【シゴトを知ろう】石工 ~番外編~

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【シゴトを知ろう】石工 ~番外編~

2018.01.12

提供:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】石工 ~番外編~

地震の多い日本では、住宅ではなく橋や公園、石垣など公共の場所に使われることの多かった石材。その石の加工全般に関わる職人さんを、石工(いしく)と呼びます。これまで親子間で伝えられることの多かった石の手加工技術を、もっと広く伝えようという活動もしている稲田さん。道具の話から一番うれしかった仕事の話まで、幅広く伺いました。

この記事をまとめると

  • 石工は金槌の柄を入れられるようになったら一人前
  • 「全てお任せ」と発注された仕事が一番うれしかった
  • 手加工で仕上げた石は、お客さまに納品したくないほど愛着が湧く

「慎重さ」「地道さ」も求められる石工という仕事

――いろんな道具が並んでいますが、どう使いこなすんですか?

これらの道具は石の硬さや粘りなど、その性質によって使い分けます。料理人の包丁と一緒で刃は全て自分で研ぎ、柄も自分で作ります。「石頭(せっとう)」と呼ばれる金槌を見るとわかりますが、柄の部分がカーブしていて角度や太さが自分で使いやすいようになっています。

この柄を作る作業は、「柄が入れられるようになったら一人前」といわれるくらい大事なプロセスです。自分で使いやすい柄の形や角度を見つけるまでも時間がかかる愛着のある柄なので、「一銀」という自社の銘を入れています。同じ種類の道具でも重さや刃の鋭さや角度がいろいろ違い、それぞれ用途で使い分けています。

石頭(せっとう)は金槌なのでノミを使う時に、ノミの頭の部分を叩いて削ります。差し刃や両刃という道具はそのまま石にダイレクトに当てて角を出したり削ったりしますし、ビシャンという打つ面が広くて突起が方眼状になった鎚などは表面をならすために使います。

――硬い石を手で削っていくなんて、想像できません。

もちろん最初から細かな削りをしていく訳ではなく、はじめは荒く大まかな形を取って、少しずつ細かな作業に移っていきます。

まずは「墨かけ」といって削る形の印をつけて、こやすけやノミで荒取りをしていきます。少しでも手元が狂って大きくザックリ落としてしまえば、その石はもう使えなくなってしまうので、荒取りといっても慎重に進めます。

大まかな形を取ったら、ノミで削りながら形を整えていき、最後は叩いて仕上げるという流れです。石工というと、重い石を扱うダイナミックな仕事のような印象があるかもしれませんが、コツコツと慎重に作業を進める地道な仕事です。

両刃や片刃を少しずつ動かして仕上げる「小叩き」の作業が私は一番好きです。機械仕上げだとつるりとした仕上げしかできませんが、手加工の小叩きは表面にさざ波が静かに立っているように美しく味のある仕上げが可能です。側から見たら気が遠くなるような地道な作業で、少しずつしか進めないため、一つの作品を仕上げるのに何日間も手の加減をずっと同じにしなければいけないので気を遣いますね。

でもこんなに毎日石を削っているのに、時々しっくりこないというか、手加減が狂うことがあって、そういう時は必ず失敗してしまいます。理由は気が緩んでいたり、逆に焦っていたりとさまざまなんですが、自分の精神状態が如実に現れてしまうのは怖いところです。

納得した仕事ができた時にだけ入れる「石工一銀」の銘

――今まで一番楽しかった仕事はなんですか?

予算だけを決めて「あとは全てお任せします」とお客さんに言われた仕事です。自分のことを信頼して任せてくれた訳ですから、それに応える仕事をしようと思いました。墓石のデザインから、その墓石が映える外柵を考え、試行錯誤しながら作業ができるのは本当に幸せです。依頼主が予期しないようなちょっとしたサプライズの細工を入れたりして、自分のアイデアを生かせるのが楽しいですね。逆にこういう自由度がある仕事は、「ここにもっと細工を入れよう」とか「もっとかっこよく」とか、デザインもどんどん華美にエスカレートしがちなので、シンプルに留めておく難しさもあります。

できあがると最後に「石工一銀」という銘を彫り入れます。これは自分で手加工したものにしか入れないので、まだ世界に7〜8個しかありません。仕上がった石には愛着が湧いて、ずっと手元に置いておきたくなって、納品したくなくなることも多いです。

――自分の作品を後から見に行くそうですが、それはどうしてですか?

石にコケが生えたり、経年変化で風化したり、その変化を知ることが自分の仕事に役立ちますし、それらを見ることで多くの気付きがあるので必ず見に行くようにしています。特に手加工の石は機械加工のツルリとした表面とは違うので、コケもつきやすく、変化しやすいんです。また初期に作った作品は技術的にも未完成な部分もあったりして、自分の成長も感じられてうれしいです。

手加工の技術を教え合い、伝えていこうと共に活動する仲間たち

――技術レベルを争う競技会もあると聞きました。

2年に1回、石工の手加工技術を争う熟練者対象の技能グランプリの大会が開かれています。ちょうど10年前から石工職種が正式種目になり、毎年20人前後の人たちが参加しているようです。

競技は2日間で休憩を挟みながら8時間かけて一つの作品を手加工で作るというもので、私も今年は参加したのですが、惜しくも2位という結果になりました。グランプリを取ったのは私が立ち上げた石工会のメンバーで、お互い切磋琢磨して技術を磨きあった仲間でもあったので、正直悔しかったです。来年は必ずリベンジします。


――どうして石工会という石屋同士の会を作ったんですか?

それまで石屋は石加工の技術を社内だけ、親子の間だけで共有して同じ業界の横のつながりはほとんどありませんでした。しかしそれでは、ただでさえ機械加工に押されて衰退している手加工の技術は消滅してしまいます。

そこで現在手加工をしている石屋で集まり、勉強会を開いて技術を教え合ったり、新しく学びたいという人にも講習会を開いたり、同じ志や思いを共有し伝えていこうということになりました。お陰様でその仲間から技能グランプリの上位入賞者が出ていますし、新たに手加工に参入してくれる石屋もちらほら出てきました。

現在会員は18名で「とりあえず籍だけ置いておこう」という人は入れないので、全員が真剣にリアルに活動している仲間ばかり。今は着ている人もいなくなった石屋の正装である被布半纏(ひぶはんてん)や半纏(はんてん)を揃いで作ったりして、結束の固い楽しい集まりです。



石材の手加工を応援してくれるお寺の片隅に工房兼仕事場を構え、据え付けなどの仕事の傍らで自身の作品づくりに没頭する稲田さん。仕事に石工会の活動に、プライベートのバンド活動にと忙しい日々を送りながら「毎日楽しいことばかり」と前向きに過ごせるのは、厳しい修行で確かな技術を身に付け、自分にぴったりな仕事を勝ち取ったという自信があるからかもしれません。


【profile】石工 稲田圭二郎

この記事のテーマ
デザイン・芸術・写真」を解説

デザインは、本や雑誌、広告など印刷物のデザイン、雑貨、玩具、パッケージなどの商品デザイン、伝統工芸や日用品などの装飾デザインといった分野があり、学校では専門知識や道具、機器を使いこなす技術を学びます。アートや写真を仕事にする場合、学校で基礎的な知識や技術を身につけ、学外での実践を通して経験やセンスを磨きます。

「デザイン・芸術・写真」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「石工」
はこんな仕事です

墓石や城壁、用水路や河川改修工事などに使用する石を切り出し、必要なサイズに裁断して、細かく削るなどの作業を施す仕事。石を工事現場に積む・組むといった建築的な作業も行う。石工職人は、大学で建設などに関わる専門知識を学んでから石材会社に就職するというケースが多い。近年では、石の加工工程にもコンピューターが導入されて機械化が進んでいるが、細部の加工は手作業に頼ることが多い。したがって伝統的に受け継がれてきた職人技が重要視される。資格は必要ないが関連する国家資格に「石材施工技能士」がある。

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