2020年に完成予定! 中国がスモッグを吸収する「森のビル」を建設

2015年に大気汚染が原因で死亡した人は全世界で420万人以上。その半数が中国とインドだったことが分かりました。中国では状況を改善するため、国を挙げて大気汚染対策に取り組んでいます。
この記事をまとめると
- 中国では、1日に3,000人以上が大気汚染で死亡している
- 大気汚染に悩む中国では、「森のビル」の建設が進んでいる
- デザイン工学では住みよい街づくりなど、私たちの生活に直結した分野を学ぶ
1日に3,000人以上が大気汚染で死亡している中国
皆さんは、天気予報で「PM2.5」の分布情報を見たことがあるでしょうか。PM2.5は呼吸器を詰まらせる原因となる微粒子で、危険な大気汚染物質の一つ。汚染がひどいと、1日にタバコを2箱以上吸うのと同程度の健康被害があるとされています。
中国・インド、両国の年間死亡者数はそれぞれ約110万人。1日に3,000人以上の人々が、大気汚染で亡くなっている計算です。ちなみに日本での死亡者数は、中国やインドの約15分の1です。
インドの首都ニューデリーのPM2.5の平均値は約700マイクログラムで、世界保健機関(WHO)が安全とする推奨値の実に70倍。中国の首都・北京では、1,000マイクログラムに達したという報告もあります。このように、地球の大気汚染は深刻な状況にあるのです。
大気汚染に悩む中国で建設中の「森のビル」
そんな中国で、大気汚染緩和のために進められているのが、緑に包まれた高層ビル「森のビル」の建設です。南京では、3,600本もの樹木が屋上やバルコニーに配された2棟の高層ツインビル「南京グリーンタワーズ」を建設中。企業オフィスやホテル、美術館が入り、2018年に完成予定です。年間25トンの二酸化炭素を吸収し、毎日60キロの酸素を放出するのだそう。
それでも、車5台が1年間に排出する二酸化炭素を吸収する程度の効果しかありません(車1台で年間平均4.7トンの二酸化炭素を排出と仮定)。さらなる効果を目指して、森のビルを集合させた森林都市の建設も計画されています。森林都市は、約200種類の植物に包まれた高層ビルや交通システム、緑地などで構成。PM2.5など大気汚染物質を吸収して空気を清浄化し、中国の都市部のスモッグを解消させる可能性があると期待されています。
デザインによる問題の解決、生活の発展を目指す「デザイン工学」
日本でも屋上や壁面、駐車場の緑化システムを提供する企業があるなど、昨今、自然と健康に配慮した都市の建設が求められています。
もし自然と都市が共存する建築物などをつくりたいと感じたのなら、「デザイン工学」を学ぶと良いでしょう。土木工学の基礎から、道路や河川などの高度な土木技術に加え、環境緑化など、街づくりに貢献できる知識を学べます。幅広い領域に生かせる学問なので、将来の住環境を豊かにする担い手になれるかもしれませんよ。
【出典】
ビジネス・インサイダー|大気汚染が深刻な中国で「植物高層ビル」建築
https://www.businessinsider.jp/post-33146
エポックタイムズ・ジャパン|植物に覆われた「森のビル街」中国スモッグ問題解決の一手?
http://www.epochtimes.jp/2017/02/26809.html
新電力ネット|大気汚染の影響による死亡数が世界2位のインド、2030年までに電気自動車のみ販売へhttps://pps-net.org/column/38354
トヨタルーフガーデン株式会社|緑化事業
http://www.toyota-roofgarden.co.jp/gardening/index.html
ナショナルジオグラフィック日本版サイト|インドで最悪級の大気汚染、PM2.5基準の16倍
http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/111100430/
時事ドットコムニュース|北京に静かな春節=花火禁止効果、青空も
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018021600723&g=int
この記事のテーマ
「工学・建築」を解説
工業技術や建築技術の発達は、私たちの生活を快適で安全なものに変えてきました。先人たちが生み出した知恵に新しい技術をプラスすることで、技術はいまも進歩し続けています。インフラの整備や災害に強い街作り、エネルギー効率の高い動力機械やロボット開発など、暮らしを豊かにする先端技術を学びます。
この記事で取り上げた
「デザイン工学」
はこんな学問です
工業製品や建築物はもとより、都市や生活環境、情報にまで及ぶ広範囲な対象物を、工学と芸術双方の視点から捉えてデザインを追究する学問。「空間・環境・建築デザイン工学分野」では、建築学や景観論、生活文化を学ぶことで、豊かな住環境デザインを考える。「ヒューマンインターフェース分野」は、光や音、熱の物理的な解析などから、マルチメディアのデザインを考える分野。商品開発から都市開発、建築、機械と研究を生かす領域は幅広くある。
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