アフリカの子どもたちによって支えられる、スマホの裏側

毎日使用する人も多いスマホやパソコン。そこには、レアメタルと呼ばれる希少金属がいくつも使われています。そしてそのレアメタルの裏側には、世界では過酷な状況下で働く子どもがいることを知っていますか? レアメタルを中心に、私たちが考えていかなくてはならない問題と、解決方法をご紹介します。
この記事をまとめると
- スマホやパソコンに使われているレアメタルとは?
- レアメタルの産出に、アフリカの子どもたちが関わっている
- フェアフォンの取り組みと、私たちができること
スマホやパソコンに使われているレアメタルとは?
私たちが普段使用するスマホやパソコンには、さまざまなレアメタルが使われています。しかしレアメタルといわれても、ピンとこない人もいるかもしれませんね。
レアメタルとは地球上にもともと存在する量が少なかったり、量が多くても純度の高い金属にすることが難しかったり、さまざまな理由で希少な金属のことを指します。
そのため一つの金属のこと指すのではなく、電池などでよく聞く「リチウム」「マンガン」、アクセサリーにも使われる「プラチナ」など、レアメタルと呼ばれる金属は31種類にものぼります。
レアメタルの一つである「コバルト」は、スマホやパソコンの電池にも使われており、主に、アフリカにあるコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)で産出され、その数は世界の半分にもなります。そして今、ある問題が注目されています。
レアメタル「コバルト」の産出には、アフリカの子どもたちが関わっている
コンゴでは資源を取り扱う世界の大手企業が進出しており、コバルトを採掘しています。
しかし、コンゴ産コバルトの20%は手掘りで採掘されているだけでなく、そのほとんどが無認可の違法な鉱山のため、落盤や窒息といった危険と隣り合わせの現場となっているそうです。
ユニセフの調べによると、そこでは11~15万人が働いており、その中には多くの子どもが含まれています。わずか7歳の子どもいるのだとか。そして、そこで採掘されたコバルトは、さまざまな有名企業のスマホ製品に使われている可能性があるのです。
「フェアな調達」をコンセプトにしたフェアフォンに注目
こうした問題を解決しようと、「フェアな鉱物調達」や「部品提供元まで公開する情報の透明性」などのコンセプトを掲げたスマホ「フェアフォン」がオランダで開発されました。スマホの原料に子どもたちの労働が関わっていないか、労働者に配慮した製造元で生産されているかなど、現地の視察を交えてしっかりと管理しています。まだ日本では発売されていませんが、こうした動きがコンゴの問題を解決する糸口になるかもしれません。
スマホやパソコンだけでなく、あらゆるところにレアメタルは使われています。私たちは、普段利用する物の背景に、一体何があるのかにも目を向けていく必要があります。それを知ることが、問題を解決する第一歩となります。
レアメタルの問題だけでなく、世界的な人権問題やその解決の糸口を探る手伝いをしたいなら、国際関係学を学んでみてはいかがでしょう。さまざまな視点から、世界各地と日本、または研究対象に選んだ地域の問題を理解・分析していくことができます。まだ認知されていない問題を見つけ、世界に警鐘と対策を伝える役目となるかもしれませんよ。
【参考サイト】
レアメタルのリサイクルに係る現状(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/committee/summary/0003198/015_04_00.pdf
コバルト、子どもが採掘 コンゴ劣悪環境 リチウムイオン電池で需要増
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201710/CK2017100402000114.html
過酷な児童労働があなたのスマホを作ってる?
http://www.amnesty.or.jp/campaign/archive/drc/
コンゴ民主共和国における人権侵害とコバルトの国際取引
http://www.amnesty.or.jp/library/report/pdf/drc_201606.pdf
「可能な限りエシカルなスマホ」Fairphone、新モデルにSailfish OS移植も
https://wirelesswire.jp/2015/12/48928/
オランダ発、倫理的なスマホFairphone2とは!?~iFixit分解レポート~
https://www.ipros.jp/technote/column-teardown-fairphone2/
この記事のテーマ
「国際・国際関係」を解説
貧困問題や民族間紛争、資源や食料、環境問題、経済的な競争や協調など、さまざまな問題を抱える国際社会。そこで活躍するには、言葉はもちろん、世界各地の文化や経済、政治、法律なども知る必要があります。 留学を経験したり、来日する留学生と交流したりしながら、異文化を理解する国際感覚を養っていく学問です。
この記事で取り上げた
「国際関係学」
はこんな学問です
世界各地と日本、または研究対象に選んだ地域の問題を、歴史学・社会学・経済学・政治学など幅広い学術的な視点から理解・分析する学問。国際社会のさまざまな問題を把握し、国際的な政治、経済、法律も活用して、異文化地域や利害関係を持つ国家・地域同士が共存を図る方法を見出していくために大切な学問である。外資系企業、旅行業界、海外取引のあるメーカーのほか、公務員や教員など学びを生かせる仕事の幅は広い。
-
PICK UP! 「国際関係学」について学べる学校
-
国際・国際関係について学べる学校

