【シゴトを知ろう】原子力系研究・技術者 編

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【シゴトを知ろう】原子力系研究・技術者 編

2017.12.22

提供元:マイナビ進学編集部

【シゴトを知ろう】原子力系研究・技術者 編

福井県の若狭湾には、高浜町、おおい町、美浜町、敦賀市に合計13基の商業用原子炉があり、主に関西地域に電力を供給しています。
1998年に開所した福井県若狭湾エネルギー研究センターは、この地域の活性化を目的に設立され、原子力やエネルギーに関する科学技術研究開発の拠点となっています。同センターで原子力系の研究や技術開発に携わっている理学博士の羽鳥聡さんに、仕事内容についてお話を伺いました。

この記事をまとめると

  • 原子力系の研究に欠かせない加速器。知識・技術・経験でトラブルを最小限に抑える
  • 理科の実験が好きだった。高校生の時の夢は実験系の物理学研究者
  • 結論ありきでは問題を解決できない。研究者や技術者に求められる3つの力とは?

加速器にはトラブルがつきもの。原因を探り、再発防止に取り組む

Q1. 仕事の概要と一日のスケジュールを教えてください。

若狭湾エネルギー研究センターで行われている研究の一つに、放射線の活用があります。加速器は、放射線の一種である荷電粒子線(イオンビーム)を利用するのに必要な装置で、私は加速器室の室長として、当センターの中核となる研究設備「多目的シンクロトロン・タンデム加速器」の運転・保守管理や加速器技術の開発をしています。

また、加速器ビームを用いた実験手法に関して研究者たちの相談に乗ったり、ビームの線質情報を得るために予備実験・測定を行うこともあります。

<一日のスケジュール>
※加速器の運転期間の場合(運転員2名1組3交替制でタンデム加速器を24時間動かす)

08:30 出社
    夜勤ー朝勤引き継ぎ(加速器の運転状態やイオンビームの状態を確認)
09:00 照射野形成・確認、照射量制御用の線量計とビーム電流計のひもづけ
11:00 ユーザー照射開始
12:00 昼食、散歩
    ユーザー実験継続中
15:15 朝勤-中勤の引き継ぎ(実験中の注意点を確認)
16:00 運転員向け加速器勉強会
17:00 前週のトラブルのまとめや各運転員の業務進捗状況の報告を受ける
18:00 夕食
19:00 会議資料作成
23:00 ユーザー実験終了
    ビーム条件最終確認
23:45 中勤-夜勤引き継ぎ(翌日の実験に必要なイオンビームの状態を伝達)
    イオン源不具合箇所対処、翌日のビーム通し指示
25:00 帰宅


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?

研究の妨げにならないよう、加速器は研究員たちが常に使える状態にしておく必要があります。加速器にはいろいろなトラブルが起こりますが、その都度、原因を見つけ出して解決し、メンテナンス方法の改良を重ねてきました。私でなければ対応できなかったであろうトラブルを解決できたときは、やりがいを感じます。


Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?

加速器ビームを安定して供給することが研究を支えているため、やりがいである一方でプレッシャーもあります。当センターでは、2009年まで陽子線(*1)によるがん治療の臨床研究を行っていたのですが、その時は、患者さんのためにスケジュール通りにビームを出さなければならず大変でした。

また、加速管や高圧ターミナルを支える絶縁コラムを総交換した際に加速管が破損し、2011年1月から2012年6月までの約1年半、加速器が使えない期間が発生した時はつらかったですね。


*1 陽子線:放射線の一種である荷電粒子線の一つ。水素原子から電子を取り除いた陽子がエネルギー付与されたもの。

大学時代から現在まで、ずっと加速器に関わってきた

年1回行われるイベント「エネ研てんこもり」では、施設見学だけではなく科学体験もできる

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Q4. どのようなきっかけ・経緯でこの仕事に就きましたか?

大学院では、加速器ビームを用いて原子核物理学の実験を行っていました。その実験に用いる質量分析器の開発を通じてイオン光学の研究もしていた縁で、加速器質量分析を行っている施設の加速器更新計画に携わることになりました。
そして、タンデム加速器の専門家として、当センターの加速器建設時に声をかけられたのが19年前の1998年です。


Q5. 大学では何を学びましたか?

理学部に進学し、原子核物理学を専攻しました。原子核物理学を専攻した理由は、「物の理(ことわり)」を知りたかったからです。
タンデム加速器を初めて使ったのは3回生の時で原子核転換実験を行いました。以後、原子核反応を用いて誘起される励起(れいき)状態や生成される不安定核の崩壊現象を通じて原子核の構造を調べる研究を行いました。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?

小学校、中学校、高校を通じて理科の実験が好きで、高校生の時は実験系の物理学研究者になりたいと思っていました。
タンデム加速器は高電圧を発生させる装置で放電が一番の悩みなので、運転中はいろいろな部分の電流値や電圧値をモニターして、いち早く異常を察知しなければなりません。また、定期点検の際は、放電現象の痕跡を解析するなどしてメンテナンス技術を改良していくことが重要です。これらは、まさに実験物理学の手法なので、かつての夢が今の仕事につながっていますね。

転換期にある原子力政策。だからこそ、原子力の知識・技術が求められている

若き研究者たちに向けての講義から研究開発の相談まで、後進の育成も羽鳥さんの仕事

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Q7. どういう人が原子力系研究・技術者に向いていると思いますか?

観察力と観察結果から現象を理解する力が求められます。そして、あらかじめ用意しておいた結論をもって問題の解決を図るのではなく、ありとあらゆる可能性を検討することが重要です。多くの人の意見を聞くことができる人が向いています。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。

現在、原子力系の研究分野はかなり風当たりが強い状況ですが、人類が一度手にした知識や技術を葬り去ることは、ある意味文化の後退です。
原子力に関する知識や技術は、今後多くの原子力発電所が直面するであろう廃炉作業(*2)にも欠かせません。人類の未来に必要とされますし、それらの知識や技術を身に付けている人材が不可欠です。原子力系の研究や技術に関わる仕事に挑戦する人たちを応援したいですね。


*2 廃炉作業:原子炉の運転を停止し、関連する設備ごと解体すること。解体時の放射線対策や解体によって発生する放射性物質の安全な貯蔵・保管が課題。2011年に発生した福島第一原子力発電所の事故を受けて法律が改正され、原子力利用における安全を確保するため、発電用原子炉の運転期間が原則40年に制限された(原発40年ルール)。これにより、現在稼働している発電用原子炉は、いずれ廃炉作業が必要となる。なお、原子力規制委員会の認可を受ければ、1回に限り20年を超えない範囲で運転期間を延長できる。


子どもの頃から理科の実験が大好きだった羽鳥さんは、「物の理(ことわり)」を知りたいという一心で、大学、大学院での学びを経て原子力系研究の仕事に就きました。
将来、研究開発に関わってみたいと考えている人にとっては、人類の未来に必要な研究として目指してみる価値のある仕事だといえそうですね。


【profile】公益財団法人 若狭湾エネルギー研究センター 研究開発部加速器室室長・理学博士 羽鳥聡

公益財団法人 若狭湾エネルギー研究センター http://www.werc.or.jp/

この記事のテーマ
環境・自然・バイオ」を解説

エネルギーの安定供給や環境問題の解決など、自然や環境を調査・研究し、人の未来や暮らしをサポートする仕事につながります。また、自然ガイドなど、海や山の素晴らしさと安全なレジャーを多くの人に伝える仕事もあります。それぞれ高い専門性が求められる職業に応じて、専門知識や技術を学び、カリキュラムによっては資格取得や検定も目指します。

「環境・自然・バイオ」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「原子力系研究・技術者」
はこんな仕事です

電力だけでなく、医療系や工業・農業など、活用できる分野が多岐にわたるのが原子力系研究者や技術者の仕事の特徴だ。研究者や技術者の多くは、それぞれに専門分野を持つ。電力分野だけでも、原子炉の設計を行う技術者から、核融合を専門的に行う研究者まで幅広い。医学・工業・農業においても、近年では治療や検査などに放射線技術が広く使われ、放射線利用技術者の活躍の場が広がっている。電力会社や電子機器製造業、病院や大学などで働くことができ、勤務先も多様だ。

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