選挙権は18歳に引き下げられたけど……。ネットで投票できるようにはならないの?

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選挙権は18歳に引き下げられたけど……。ネットで投票できるようにはならないの?

2017.12.27

提供:マイナビ進学編集部

選挙権は18歳に引き下げられたけど……。ネットで投票できるようにはならないの?

2016年から選挙権が20歳から18歳に引き下げられました。皆さんの中でもすでに投票した経験がある人がいるかもしれません。高校生の中には「インターネットで投票できればいいのに!」と思っている人もいるのではないでしょうか。一見便利そうに見えますが、インターネットを使った投票にはさまざまな課題があるようです。

この記事をまとめると

  • 日本では、国政選挙での電子投票の導入が検討され始めている
  • エストニアでは、国政選挙で「i-voting」という電子投票が採用されている
  • 政治参加に対する意識など、人と社会の関係を考えることは社会学の学びにつながる

開票箱が届かない! 台風の影響で電子投票の必要性は高まるものの……。

2017年10月に行われた衆議院議員総選挙では、台風の影響による悪天候の中、投票が行われました。この影響もあってか、選挙は戦後2番目に低い投票率だったのだとか。また天候の関係で、離島の投票所から開票箱が回収できないなどの問題も生じました。

こうした問題を受けて挙がったのが、「国政選挙に電子投票を導入すべきでは?」という意見です。現在、国政選挙ではインターネットでの電子投票は行われていませんが、実現すれば悪天候や外出困難時にも対応できるなどのメリットがあります。

また、これにより若い世代が選挙に関心を持ちやすくなれば、全体の投票率が上がるきっかけにもなります。実際に今回の選挙の影響を受け、野田聖子総務相は「電子投票やインターネットを活用した取り組みの研究が急務」と話すなど、電子投票の検討を始める考えを表明しています。

しかし、電子投票のシステムを確立するには、さまざまな問題があるようです。インターネットを使った電子投票で考えなければならないのが、セキュリティの問題です。選挙は国民が自分の意見を投票する場なので、個人情報などのプライバシーを厳重に守る体制が求められます。

皆さんもニュースなどで、「顧客情報の漏えい」や「海外からのハッキング」といった事件を耳にしたことがありませんか? 電子投票を実現するにはこうしたトラブルを未然に回避する仕組みを確立しなければなりませんし、そしてそのためには、多額の予算が必要になってくるのです。

国政選挙で電子投票を取り入れている国があった!

日本では2002年に電子投票が解禁され、地方選挙に関しては全国の数都市で、端末を使用した投票が実施されました。しかし10年以上前から導入されているにも関わらず、全国に浸透していないのはなぜでしょう?

その背景には「お金」の問題があるようです。端末を使用した選挙は、確かに開票の効率アップや無効票(白紙や読めない文字の投票用紙)の解消につながりました。しかし、肝心の投票機を借りるのに、約3,600万もの費用がかかるのだとか。人件費が削減されることを考えても、マイナスの負担はかなり大きいです。

また海外に目を向けてみると、フランスでは一部の選挙で電子投票が認められていましたが、2016年、アメリカの大統領選で海外のハッカーが影響を及ぼしたという疑惑を受け、インターネットからの電子投票を認めないことにしました。

こうした例を挙げると、「インターネットを使った電子投票は難しいのでは?」と感じてしまうでしょう。しかしその一方で、電子投票を活用している国もあるのです。それが「電子政府先進国」ともいわれているエストニアです。

実際にエストニアでは、「i-voting」というシステムで電子投票が行われています。有権者はIDカードかモバイルIDを認証し、投票を行うという仕組みです。これにより1回の選挙運営にあたる時間を1万1,000時間節約することにつなげました。

社会の仕組みや人の動きに着目する「社会学」

一方日本では、2013年からインターネットを利用した選挙運動が可能になりました。これにより有権者はSNSや動画共有サービスを使用して「○○さんを当選させよう」といった呼びかけができるようになり、また、候補者や政党は電子メールを使って「清き一票をお願いします」と選挙運動ができるようになりました。普段インターネットを利用している人にとって、候補者や政党の考えが身近に感じられるきっかけが生まれたのです。

国政選挙における電子投票の導入はまだ時間がかかりそうですが、このように選挙とインターネットの距離は近づきつつあります。今後、日本はさまざまな問題をクリアしながら、国政選挙における電子投票の実現に力を入れていくことになるかもしれません。

このように国民の政治参加の意識や電子投票のシステムをつくることなど、社会の仕組みや人の動きを考える学問を「社会学」と呼ばれます。社会学では、さまざまな集団や個人の行為や特性について着目します。「この集団ができたきっかけはどうしてだろう?」「この集団には、どんな人がいるのだろう」といったことを研究しながら、法則性を見つけ、社会の仕組みを解明していきます。

また社会学は非常に範囲が広く、選挙や政治に関する政治社会学、教育社会学、スポーツ社会学、家族社会学など、さまざまな分野の中に社会学があります。社会学が学べる学校では、その社会背景や理論を学び、実際に研究テーマに応じた学習や調査を行うことになるでしょう。

社会学というと、漠然としすぎてピンとこない人も多いかもしれません。しかし、今回のような国政選挙の電子投票化のように、政治に関心を持てる仕組みを知ることは、社会学の学びを知る最初の一歩になります。日頃目にするニュースも、社会や人の動きに注目して見ると、興味深い発見があるはずですよ。


【参考文献】
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201710/CK2017102302000337.html
SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/business/news/171025/bsj1710250500001-n1.htm
Computerworld
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/idg/14/481542/031000344/
産経新聞
http://www.sankei.com/west/news/150906/wst1509060051-n1.html
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2101S_R20C11A3000000/
PLANET WAY
http://ascii.jp/elem/000/001/522/1522211/
佐賀新聞LIVE
http://www.saga-s.co.jp/articles/-/141434
総務省
http://www.soumu.go.jp/main_content/000225177.pdf

この記事のテーマ
社会学・マスコミ・観光」を解説

あまり共通性のないように思われる3分野ですが、じつは密接な関係があります。観光業界にとってマスコミは「広報」そのものです。マスコミの存在なくして観光業界の発展はないでしょう。もともとマスコミは商品を情報化するために社会学を重視しています。社会が求めている漠然としたニーズを精査し、わかりやすいイメージとして変換して提供するのです。今後、観光業などにおけるマスコミの存在はますます大きくなるはずです。

「社会学・マスコミ・観光」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「社会学」
はこんな学問です

社会のなかでの個人の行為、集団の持つ特性、他者とのコミュニケーションなどに一定の法則性を見出して、社会の仕組みや働きを解明する学問である。研究対象は広く、社会学的な視点で研究できるものであれば何でも対象とすることができる。たとえば、家族社会学、芸術社会学、法社会学、都市社会学、宗教社会学、教育社会学、スポーツ社会学など、テーマの自由度は高い。その一方、社会全体を意味付けるグランドセオリー(一般理論)を志す学者もいる。

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