【シゴトを知ろう】手描き職人 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】手描き職人 ~番外編~

2018.01.31

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】手描き職人 ~番外編~

着物や帯の図柄は、型を使って染めたり機械でプリントしたりする他に、筆を使って生地に直接繊細な図柄を描いて染める方法があり、この技術を持った人のことを手描き職人といいます。
着物を中心に加賀友禅の創作を行っている平野利明さんは、祖父の時代からの伝統的な地染め(*1)の技法を継承しつつ、手描き染めや衣類以外の分野の染色にも積極的に取り組んでいらっしゃいます。日々の創作の様子などについて詳しくお話を伺いました。

*1 地染め:生地の地色をはけで染め上げる工程のこと。

この記事をまとめると

  • 次なる創作の斬新なアイデアを思いつくのは、夜一人になった時が多い
  • 友禅の制作工程は複雑だが、それぞれの工程で気持ちの向き合い方が改まる
  • 着物人口は減少。でも、別分野への応用や観光体験で友禅の魅力を伝える

江戸時代の贅沢を禁止する法律によって加賀友禅が生まれた!?

――「加賀友禅」(金沢)、「京友禅」(京都)など友禅にはいろいろな種類がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?

友禅とは染め方、描き方の技法のことで、友禅と名が付くものは全て手描きで図柄を描くことが基本です。江戸時代に複数回発令された奢侈禁止法(*2)によって、絞りや刺しゅうなど手間とお金がかかる贅沢な技法が禁じられたことで、生地に手描きで絵を描くようになったのが友禅の始まりといわれています。

加賀友禅と京友禅では、まず加飾の方法が違います。加賀友禅は主に染めだけで作られますが、京友禅では、生地に刺しゅうをしたり金箔や銀箔を施したりします。

また、加賀友禅は一人の作家が工程のほとんどを担当するのに対して、京友禅では工程それぞれに職人がいて分業で仕上げられます。

デザインにも違いがあります。京友禅の模様は御所車や扇面などを図案化したものが主流で、ある程度デザインが決まっています。

それに対して加賀友禅は、着物の柄全体が絵のように描かれているのが特徴です。自然描写を基本としているので、図案化された絵柄ではなく写実的です。婚礼に用いられる特別な「花嫁のれん」は、北陸地方だけで見られるものです。

加賀友禅と京友禅の創作技法をどちらも習得して、独自の作風を築いている手描き職人もいます。


*2 奢侈禁止法(しゃしきんしほう):贅沢を禁止する法律のこと。


――着物に描く図柄はどんな時に思いつきますか?

夜中ですね。シーンとした夜の静寂の中でいろいろなことを思いながら、図柄を考えます。やはり明るい昼間よりも静かな夜の方が、いいアイデアが生まれるような気がしています。図柄だけではなく、次にやってみたいアイデアを思いつくのも夜が多いです。

下絵に使う露草の花の汁は、近年入手困難になっている

これが下絵を描く材料。露草の花を絞った汁を和紙に染み込ませ、筆のようにして描いていく

これが下絵を描く材料。露草の花を絞った汁を和紙に染み込ませ、筆のようにして描いていく

――友禅を創作する工程で最も重要な部分はどこになりますか?

友禅の着物は、図案を考えてスケッチをして生地に下絵を描くところから、彩色、染め、水洗、乾燥までたくさんの工程を経て完成します。お客さまに喜んでもらえて自分も満足できる作品を作るためにはどの工程も重要で、それぞれに向き合う気持ちや注意するポイントが異なります。特に図案を描き、彩色をする工程は、作品の良し悪しを大きく左右する工程なので手描き職人としての気持ちが引き締まります。

彩色は一反の着物に最低40色から50色を調合して行います。図案や隣にくる色、文様によって素晴らしい配色となる場合もあれば、その逆となることもあります。

1枚の布である反物の状態から着物を身に着けた時をイメージし、染料を調合して彩色するので、この工程がうまくいくかどうかが手描き職人として最も重要な仕事であると感じています。


――どのような染料を使って下絵を描くのでしょうか?

下絵は、絹の生地に図案の線を写し取る工程です。下絵を描く時には、和紙でできた筆に露草の花びらを集めて作った染料(青花)を染み込ませて使います。青花は水で流すと完全に消えてしまう特徴を持っているので、下絵を描く材料としてはとても都合がいいのです。青花は染料店などから購入しますが、最近は露草自体が減っており値段も高騰しているので、大切に使っています。

技術維持・向上のためには、創作活動を続けなければならない

加賀友禅作家として落款を登録するには、修行年数などの規定を満たさなければならない

加賀友禅作家として落款を登録するには、修行年数などの規定を満たさなければならない

――着物を着る人が減っていますが、手描き職人にとってどんな影響がありますか?

着物を着る人が減ると、職人が着物を作る機会が減ります。職人は、常に手を動かし続けなくてはなりません。手を止めてしまうことは技術の低下につながります。

私は技術を維持するために、たとえ注文が入らなくても、自分で生地を買って創作活動を続けてきました。

また、加賀友禅の魅力を伝える方法は着物以外にもあります。最近では、ドレスやバッグなどの小物類、ウィンドスクリーンなどインテリア用品の創作も行っています。


――着物の裾に描かれている、はんこのようなものは何でしょうか?

落款(らっかん)といいます。落款はもともと、作者が自分の作品であることを証明するために書や絵画に記すものですが、下絵から彩色までを1人の作家が行う加賀友禅の世界では、古くから着物に落款を入れてきました。

加賀友禅作家それぞれが自分の落款を決めて、加賀染振興協会に登録しているんですよ。作家の名前から落款が検索できるシステムも整っています。

加賀友禅 落款検索
http://www.kagayuzen.or.jp/sign/

私の落款は、地染めの仕事を始めた祖父(下村陽介)とその技術を継いだ伝統工芸士である父(下村義明)の名前から1文字ずつ取って「陽明」としました。


――加賀友禅の制作体験も行っているそうですが、外国人のお客さまとはどのようにコミュニケーションを取っていますか?

2015年に北陸新幹線が開業したこともあり、金沢全体に外国人のお客さまがとても増えました。

英語での対応は何とかなるのですが、最近では中国をはじめとするアジア圏からのお客さまが増えていて、中国語しか分からない方もいます。そんな時はスマホの翻訳アプリで友禅について会話をしています(笑)。便利な時代になりましたね。


平野さんは、「手描き職人として友禅を作る仕事はこの上なく楽しい仕事。この楽しさを一人でも多くの人に知ってもらいたい」という願いを込めて、加賀友禅創作に関するWebサイトを作成されています。

そのサイトでは加賀友禅創作の詳しい工程やこれまでの作品がたくさん紹介されていますので、手描き職人についてもっと知りたい人は、一度のぞいてみてはいかがでしょうか。


【profile】加賀友禅作家 平野利明

友禅アート染華(せんか) http://www.yuzen-shimomura.jp/index.html

※内容は全て取材時点のものです。

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「手描き職人」
はこんな仕事です

着物、羽織などの和服などの生地に図柄や模様を、機械、型を使わずに筆や刷毛で直接描いて染め上げる職人。四季折々の花や鳥などを図柄にすることが多い。例えば、江戸時代に生まれた伝統的な手描き友禅は、図案作成から始まる多くの制作工程があり、今も伝統の手法を受け継いでいる。それぞれの工程別に分業で完成させる場合もあるが、全てを一人で行う場合もある。さまざまな顔料や染料を駆使し、着物に魂を吹き込んでいく表現力や画力が求められる。着物のほかにも、大漁旗や鯉のぼりを扱う手描き職人がいる。

「手描き職人」について詳しく見る

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