【シゴトを知ろう】セキュリティエンジニア ~番外編~
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今後ますます需要が高まり、人気の職業となっていくであろうセキュリティエンジニアの仕事に就くためには、どんな勉強をして、どんな資格を取得しておくといいのでしょうか。
EGセキュアソリューションズ株式会社の松本隆則さん(写真左)と一ノ瀬太樹(だいき)(写真右)さんに、セキュリティエンジニアに求められる能力や資格などについてお話を伺ったので、番外編として紹介します。
この記事をまとめると
- 転職でキャリアアップ!? 能力が認められれば他社から声がかかる
- 情報交換をしたり新しい仕事が生み出されたり、セミナーはエンジニアたちの交流の場
- セキュリティエンジニアを目指すのなら、知っておきたい資格とは?
セキュリティエンジニアの仕事の内容は多岐にわたる
――お二人で取材を受けていただくことになった経緯について教えてください。
松本さん:
最近は、セキュリティエンジニア一人ひとりが異なる立場と観点で業務に携わることが多くなっています。
一ノ瀬と私はWebサイトやWebページの脆弱(ぜいじゃく)性診断作業が主要な業務ですが、一ノ瀬はWeb公開直後の脆弱性情報の実態や影響度などの検証、私はセキュリティ教育関連のコンテンツ作成に時間を割いています。
そのため、複数名に取材していただいた方が、最近のセキュリティエンジニアの仕事をより正確にお伝えできるのではないかと考え、2人で取材に臨みました。
――セキュリティエンジニアの方々は転職される人が多いのでしょうか?
一ノ瀬さん:
他の業界の転職状況を良く知っているわけではありませんが、ITのような新しい業界は全般的に中途採用が多いですね。セキュリティエンジニアの世界では転職にマイナスイメージがそれほどなく、どちらかというとキャリアアップとして認められる傾向にあります。
また、セミナーで講師を務めたり、カンファレンス(会議)で発表したりして業界内で名前が知られると、転職のお誘いがくることもあるようです。
――お二人はセミナーを主催されることも多いそうですね。
松本さん:
私が開くセミナーは大きく分けて2種類あります。
一つは社内の仕事の流れの中で行うもので、脆弱性診断を覚えたい方がお客さまの会社にいらっしゃった場合、講習やトレーニングとして行います。
もう一つは、会社から許可を得て開催する社外におけるセミナーです。無料で参加できるものも多いので、興味がある方は参加してみてください。
一ノ瀬さん:
情報セキュリティに関わる仕事は秘匿性が高いので、会社によっては「セミナーなんて絶対に駄目」「会社の名前を出す、出さないに関わらず登壇することは一切駄目」とセミナー開催が禁止されていることもあります。
弊社では社員のセミナー開催が許可されていますが、会社の方針なので、どちらが良い悪いとはいえないですね。
コンピューターの基礎を学んでおくと就職してから役に立つ
――セキュリティエンジニアの方同士の横のつながりはありますか?
松本さん:
私たちはセミナーを開催する側であり参加する側でもあるので、そのような場で多くのセキュリティエンジニアの方々と交流しています。お互いに情報交換をすることもあれば、セミナーでの出会いが新たな仕事につながることもあるんですよ。
――お二人は高校卒業後に就職されていますが、セキュリティエンジニアを目指すには、進学するよりもすぐに現場に入った方が良いのでしょうか?
松本さん:
大学で学んでから、セキュリティエンジニアを必要とする会社に就職するのが望ましいと思います。
一ノ瀬さん:
将来的に海外で活躍したいと思うのなら、大学卒業は最低限求められる学歴です。ITエンジニアの世界は、日本よりも欧米の方がはるかに学歴社会なんですよ。
セキュリティエンジニアに求められるのは、幅広い知識とセキュリティに関する専門性です。いきなりセキュリティエンジニアになるのではなく、プログラマーやインフラエンジニアを経験することもお勧めです。
世界で活躍するなら必須! 英語のスピーキング力を磨こう
――セキュリティエンジニアを目指すのなら、取得した方が良い資格はありますか?
松本さん・一ノ瀬さん:
資格はいろいろありますが、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施している情報処理技術者試験のうち、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験がIT業界では一般的です。
国際的な資格だとCISSPという資格もあります。これは(ISC)2(*)が認定を行っている情報セキュリティのプロフェッショナルに与えられる資格で、CISSPを取得していれば、国内外において個人および所属組織が信用・信頼を得られます。
高校生や大学生なら、IPAの基本情報技術者試験の勉強をすると良いでしょう。
また、最近は「情報処理安全確保支援士」という資格がメジャーになっています。これは2016年まで行われていた情報セキュリティスペシャリスト試験が国家資格試験になったもので、セキュリティエンジニアに関わらず、情報セキュリティに携わる場合には有用な資格であるといえます。
ただし、資格の維持にそれなりの費用がかかるため、社会人になってから会社の補助を得て取得するのが良いと思います。
*(ISC)2:1989年に設立されたアメリカのNPO団体、ISCスクエア(International Information Systems Security Certification Consortium)のこと。
――セキュリティエンジニアにはどのぐらいの英語力が必要でしょうか?
一ノ瀬さん:
国内で働くだけなら、英文を読む力があればいいと思います。でも、海外で仕事をすることを見据えているのであれば、英語でプレゼンテーションができるスピーキング力が欠かせませんね。
松本さんや一ノ瀬さんのように、高校卒業後すぐにエンジニアの世界に入って活躍することも可能ですが、進学してコンピューターの基礎や専門知識を身に付けてから就職した方が、スムーズに業務に入れるようです。
高校生でも受験できる資格があるので、エンジニアの仕事に興味のある人はまずは資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
【profile】EGセキュアソリューションズ株式会社 セキュリティエンジニア 松本隆則、一ノ瀬太樹(だいき)
EGセキュアソリューションズ株式会社 https://www.eg-secure.co.jp/
この記事のテーマ
「コンピュータ・Web・ゲーム」を解説
デジタル情報をつなぐシステム構築をはじめ、webやゲーム、アニメーション、映画など、メディアやコンテンツを創り出します。コンピュータの設計・開発などを学ぶ情報処理系と、アニメ・ゲームなどの制作を学ぶコンテンツ系があります。また、ビジネスの現場で広く使われているアプリケーションを使いこなすスキルを身につける授業もあります。
この記事で取り上げた
「セキュリティエンジニア」
はこんな仕事です
コンピューターウイルスやハッキング、不正アクセスなどから、企業の安全とコンピューターや情報を守るセキュリティーシステムを設計する仕事。顧客の要望をヒアリングし、セキュリティーシステムを企画・設計。導入後はネットワークに弱点がないかを調査し、円滑な業務遂行をサポートする。企業によっては大量の顧客情報を扱っていることも多く、社内から情報の流出が起こらないように調査・防御し、サイバー攻撃などに迅速に対応することも重要な任務となる。
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