に適応している
- さまざまな環境に適応するための進化を遂げてきた生物を研究することで今後の地球環境に役立てられるのが「生物学」である
山野にまぎれやすい! カモフラージュのため
中国の限られた山岳地域にのみ生息する「ジャイアント・パンダ」。クマ科(Ursidae)に属し、中国語では「熊猫」と書きます。
パンダが白黒模様である理由として最も有力なのが、カモフラージュのためという説です。
アメリカの大学の研究チームではクマ科、イヌ科、ネコ科などの200種近い哺乳類の動物の体毛の色や模様を、目の周りや手、足、耳、背中など体の各部位に分けてデータを収集、分析しました。
分析の結果、哺乳類の体毛の色は白系が雪の降る環境にまぎれ、見つかりづらくするためのカモフラージュの色、黒などダーク系の色は森林などの影、暗い部分に隠れやすくする色となっているということが分かりました。
中国の雪深い山岳地帯の森林に生息するパンダは、この両方を合わせ持って環境に適応してきたというわけです。動物の色や模様は同一種の動物同士が同じ仲間かを見分けるという役割も果たすそうですが、パンダの模様なら仲間かどうかも、とても分かりやすいですね。
寒さ対策! 冷えやすいところは黒い
もうひとつの理由として、寒さから身を守るための対策で冷えやすいところが黒くなっている、という説があります。
パンダの体の黒い部分は耳と目の周り、前足から肩にかけて、そして後ろ足です。これらは人間でも冷えやすい部分だといえます。寒い山岳地帯に生息するパンダは、体の冷えやすいところが熱吸収のいい黒になっていることで、体を守ってきたと考えられています。愛らしい白黒模様は、寒く雪深い環境の中で生き抜くための適応から生まれたものなのかもしれません。
パンダについては他のクマ科の動物が肉食なのに竹を主食にしている、指が6本あるなど独特の特徴があり、なぜそのような体のつくりになったのか、研究が続けられています。
動物の進化や生態を知り、人類の未来を考える
約46億年前に誕生した地球には40億年ほど前に生命が誕生し、それぞれの生物が環境に適応するためにさまざまな進化を遂げてきました。生物の進化とその理由を深く研究していくことは、動物、植物の多様性を保ち、遺伝子に対する考えを確立していくことに役立ちます。
特に人間に近い哺乳類などの研究をすることで、人が今後より良く生きるための食物や医薬品を生み出すことができるようになります。現在、遺伝子組み換えの研究に関するニュースなどをよく耳にしますが、こうした人工的な処理が生物や地球に与える影響を研究するのも「生物学」です。
生き物に興味がある人は、ぜひ生物学を学んでみてはいかがでしょうか。
【参考】
THE PAGE
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170313-00000009-wordleaf-sctch
上野動物園
http://www.ueno-panda.jp/dictionary/answer03.html
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちはほかの生物から栄養をもらって生活をしています。しかも、採集や狩猟だけではなく、食物を生産するという手段を得て、今日のように繁栄しました。人口増加や環境悪化などに対応し、将来的に安定した食料の確保を維持するためには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が必要です。さらに突き詰めて考えれば、動植物や微生物などの多様な生物に対する研究も重要です。自然との共生が大きなテーマになる学問です。
この記事で取り上げた
「生物学」
はこんな学問です
マクロな地球の生態系からミクロな細胞の世界まで、さまざまなレベルで起きている生命現象を実験・観察することによって研究する学問である。人間を含めた動物・植物・微生物など、あらゆる生命体が研究対象となる。主な研究分野としては、タンパク質を中心にした生体内の高分子の機能をその構造から研究する「構造生物学」、生態系の構成要素である生物と環境の関わりを研究する「環境生態学」などがある。
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