【シゴトを知ろう】遺伝カウンセラー 編

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【シゴトを知ろう】遺伝カウンセラー 編

2018.01.15

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】遺伝カウンセラー 編

医師ではない遺伝カウンセラーとして唯一、日本と米国両者の認定資格を持つ草分け的存在の田村智英子さん。遺伝カウンセリングの主な対象者は、自分や生まれてくる子に重大な疾患が遺伝しないか心配する人たち。難しい仕事ですが、「患者さんの対応で苦労を感じることはない」と田村さんは言います。それはなぜでしょうか。

この記事をまとめると

  • 遺伝カウンセラーは患者さんの重大な決断を支える仕事
  • 進路を無理に絞らず間口を広くして学ぶのもいい
  • 将来の仕事に直接つながらなくても頑張ったことは必ず役に立つ

人間の持つ底力を見られることが醍醐味

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
遺伝カウンセラーの仕事は、自分や家族の遺伝子に関して不安を感じている方に対して、検査や治療、今後の選択肢などについて適切な情報をお伝えすることです。たとえば妊婦さんで流産や高齢妊娠の不安、自分や家族の持病や障がいが生まれてくる子に遺伝しないかという不安を抱えて相談に来られる方がいます。また、遺伝性疾患に関する情報を求めて来る方や、「親ががんだけど自分は大丈夫?」と聞きに来られる方もいます。

<一日のスケジュール>
8:00 出社、相談者へのメール返信・電話
10:00 遺伝カウンセリング面談開始(3件程度)
13:00 昼食
14:00 遺伝カウンセリング面談(3件程度)、電話対応
19:00 終業


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいを感じるのはどんなところですか?

遺伝カウンセラーは病気を治せるわけではありません。患者さんが状況を適切に理解したり重大な決断を行ったりすることを支えるのが仕事。私が何かをしてさしあげるというより、ご相談に来られた皆さんが大きな困難に直面し、涙をふき、力を振り絞って立ち上がっていく生き様を目の当たりにすると、むしろこちらが感動させられることが多いです。人間の持つ底力を見られることがこの仕事の醍醐味です。

以前、小児病院で働いていたときのことです。重い疾患で入院していた子どもの親御さんが、いろいろと文句の多い方で対応に苦しんだことがありました。でもその子が亡くなった半年後に、わざわざ会いに来て「当時は余裕がなくひどい態度を取ってしまった。田村さんに会えてよかった」と言ってくださいました。人間への理解が深まる仕事だなと感じました。

遺伝カウンセリングでは、さまざまな人間ドラマが起こる

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Q3. 仕事の大変さを感じるのはどんなところですか?

患者さんの対応で大変さを感じることはないのですが、戸惑うのは日本の医療の仕組みです。医師が患者さんに検査の選択肢を提示しなかったり、患者さんが検査を希望しても病院によって検査を受けられなかったり、子どもに原因不明の疾患が見られていても詳しい検査をせずにいたりすることも少なくありません。今の日本、特に産婦人科や小児科においては、診断方針がそれぞれの医師の考え方に任されていることが多いのです。

一方、アメリカやイギリスでは「標準診療」といって、データに基づいた現在できる最良の診断、治療を行うことが一般的です。それにより都会でも田舎でも同じ診療、説明が受けられるという公平性が生まれ、私たち医師以外のスタッフも医師の顔色を伺うことなく同じ話ができます。

また、日本では小児科出身の先生が遺伝カウンセリングを行うことが多いのですが、彼らは目の前の子どもの味方で、次の子どもに疾患が遺伝するかどうかという情報が不足しがちです。先天異常によっては、次の子にも同じ疾患が起きる可能性もありますし、逆に心配いらないと伝えてあげられる場合もあります。目の前の子の疾患を受け止めて頑張りましょうと親に説くだけではなく、今存在しない将来の子を考えるための選択肢の話も是非積極的にしてもらいたいと思っているのですが、親も聞きにくいようでなかなかうまくいかないと感じます。

いくつになっても方向転換できる

Q4. どのようなきっかけで現在のお仕事に就きましたか?
 
大学卒業後は製薬会社で働きながら、学生時代からお世話になっていた小児がんのお医者さんの手伝いをしていました。その先生に、アメリカに遺伝カウンセラーという職業があると聞き、面白そうだなと思い、会社の夏休みを利用してアメリカで開かれた学会に行ってみたんです。

学会では私が初めての日本人参加者ということで歓迎していただき、会長をはじめカウンセラーの方々とたくさんお話ができました。そのときに遺伝カウンセラーという人たちのすごさに衝撃を受けました。知識もあって、話も上手で、温かくて前向き。でも、すぐになりたいと思ったわけではありませんでした。その後、フルブライト奨学金(*)を得て留学することになったときに、たまたま以前から見聞きしていた遺伝カウンセラーのコースに進むことに。なりゆきです(笑)。でもアメリカの教育は自分にはすごく合っていました。一人前にしてもらえたと思います。

*フルブライト奨学金……専門分野の研究を進め、日米の相互理解に貢献できるリーダーを養成するための奨学金制度。


Q5. 大学ではどんなことを学びましたか?

小学生の頃から解剖図鑑を読むのが好きで、小1のときに「十二指腸が痛い……」と言って、心配した母に病院に連れていかれたことがあります。ただの腹痛でしたが(笑)。そのまま大人になり、医療に貢献できる研究がしたいという思いから大学は薬学部を選びました。大学で尊敬する先生に、アメリカには臨床薬剤師という患者さんと直接接する仕事があることを教えてもらい、難しい知識を翻訳して患者さんに伝えられることに魅力を感じ、研究者から方向転換して製薬会社に就職しました。会社に入ったら結局違う仕事をしていましたが。

サイエンスをわかりやすく伝えたいという思いは現在にも通じています。大学では理科の教員免許も取りましたが、今はそのおかげで、高校生に遺伝子検査について分かりやすく伝える特別授業を行うこともあります。


Q6. 高校生の時に抱いていた夢や体験したことが、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

将来のことはあまり考えていなくて、目の前にあることをただ楽しんでいました。本を読んだり、映画を観たり。特定の分野に絞れなくて広く勉強していました。理系を選んだのは文系の勉強が苦手だったから。大学もあまり考えずに出願して、滑り止めで受かった大学に行きました。

若い人たちに言いたいのは、高校生や大学生の時点で進路を決めなきゃと思いがちだけれど、必ずしもそうではないということ。私も転々としましたが、その時々でやったことが無駄になっていません。この年まで生きて分かりましたが、「あのときにあれをやっておけば……」というのは小さな悩み。やり直す余裕はいくらでもあります。固定しないでいろいろ学ぶといいと思います。私が留学したのは36歳のときなので遅い方です。でもアメリカの大学院には50代の人もたくさんいました。いくつになっても方向転換できるんだなと思います。

目の前にあることを一生懸命にやる

Q7. どういう人が遺伝カウンセラーに向いていると思いますか?

頭のよい人。偏差値の高い人という意味ではなく、本当の意味で頭のよい人のことです。本質を的確につかんで、医学的に重要なことを把握し、患者目線で大事なポイントを理解し、情報を整理して分かりやすく伝えることのできる人。遺伝カウンセリングはアメリカで70年代に始まったサービスですが、今は時代も変わり、インターネットである程度の情報を提供して、それを読んだ患者さんからプラスアルファの相談を受けるスタイルに変わりつつあります。より高度な知識を得て、整理して伝えられる人が向いています。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。

将来やりたいことが決まっていなくても、焦らなくて大丈夫。まずは目の前にあることを一生懸命やってください。スポーツでも勉強でも趣味でも、頑張ったことが将来役に立つし、達成感や自信につながります。全然違う仕事であっても役に立つんです。人生いくらでもやり直しがききます。まずは興味を持ったことをやってみてください。



田村さんは「おもしろそう」と思ったらすぐに確かめに行くという、行動力と柔軟性にあふれた方でした。高校生や大学生の時点で将来の道を確定させるのは確かに難しいこと。田村さんのように間口を広くして、かつ、その時々で興味を持ったことをとことん突き詰めることで、自然と天職に導かれていくということもあるのかもしれません。


【profile】FMC東京クリニック 遺伝カウンセラー 田村智英子
http://www.fmctokyo.jp

この記事のテーマ
医療・歯科・看護・リハビリ」を解説

医師とともにチーム医療の一員として、高度な知識と技術をもって患者に医療技術を施すスペシャリストを育成します。医療の高度化に伴い、呼吸器、透析装置、放射線治療などの医療・検査機器の技師が現場で不可欠になってきました。専門的な技術や資格を要する職業のため、授業では基礎知識から医療現場での実践能力にいたるまで、段階的に学びます。

「医療・歯科・看護・リハビリ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「遺伝カウンセラー」
はこんな仕事です

がんなどの疾患や先天性の心疾患・障がいなどに悩む患者の相談を受けて、遺伝的な原因の有無を調べる。遺伝子・染色体検査に関する情報を提供したり、心理的、社会的なサポートを行ったりする仕事。主に病院や診療所、大学などに勤務して、臨床遺伝専門医との連携により業務にあたる。医師と連携しながらも、より患者に近い立場に立ち、患者自身の自立的な意思決定を支援することが目的。日本遺伝カウンセリング学会と日本人類遺伝学会により認定される資格を有する専門職で、認定された大学院で養成専門課程が開設されている。

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