脳から直接タイピングして伝達する技術? 難病治療にも光
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頭に思い浮かべるだけで相手に気持ちを伝えられたら……。実際にそのような技術が開発されているようです。もし実現したら、脳から直接「思い」を出力し、コミュニケーションできるようになるかもしれません。この夢のような最新技術が、今、医療技術を大きく進化させています。
この記事をまとめると
- Facebookが脳からタイピングできる技術を開発中
- 脳と機械をつなぐ技術は、難病治療に活用される
- 新しい医療とリハビリを可能にした最新の医療技術がすごい
「脳で機械を動かす」Facebookが挑戦中
米国企業のFacebookは、2017年4月、脳から直接文字をタイピングする技術を開発中と発表しました。具体的には、言葉を思い浮かべた時に生じる脳の変化をコンピューターで読み取り、発信するという技術だそうです。
頭で考えていることを勝手に読み取られる心配はなく、自分が伝えようと決めたことだけを発信できるとのこと。Facebookは、「数年内に、1分間で100単語の入力が脳から直接できるようになること」を目指しています。実現すれば考えるだけで、LINEやメールができるようになるかもしれません。
難病の患者にも光が! 医療現場で広がるBMIとは?
まるで夢のような技術ですが、脳の変化を読み取って意思を伝える技術自体は、「BMI(ブレーン・マシン・インターフェース)」と呼ばれ、医療現場を中心にすでに取り組みが始まっています。BMIは、脳を機械と接続する機器や技術の総称です。脳波から意志を捉え、その信号に応じてコンピューターや装置を操作します。
身体を思うように動かせなくなる難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者は、わずかに動く唇やまぶたの動きで意思を伝えますが、病状が進行するとそれすらできなくなることがあります。そこで現在、患者が脳でイメージするだけで、画面に文字を表示させる仕組みが開発されています。
同じように、脳卒中で手足を思うように動かせなくなった患者のリハビリへの活用も研究中です。患者が指を伸ばすイメージをすると、その脳波を読み取り、装置が指を動かします。これを繰り返して、運動を司る脳の領域を活性化し、脳卒中で失われた神経回路の回復を目指します。
他にも、うつや自閉症といった精神疾患の診断・治療への活用や、義肢の操作への応用が見込まれており、脳活動の情報を生かした全く新しい医療技術の道が開かれています。
BMIを応用した最新の医療技術を学んで社会に貢献
脳科学の研究が急速に進み、BMIは医療現場で広がりを見せています。今後、さらに医療や介護、福祉の分野で活用されることが期待されます。
検査やリハビリに関する専門知識と技術を学ぶ医療技術学も、BMIの発展に応じて、ますますその先進性や重要性が高まっています。最新の医療技術を学んだ先には、臨床・細胞検査技師や言語聴覚士といった医療現場を専門スキルで支える職種にもつながるでしょう。
医療や介護、福祉の仕事に興味があるならば、医療技術という学問も選択の一つとして選んでみてはいかがでしょうか。将来、最先端の技術の担い手として活躍できるかもしれませんよ。
【参考サイト】
「脳で入力」夢の1分100語 フェイスブック挑む(日経新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO16842470V20C17A5TJN000/
筋萎縮性側索硬化症(ALS)(指定難病2)
http://www.nanbyou.or.jp/entry/52
「念じて動かす技術」BMI 難病治療の現場に広がる
https://style.nikkei.com/article/DGXKZO12499470T00C17A2TZQ001?channel=DF130120166089
脳と義肢とを「より安全に」つなぐ方法
https://wired.jp/2016/02/16/darpa-bio-brain-implant/
この記事のテーマ
「医学・歯学・薬学・看護・リハビリ」を解説
病気やケガなどによる身体機能や生理機能の変化を治療し、健康な生活が送れるようにするのが、医療の役割です。今日のように高齢化が進んだ社会では、健康で長生きできるようなサポートも重要です。これらの役割を担うのが、医師、薬剤師、看護師、理学療法士などの専門家です。医師であれば解剖学や病理学、薬剤師であれば薬学など、それぞれが専門的な知識と技術を身につけ、連携することで医療の質を向上させる方法も学びます。
この記事で取り上げた
「医療技術学」
はこんな学問です
検査やリハビリテーションについて専門的な知識と技術を学ぶ学問。具体的には検査分野では、心電図、組織、血液、尿などの検査技術を身に付けた「臨床検査技師」「細胞検査技師」や、レントゲン検査、CTスキャン、放射線治療に携わる「診療放射線技師」をめざす学びが含まれる。リハビリ分野では、身体機能の回復を支援する「理学療法士」、心身の回復を支援する「作業療法士」のほか「言語聴覚士」など。学校によって看護学を含む場合もある。
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