【シゴトを知ろう】リスクコンサルタント 編
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企業になくてはならないといわれる「リスクマネジメント」。企業活動で発生するリスクを、最小限に軽減させるよう管理することです。ニュートン・コンサルティング株式会社のシニアコンサルタントの久野さんに、リスクコンサルタントの仕事についてお話を伺いました。
この記事をまとめると
- リスクコンサルタントは、経営者のあらゆる悩みに一緒に向き合う仕事
- 発想力を生かし急成長、英語スキルを生かし世界をステージに活躍!
- 求められる能力は、考え抜く力とポジティブなコミュニケーション力
危機管理を通じて経営を支援する仕事
Q1. 仕事内容と一日のスケジュールを教えてください。
企業が何らかのリスクによって活動を止めてしまうと、最悪の場合、吸収合併や倒産などで法人格が消滅してしまいます。従業員が仕事を失うだけでなく、それが銀行や官公庁などインフラに関わる場合、一企業だけの話ではなく、国内経済に大きな影響を与えることもあり得ます。
私たちリスクコンサルタントは、現代の企業活動に関わる全てのリスクの調査・分析を行い、対策立案を的確に実施することで、企業経営を支援しています。
90年代後半から企業のコンプライアンス(法令や規則などのルールに従うこと)の厳正化や、ISO(*1)などの品質管理や情報マネジメントが盛んになり、企業ごとにリスクも多様化しました。さらに、インターネットと海外進出の活性化により、ビジネスのグローバル化が進んだことから、複雑化する企業経営にリスクコンサルタントの必要性もグッと高まってきたのです。
具体的には「起きるかもしれないリスク」を洗い出し、「事前に防ぐ」ことと「起きてしまった場合の対処方法」の両面から考えることが主な仕事です。
1日平均3回ほどお客様との打ち合わせがあります。経営者や、経営者のブレインに直接ヒアリング・打ち合わせすることがほとんどです。毎回経営陣にお会いするので、私たちも相当の覚悟とエネルギーで仕事に臨んでいます。
海外出張も多く、訪れた国は20カ国以上。1週間の間にアメリカ・ニューヨークとブラジル・サンパウロそれぞれに行く……という強行スケジュールでの出張もありました。
<一日のスケジュール>
09:00 出社
10:00 お客様と打ち合わせ(1)
13:00 お客様と打ち合わせ(2)
15:00 お客様と打ち合わせ(3)
*1 ISO(International Organization for Standardization):国際間取引をスムーズにするための共通基準(国際標準化機構)
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
やりがいは「お客様の役に立てる」喜びにつきます。常に経営者に接していますから、お話を聞くだけでもたくさん影響を受けますし、やはり企業の経営者ってすごいなと思います。
仕事の楽しさは、自分の立場によって変化しています。私が入社した頃はスタッフの人数が少なかったこともあり、一人ひとりの責任の重みが大きく、重要な仕事を任されることをうれしく感じていました。
最近ではクライアントの事業戦略で、ゼロから事業の立ち上げに参画させていただけることに大きなやりがいを感じています。適正な人材を確保・育成し、私がチームをマネジメントすることで、お客様に貢献できることがやりがいです。戦略コンサルティングとして「新しいサービスや仕組みを作る」ことが本当に楽しく、やりがいがあります。
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
一番つらいのは「産みの苦しみ」です。事業戦略に関わることが多いのですが、新しいサービスや仕組みを作った場合、最初の集客をどうするかなど、さまざまなリスクを想定する必要があります。何もないところからリスクや対応策を考えていく作業は大変ですね。
また、昨年新しく採用した3名のうち2名が、途中で合わないと会社を辞めてしまったことがありました。自分がいいなと思って採用し、その人たちの成長を期待していただけに、つらかったです。この仕事は人材が宝ですからね。
バスケットボール選手に憧れた、フロリダでの大学時代
Q4. どのようなきっかけ・経緯でリスクコンサルタントの仕事に就きましたか?
アメリカの大学を卒業した後、日本で通訳や翻訳の仕事をしていました。そこである企業の海外拠点から英語で企業課題を聞く仕事をしたのですが、その仕事がきっかけで会社経営に興味を持つようになりました。
何となくベンチャーのコンサルティング会社なら「いろいろな会社の経営を学べるんじゃないか」と勝手に考えて入社したのが、ニュートン・コンサルティング株式会社だったんです。今思えばふわっとした動機でしたね。
会社は2006年11月に設立されたので、私が入社したのは立ち上げから1年半、私の年齢も第二新卒みたいなものです。当時はまだ数名の会社でしたが、私が入社して「グローバルチーム」を立ち上げ、急成長しました。
Q5. 大学では何を学びましたか?
小学生の頃からバスケットボールの選手に憧れていたので、進学先はアメリカ・フロリダの大学を選びました。専攻は経済です。大学でもバスケットボールはやっていましたが、現地でNBAのプロと自分とのレベルの違いを実感しました。
しかし、今英語を生かせるのは留学したおかげです。世界中の人とコミュニケーションが取れるようになったのも、大学生活での経験が大きいと思います。
Q6. 高校生のときに抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
高校生の頃は、本気でプロバスケットボールの選手を目指していましたからね(笑)。もちろん、リスクコンサルタントという仕事自体を知りませんでしたし、現在の仕事は想像していませんでした。
ただ、バスケットボールはチームプレーです。「人」との出会いの大切さや、理屈ではなく何事も「やるしかないんだ」と実行に移す行動力は、その頃に培ったものだと思います。
また、バスケットボール選手に憧れたおかげでアメリカの大学に進み、英語を習得し現在の仕事に生かしています。仲間も素晴らしいですし、今はこの仕事が好きですね。
「あのときこうしていればよかった」を世界から失くしたい
Q7. どういう人がリスクコンサルタントに向いていると思いますか?
「頭から血が出るほど」とか「脳みそに汗をかく」ほど、考え抜くことができる人。まさにクリエーティブな人です。なぜなら、リスクってほとんど解決できないからリスクとして残っているわけです。ネットで調べたところで情報もない。解決方法をただ必死で考え抜くだけ。さらに仲間たちとそれらを協力して実践しなければなりません。
私が考えるのは、何かのオタクだと呼ばれるくらい一つのことにのめり込んで考えられて、一方でコミュニケーションスキルも高い人が向いていると思います。この二面性が大切ですね。さらに取引先企業のトップから可愛がられる愛嬌のある人なら、もう最強だと思います。
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
皆さんにアドバイスしたいのは、「のめり込め、達観するな」ということです。達観することが必要な局面もありますが、達観ばかりしていると評論家のように意見を表明するだけになって、全然前に進めなくなります。
のめり込むことで初めて物事をひねり出すことができることを、覚えておいてください。自分の趣味でも部活でも、何でも良いので一生懸命のめり込んでみる。するととても詳しくなって、それがきっと新しい次の道に結びついていくはずです。
リスクコンサルタントの仕事は、高校生の皆さんには馴染みが薄いかもしれませんが、世界基準でスケールが大きく、今後さらにニーズが出てくる仕事です。私たちの目標は「あのときもっとこうしておけばよかった」を世界から無くすこと。ポジティブに世界を変えたい人、社会に貢献したい人、ぜひお待ちしています!
リスクを机上でチェックするだけではなく、取引先企業のトップと向き合い経営者目線でダイナミックに問題解決をする。まさに「頼れる味方」というイメージの仕事です。また、事業戦略にも大きく関わる仕事だと知り、守備範囲の広さにも驚かされました。特にグローバルに活躍したい人は、チェックしておくべき業界ではないでしょうか。
【profile】ニュートン・コンサルティング株式会社 シニアコンサルタント
久野陽一郎(くの よういちろう)
ニュートン・コンサルティング株式会社
https://www.newton-consulting.co.jp
この記事のテーマ
「ビジネス・経営」を解説
法律などの専門知識を学び、文書作成などの技能を磨くほか、資格取得や検定合格を目指すカリキュラムもあります。小売業や不動産売買、経営コンサルタントや税理士など、各ビジネス分野におけるスペシャリストも育成します。国家試験の合格が求められる高度な資格を必要とする仕事もありますが、専門学校の中には受験指導に実績を誇る学校もあります。
この記事で取り上げた
「リスクコンサルタント」
はこんな仕事です
主に企業を対象にリスクマネジメントの実施状況を診断し、問題解決および対策法を細かく提案できるプロフェッショナル。危機管理組織の構築をはじめ、調査と分析、対策の実施など幅広く企業をサポートする。また、弁護士や経営コンサルタントら専門家と共同し、企業にアドバイスを与えることも仕事の一つだ。企業経営において不可欠な存在で、法務・財務・人事労務など各分野の知識が求められる。一般資格としては「RMCA-J(R)リスクコンサルタント(NPO法人日本リスクマネジャー&コンサルタント協会)」などがある。
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